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教育観があるから教育たりうる【西宮サドベリースクール】

西宮サドベリースクールの見学に伺いました。


サドベリースクールとは

サドベリースクールとは、アメリカ ボストンのサドベリーバレースクールで行われている教育理念に基づいた教育を実践しているオルタナティブスクールです。

日本では10校以上が運営されています。

認可制でなく、理念が共通となっていることもあり、少しずつ教育方法や運営も異なるようです。

今回お世話になった西宮サドベリースクールは4〜17歳を対象として、子どもたちが一番やりたいことをやるのを大切に運営してされていました。

子どもを100%信頼する

「子どもを100%信頼する」を基本理念として運営されていました。学校のシステムとしては大きく4つあります。

  • プロジェクト
    普段のフリーな活動の範囲を超えて予算や人を動かす場合はプロジェクトとして実施する。仲間にプレゼンをし、後述のミーティングで承認されると実施が可能になる。

  • ルール
    厚いファイルに綴じられた山のようなルールがあり、ここで学校としてのラインが引かれている。ただ、これは全てが子どもたちの参加するミーティングによって設定されたものであり、違反した場合は大人であっても同等のペナルティが科される。

  • ミーティング
    年齢、立場によらず全員が対等に参加するミーティングがある。問題の解決などを図る「デイリーミーティング」から、予算・決算などに係る「総会」まで大きさと頻度により4種類ある。参加権は全員に与えられており、ミーティングで決したことには全員で従う。瑣末なことはスタッフ以外に参加者がいないこともあり、その場合は粛々と進む。

  • 子どもたちによる学校運営
    先のミーティングによって予算・決算だけでなくスタッフの任免までもが行われる。極端な話、スタッフが馘になる可能性すらある。

子どもたちが民主的に学校運営に参画する方向に最大限に振ったシステムという印象でした。

スタッフの立ち位置としては、「雑用」
・子どもと対等な立場で雇われている
・広報などを委任されている
・予約されない限りはフリーで動いている

中で全部やる必要はない

校舎内を案内してもらい、さまざまな部屋を見ました。
TVルーム、PCルーム、クリエイティブルーム、キッチン、図書ルーム…。
それぞれの部屋にさまざまなものがあります。
これらもミーティングの中で予算配分がなされ、購入したものなのだろうと想像がつきます。

さまざまあるにしても、多様なニーズの人がいる中で、ツールやコンテンツは足りるのだろうか、と一瞬よぎりました。
しかしすぐわかりました。
何もこの中で完結する必要はないのです。
プロジェクトの承認を受けたら新たなものを購入したり、講師を呼んだり、はたまたスクールの外部機関で学んだりすることもできます。
そうした多様なニーズに対応するインフラとして充実していることもあり西宮を選んだということでした。
文教地区ゆえの公共施設の充実、交通アクセスの高利便性、人口規模…。
この日も全員が来ていませんでした。
「学びのニーズは大人の想定を超えている」という言葉が印象的です。

教育観があるから教育になる

ではなんでもフリーで自由であればよいかというとそうではないはずです。
お話を聞いていくと、子どもたちは自由度高く振る舞っていましたが、その背景にあるスタッフの方の教育観や願いのようなものが環境を構成しているところは大きい印象です。

・日本の社会にある以上、サドベリー純粋培養でなく日本の社会の中で生きていくべき。
・やりたいことを見つけられない子は本来的にはいない。より良い自分に、という思いがあれば、やりたいことに辿り着くのは必然。
・サドベリースクールにいるあいだにやりたいことが見つかる保証はない。しかし小さいことからやっていけばそのうち見つかる。
・やりたいことがみつかればサドベリー的には100点。
・サドベリーありきでなく、「大人ありきでなく、子どもたちでつくる」を突き詰めて行ったら出会った。
・子どもは本当にやりたくなると、いつからでも、何年かけてでもやるようになる。
・公教育と私教育の関係はフラットであって、選べるような環境になるのが良い。選べず「行かされる」ことで問題が起こる。

理念や思いは言葉にするからこそ共有できるし、そこから教育が始まっていくのだろうと感じました。

お忙しい中の受け入れに感謝します。

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