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3日目 清水〜浜松

■5月26日(3日目)
清水~浜松 87km

6:00 起床
7:00 朝ごはん
8:00 出発
  支援@自転車のかごにカップラーメン
12:00 充電休憩@お寺
16:00 支援@浜松まで残り10kmを切ったところできれいなギャル系奥さんが車の窓を開けて、食べ物を恵んでくれた
17:00 充電休憩@三星商事の作業現場
18:00 到着@浜松駅
19:00 支援@聴き屋さんに出逢う
20:00 チェックイン@かじまちの湯 コスパ神
23:00 就寝@ひとり飲み、疲れ果てて爆睡

1.今日のご支援~駆け込み寺~

アズの家を出発してから1時間半。
道の駅で休憩していると、50世代くらいの女性から
「これ少しだけど。本当気をつけてねー」と1000円の支援。
話そうとしたけど、「忙しいから」とせわしない様子で立ち去ってしまった。
子を持つ母親の気持ちに共感していたかのように、すごく心配しているようにみえた。

国道を進むことさらに1時間半。
平坦な道を、ひたすらまっすぐ走ることに飽きてしまった。
(全然景色変わらんし、つまらんー!!!!)
心の中で嘆いていたら、だんだんと田舎の景色に変わってきた。
気づけば坂道が多くなり、いつの間にか周りは山で囲まれていた。
ぼーっと自転車を走らせていたわたしは気づいた。
(自転車の充電できる場所あるかな?)
今までずっと大通りだったし、どこでも自転車の充電できる場所はあるだろうと
何も考えず走ってきたのが仇となった。(まずいぞ)
それに上り坂は平坦な道よりもかなり充電を消費するということを、わたしは知っていた。
Google Mapを確認する。
どこかで充電しないと、山の途中で切れてしまうことは確実だった。
(詰んだ…)
山道なんてコンビニもなければお店もない。
かろうじて家がちらほらあるだけだった。
ここからまた街に下ってコンセントを借りれる店を探すのは、ロスタイムになるから嫌だった。
暗くなる前に着くためには、引き返したくなかった。
(だが、充電切れになって20kgの鉄の塊を押して上るよりはましか。)
わたしは、街に向かって戻り始めた。
(コンセント…コンセント貸してくれ~。人の家にピンポンするのは、気が引けるな…何でもいいからお店ないかなー。)
キョロキョロとあたりを見回しながら、坂道を下った。
10分後。
(お!)わたしはお寺を見つけた。
「やったことないけど、駆け込み寺するしかない!」
藁にもすがる思いで、お寺の住職さんにお願いしてみることにした。
(頼む~。もう疲れたし、この辺で休憩したい!)
「ピンポーン」
「あのーすみません。今からこの山超えて浜松まで行きたいんですけど、
電動自転車のバッテリーが切れちゃいそうで。コンセントお借りできませんか?」
すると、あっさり「いいですよ」と返ってきた。
(ふぉ~助かった~。まじでありがたい!!!めっちゃ休憩したかった!)
建物の中に案内してもらえた。お茶菓子まで出してくれた。(沁みる~)
住職さんは口数は少なかったが、口調も穏やかで心に余裕があるように感じた。
物が少なく広い空間に、気が抜けた。
さっきまでの焦りが消え、リラックスモードになった。
(禅寺で修行とかもやってみたいな~)
椅子にすわって一息する。
旅の寝不足と肩こりで疲労が溜まっているのか、どっと眠気が襲ってきた。
わたしはいつの間にか机に突っ伏して眠りに落ちていた。
いくら体力に自信があると思っていても、身体は正直だった。
どれくらい昼寝をしただろうか、目覚めると自転車の充電が完了していた。
睡眠欲が満たされると、今度は食欲が湧いてきた。
わたしは出されたチョコレートクッキーを、パクパクと口に入れた。
(糖分最高~!)少し元気が戻ってきた。
(やっぱり何をするにも、体が資本!)

■15時。ご支援。
お寺を後に山道を抜けると街にでた。
平坦な大通りをひたすら走っていると、突然車が並走してきた。
「がんばってねー!これあげるー!!」
窓が開き、ギャル系のきれいな奥さんが、勢いよくコンビニの袋を差し出してくれた。
まるでリレーのバトンパスのように一瞬の出来事だった。
「えー!!ありがとうございます!!!」
車の後ろ姿に向かって、わたしは精一杯大きい声でお礼を言った。
ちょうどご飯を欲していたから「お姉さんナイスタイミング!」
わたしは道端に自転車を止めて、さっそくオムライスのおにぎりをほおばった。
(うんめ~~~)
いただいた物をその場で食べるとより美味しさが沁み渡った。
"今"応援してくれた想いが、このおにぎりには込められている気がした。
人の感情も生物なのかもしれない。今この瞬間感じたことを大切にしよう。

■17:00 充電休憩@三星商事の作業現場 
建築資材の作業所付近の道端に、座り込んでモグモグしていると
仕事中のお兄さんが興味津々にわたしのところへやってきた。
話しかけてもえた勢いで、自転車で福岡まで行く事情と充電させてもらえないかお願いをした。
「若い女の子だからいいよ。」とパイプが積まれた資材の一角で充電させてもららうことに。
他の社員さんも出てきた。「若い女の子が頑張ってたら応援したくなる」
どうやら支援してもらいやすいのは「若さ」と「女性」がキーワードみたいだ。
美と健康を保つことは大切。
わたしは歳を重ねても魅力的な女性であるために、中身磨きも注力したい。

社員さん曰く、人手不足で働き手を募集しているみたいだ。
じゃんじゃん宣伝してほしいとのことだったので、せめてもの恩返しでわたしが運営しているYouTubeチャンネルに載せさせてもらった。
(わたしは今後インフルエンサーにでもなるのか?)
ふっとよぎるが、発信が苦手な今までのわたしからしたら
想像できないとかき消した。

2.「聴き屋」さんとの出会い

今日の目的地、浜松駅に到着。
駅の周辺をうろうろしていると、路上で看板を立てて座っている人を発見した。
近づいてみると「聴き屋 あなたのお話聴かせてください」の看板とももに、20代後半の短髪のお兄さんが座っていた。
面白そうな予感がした。わたしは興味本位で声をかけてみた。
「こんばんは。何しているんですか?」
彼は、人々のお悩みを聴いて、苦しんでいる人を救うために、
天理教の教えを伝えている布教者だった。
わたしのまわりでは宗教に対して、なぜかマイナスのイメージを持っている人が多かった。
だから、わたしも今まで宗教関係の人には近づかないようにしていた。
でも勝手なイメージで善悪を決めつけるのは、もったいないと思った。
(全部、自分の目で見て、耳で聞いて、経験して感じたい。)
わたしはビビリながらも、お話してみることにした。

さっそく、天理教を布教することになった経緯を尋ねた。
もともと家族が天理教であったため、幼いころから宗教に触れていたみたいだ。一時は、他のやりたい道に進みたかったが、紆余曲折を経て天理教の布教の道に進もうと決めたらしい。
路上で「聴き屋」をしているのは、信者さんをカウンセリングするための練習とのこと。
自分の想いを話していくうちに、心が和らぎ、スッキリして帰る人が多いみたい。
大きな悩みを持っていても元気にしている人もいれば、小さな悩みに思えてもその人にとっての苦しみは大きかったり、様々な人の話を聴いて、気づきや学びを得ているんだって。

彼は、修行がてら半年に一回野宿をするそうだ。
公園の土壇の中に入って、寝袋ひとつで眠る。そして明るくなる前に起きる。
「殺されるかもってめっちゃ怖いから、3時位まで眠れない」
苦労したら、今のありがたみに気づけるから一回やってみることをおすすめされた。
現代社会、特に日本は、安全すぎてなかなか死に近づく経験はない。
敢えて、不便を選ぶことは今への感謝を思い出す良いきっかけになりそうだ。わたしもありがたみを感じれなくなった時は、野宿してみようかな(笑)

天理教では、人助けの精神も説かれているみたい。
人助けを行動に移すことが大切とのこと。
彼は「ご縁」ということで、奈良まで自転車ごと乗せてもらえることになった。250kmのワープだ。2回目のヒッチハイク。
ただ、明日、明後日がバイトだから、28日の夕方出発でもよければとの提案。
わたしは飛び上がって喜んだ。「やった!もちろん!」
明日は、雨予報だから自転車で走りたくないな~と思っていた矢先の奇跡だ。
「そんなことある!?」毎日、信じられない幸運の連続に驚きを隠せない。
(もしかして、福岡までの自転車旅は余裕なんじゃないか?)

■20時 チェックイン
1980円で温泉・岩盤浴付きのカプセルホテルにチェックインした。
(コスパ良すぎる)
早速、温泉に浸かるとじわ~っと幸せが溢れた。
疲れ切った後の温泉は最高だ。
お風呂上がり、聴き屋さんにもらった、レモンサワーを飲みながら
癒やされた気分になっていた。
10分もすると、あっという間に睡魔が押し寄せてきた。
ここ3日間、刺激的な毎日が続いていた。
張り詰めていた心と体に、反動がきたみたいだ。
久しぶりに誰もいない一人の空間で眠れることに安心したのか
今晩は泥のように深い眠りに落ちた。

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