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007_治りません

若い頃に衝撃を受けた事、ショックを受けた事、そうした体験によって人生は大きく変わる事があります。しかし逆にいつの間にか何者かに洗脳され、あるいは感化され、そのまま思考メカニズムがインストールされてしまった例があります。

先日、漫画家のさいとうたかを氏が亡くなりました。心よりご冥福をお祈りします。

は、いいとして何が言いたいかというと、私は、どうも、知らないうちに、いつの間にか、このさいとう氏に洗脳されていたようなのです。

さいとうたかを氏の代表作は沢山ありますが、やはり「ゴルゴ13」を筆頭とするファンは多いと思います。その長寿と発行部数が即この作品の価値という事ですが、何よりも「ゴルゴ13」ことデューク東郷の超人的能力とプロの哲学が人気の理由です。

しかし、この作品はそのキャラクターと共に、世界観が魅力なのです。

その世界観… フィクションには違いありませんが、多くの読者が「これがリアルなのだ」と思い込み、実際の世界も、「このような仕組み」になっていると信じているのです。私のように。

政治家、企業、犯罪者、組織、そして官僚や全くの個人も、ある目的を達成するためにデューク東郷に「殺し」を依頼します。それは正義や倫理ではありません。しかし悪や背徳でもない。何かというと何物でもない。強いて言えば「そもそも世の中はこのような仕組みで動いている」という事です。

そうすると政府や政治家、企業や資本家にクリーンを求める発想はナンセンスです。この世に正しいものはなくて、上記のような仕組みの中で「うまく事を運ぶ」しかなく、正論や真実というものに価値はありません。不可解と不条理が支配しているのです。

ちなみに、この「ゴルゴ13」は半世紀にわたり、そして今でも床屋、ラーメン屋、定食屋、居酒屋、喫茶店、コインランドリー、病院、etcなど、多くの店で大量にタダで読めるのです。私のようにこの世界観に洗脳された人間は、日本には大量にいるのです。

え、洗脳されているのが分かっているのであれば、自分でそれを解く事ができるだろうって?
残念ながら、治らないでしょう。

ある意味当然ですが、さいとう氏の死後も「ゴルゴ13」は続きます。

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