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【詩】春風

終端が眩ゆい煌めきをある者に放ち
生命の燃焼の幕引きを刷り込む
薄桃色の春風が体を撫ぜ
渦を巻いて
見返りながらさってゆく
その者は川端に沿って続く道に立ち
胸中に芽吹いた植物の匂いを
鼻腔いっぱいに溜め込んで
土に還るという標本的な定めを
薫風を睫毛に受けるが如く心持ちで
それを身に引き寄せた

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