トレイントレイン/ 雑記
今僕は電車に乗って家に帰るところです。車内はむんとしています。快速の瞬発的な揺れが身体を揺すぶってきます。前の座席では五人中四人がスマホを睨んでいる。なかなか優秀なほうです。一人はスマホを手にしていないのですから。その一人はじっと目を瞑って眠っているようです。でも、本当に眠っているのでしょうか。実は眠ってなんていません。目を閉じて外界をシャットアウトし、自らの意識のなかに隠れているだけです。それが証拠に自分の降りる駅が来たらパッと目を開けて降りていってしまいます。同じテクニックを使って、立って眠っている人もいます。こちらももちろん眠ってはいません。人間はそうするのが好きなのでしょう。僕も人間ですから、じっと大人しくそうしてしまいます。すると妙に落ち着いてくるものです。立って吊革を持っている人の靴はチェック柄。右から二番目の女性はスマホ両手打ち。品のいいお婆さん。足を投げ出した日焼けのおじさん。しかめ面。キャンバス地。あ、着いた。
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