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より正確なギターのイントネーション調整 ~⑤ギターの状態確認~

ギターのオクターブ調整の考え方を一歩進め、より正確なピッチをフレット上で得るためのチャレンジです。

最初から読みたい方はこちらからどうぞ。

いよいよ実践です。

まずギターの状態を確認しましょう

まずは現在のギターの状態を確認してみましょう。私の調整方法ではチューニングメーターは必須ですので、なるべく正確なものをご用意ください。それからギターに関してはネックの反りや弦高がある程度適切で、最低限どのフレットでもビビりが少なく正常に発音できることが前提となります。

ナットの状態を確認する

まずは開放弦と1~5フレットあたりのピッチ感を確認してみましょう。手順は簡単です。開放弦を正しくチューニング(ピッチが落ち着くあたりで見るのが良いでしょう)したのち、1~5フレットあたりを順番に押弦して開放弦に対して針の位置を見ていきます。

もし開放弦で針がど真ん中で、1~5フレットでも針がど真ん中であれば素晴らしいです。たいていは3弦あたりで少しシャープする傾向を示し、5フレットでほぼ開放弦とイーブンになる感じかと思います。

厄介なのは1フレットで極端にシャープする場合です。これはナットの溝が浅く開放弦高が高いことで1フレット押下時に軽いチョーキング状態になって音程がシャープする場合や、又はそもそもナット位置が適切でない場合の両方が考えられます。

この場合、どちらにしても我々素人には調整困難なので、プロのリペアマンにご相談をお奨めします。1フレットがシャープするギターは、今回の私の調整方法以前の問題として、おそらくこのままではどう調整してもローコードが綺麗に響かない状態ですので、できれば調整・解決を検討いただきたいと思います。

フレット上のピッチ状態を確認する

まずは開放弦実音と12フレットのピッチ(チューニングメーターの針の位置)を可能な限り合わせてみましょう。完全にオクターブ関係になっているとチューニングメーター針の位置は全く同じになりますので、それを目安に。次に、全て実音で開放弦~最上位フレットまで順番に注意深く弾いていき、一音ごとにチューニングメーターの針位置を確認していきます。この時押弦によるシャープ/フラットがないよう注意してください。

12フレットのピッチ調整がうまくいっていれば、開放弦と12フレットは同じ針の位置になるはずですよね。で、今回はそれ以外のフレットでの針の位置傾向を見ていきます。フレットの削れ具合やデッドポイントの存在、弦の部分的消耗等で1フレットだけ外れたピッチを示す場合もありますので、それは異常値として除外して全体傾向を把握します。

フレット上の傾向値

だいたいは開放弦からはじまって3フレットあたりで少しシャープ、5~7フレットでイーブンになったのち、9フレットあたりで少しフラット、その後12フレットでイーブンに戻ったのち、個体によっては14〜15フレットあたりで暴れたのち、その後は個体によってシャープしていく傾向を示すことが多いかと思います。

またサークルフレット(CFS)でない通常の真っすぐのフレットではギターの中心から遠い弦(1、6弦)ほどハイポジションでシャープする傾向を示します。弦がナットからブリッジへ扇状に張られているのにフレットが直線ですから当たり前ですね。

また理由はわかりませんがギブソン系では、12フレットピッチがイーブンでもその後はっきりとシャープしていく傾向を示すことが多いです(経験則)。

その他、資料によるとヴィンテージギブソンは12フレット未満と以上で異なるスケール設定(ロングとかミディアムとかのアレです)でフレットが打たれているという情報もあり、当時の事情に合わせた何らかの知恵だったのかなと思います。

このあたりの話はフレット溝切をするマシンに仕込まれたテンプレートによって異なるでしょうから、製造メーカー(正確には工作マシンメーカーか?)や製造年代によって諸事情あるのだと思います。

このnoteでは、理想の姿として「全ての弦において開放弦から最終フレットまで全ての実音でチューニングメーターの針が真ん中を示す = 超平均律の状態」をひとつのゴールとしていますので、どうやってそれに近づけるべく調整するかが課題となります。

なので、前述の12フレットを調整した後にフレット全域で大きな狂いがないギターは調整が容易(ゴールは近いかも)ですし、狂いが大きめなギターは「どのあたりを合わせ、どのあたりを見捨てるか」の取捨選択を迫られることになります。

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