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【新百合ヶ丘で胡椒餅】台湾の胡椒餅ってどんな食べ物?

こんにちは。紫苑です。

私が最初に台湾へ行ったのは2008年でした。初めて行ったのに何だか懐かしいような空気感と、美味しい食べ物のおかげで、すっかり好きになってしまい、以降、毎年1-2回は遊びに行っていました。台湾の好きなところを語りだすと止まらなくなってしまうので、それは別の機会にして、今日は胡椒餅について語ってみたいと思います。今日の記事は長いですので、お好きな方にお付き合いいただけるとありがたいです。

まず胡椒餅(こしょうもち・フージャオピン)とは、台湾のB級グルメ的な存在で、夜市の屋台では必ず行列ができている小吃(シャオツー)です。見た目は”おやき”や焼き饅頭に似ています。外側はパンとパイの間のような生地でごまがたっぷり掛かっています。中にはネギたっぷりで胡椒がきいた、ジューシーな豚肉の餡がぎっしり詰まっています。

屋台の胡椒餅の行列に並んで、焼きたてを買い、ちょっと離れたところでガブっとかぶりつくと、パリ&サクっとした皮から、独特なスパイス(八角など)の香りと熱々の肉汁が口の中に飛び込んできて、熱さに悶絶します(笑)猫舌の人は要注意です。熱いのを乗り越えると、胡椒のピリッとした刺激と豚肉の旨味が口いっぱいに広がって、早く次の一口を食べたくなります。熱い、美味い、熱い、美味いを繰り返していると、いつの間にか食べきっています。その後、私が必ず言ってしまうのは「あー、日本でも食べたい。。。」。(次点で「あー、ビール飲みたい」というのもあります。)


昨年来、コロナ禍で大好きな台湾に行けなくなってしまって、私は毎日のように「台湾行きたい。胡椒餅食べたい。台湾茶飲みたい。」と呟いていました。台湾へ行く夢を何度も見るくらい禁断症状が出始めたので、可能な範囲で中国茶カフェに行ったり、台湾料理を食べに行ったりしていたのですが、当時は緊急事態宣言も出るなど、いつコロナ禍が収束するかも分からない中ですので、不要不急の外出は避けているのは皆さんもご存じの通り。

そこで自然と思いついたのは、胡椒餅を自分で作ってみようということでした。おうち時間が増えて、パン作りを始めたことは記事でも触れましたが、ネットやyou tubeで検索すると、胡椒餅のレシピもたくさんヒットしました。

胡椒餅のレシピは、台湾でもお店ごとに違っていて、大きく分けると外側の生地、内側の餡の2つに分かれます。


外側の生地については、パンとパイの中間のような、と書きましたが、それだけではない本当に様々なレシピがあり、家庭で作る簡単レシピから、行列店のレシピまで幅広いです。以下に大雑把に分類してみました。

イ)小麦粉生地:

  小麦粉と水(熱水・冷水)、ベーキングパウダーなどで作られたシンプルな生地。おやきのようなもちもちした皮の胡椒餅ができます。家庭でも作りやすいです。薄く伸ばしやすい生地を作れるので、餃子やシュウマイのような点心とも相性が良いです。

ロ)発酵生地:

  小麦粉と水、イーストなどで作られた生地。餡の肉汁がしみ込んだ、ふんわりしたパン生地の胡椒餅ができます。イーストの発酵時間が必要ですが、パンの風味とスパイスの効いた餡のハーモニーが楽しめます。焼くとパンですが、蒸すと肉まんの皮にもなります。

ハ)中華パイ生地:

  「小麦粉の生地」と「油の生地」の2種類の生地を、折り込んで作られた生地。パイのサクサク感とパンのふんわり感の間の食感を持った胡椒餅ができます。台北のお店・屋台で食べる胡椒餅は、このタイプが多いという印象です。

餃子の皮や肉まんの皮は想像しやすいですが、中華パイの生地というのはあまりピンとこない方も多いと思います。私も点心のプロの方が書かれた本を読んで初めて知りました。パイはパイですが、バターを使わない生地なので、ミートパイのような西洋風のパイとは風味が全く異なります。

さて、どれを作ろうかと思ったときに、やはり台湾で食べた胡椒餅に近づけたいという思いがあり、中華パイ生地で作ってみることにしました。

以下は私のレシピのご紹介です。

①小麦粉の生地

「小麦粉の生地」は中力粉にイースト、砂糖、塩、水、ラードを入れて混ぜます。最初は粉と水で混ぜにくいですが、だんだんまとまってくるので、パン生地のように伸ばしてこねて、ひとまとまりにします。まとまったら、20分程度置きます。

②油の生地

その間に、「油の生地」を作ります。薄力粉と粉の半量くらいのラードを混ぜて、これもひとまとまりにします。こちらは水を使わずに油だけでこねるので、こしあんのような触感になります。まとまったら、使うまで冷蔵庫で冷やします。

③豚肉餡

餡はまた色々なレシピがあるのですが、私は豚肉の塊を1㎝角くらいに切って、醤油、オイスターソース、塩、生姜、ニンニク、砂糖などで味付けしています。重要なのは、黒コショウをこれでもかと入れること。結構たくさん入れたなと思っても、食べてみると刺激が足りないということが何度もあったので、台湾の味に近づけるには、かなりたくさん入れています。そしてもう一つ忘れてはならないのが「五香粉」です。私はメーカーさんの五香粉を使っていますが、八角やシナモンなどお店によって独自の配合があるようです。人によって好き嫌いがあるかもしれませんが、これも恐れずにたくさん入れます。(お店で販売するまでにもう少しレシピ開発します)

最初は豚ひき肉を使って作ったのですが、肉まんの餡のようになってしまい、胡椒餅らしさが出ませんでした。なので、大きめのゴロゴロ角切りにしたところ、ジューシーな肉汁が溢れて食べ応えのある胡椒餅になりました。

④生地の成型

さて、生地の続きですが、小麦粉の生地は寝かせることで少し発酵させる目的と、こねてすぐは生地にコシが出ているので、落ち着かせる目的があります。20分程度で落ち着くので、だいたい30gずつに分けます。油の生地も15gずつに分けます。小麦粉の生地を円形に伸ばして油の生地を包み、一度丸く成型します。それを麺棒で縦20㎝x横5㎝くらいに伸ばします。そして長い方の辺をくるくると筒状に丸めます(底面直径3㎝x高さ5㎝の円柱ができます)。円柱を90度回転して底面を自分の方に向けます。また同じように麺棒で縦20㎝x横5㎝くらいに伸ばし、くるくると筒状に丸めます。ここまでの工程で小麦の生地と油の生地が幾重もの層状になるので、焼いたときにパイのような食感になります。

円柱の上下をぎゅっと摘まんで真ん中に持ってきてから、生地全体を平らな円形に伸ばします。厚みがある餃子の皮のような感じです。豚肉の餡と刻んだネギをたっぷり包んでいきます。ネギが溢れて包みにくいですが、頑張ります。ネギをたっぷり入れることで、あふれ出す肉汁を逃がさずに餡の中に閉じ込める役割もあります。

とじ目をしっかりと閉じ丸く成型したら、乾燥しないようにラップをかけて15分程度置きます。焼く直前に表面に刷毛で砂糖水を塗ってからごまを押し付けます。オーブンの予熱も忘れずに。

オーブンで焼いて完成。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。文字に起こすのも長いですが、作るのにはかなり手間がかかる胡椒餅です。台湾のお店の店頭で魔法のように鮮やかに包まれていく胡椒餅を見ていたので、家で作るのも簡単だと思っていましたが、あれは熟練の職人さんの技なのだと実感しました。

ですが、ここまで時間をかける価値があるほど、美味しいです。慣れると2時間くらいで作れるので、餡は前日に作っておいて、翌日の朝に包んで焼いて昼食に食べる、というのが休日おうち時間の過ごし方でした。冷めても美味しいですし、夜に焼き直してお酒と一緒にいただくのもおすすめです。

この美味しさを皆さんにも知って欲しい、あるいはこの美味しさを知っている方々と語り合いたい・・・、そんな思いから、新百合ヶ丘で胡椒餅屋さんを始めたいという考えに至りました。

最後までご覧くださった方、ありがとうございます。もっと語りたいことはたくさんありますが、今日はこの辺で止めておきます。紫苑の胡椒餅を一日も早く皆さまにお届けできるよう、いま急ピッチでお店を作っていますので、もう少々お待ちくださいませ。



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