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A先生の出会いからマガジンに至るまで

A先生との出会い
今から10年ほど前、私は臨床心理士として病院の児童精神科に入職しました。
そのときに別の病院から異動されてきたA先生と出会いました。
トトロのついたワインレッドの聴診器がトレードマーク。
年の近いお姉さん的存在で気さくに話してくださり、飲み会の帰りはいつも家まで車に乗せていただいたものです。
自閉症を愛する気持ちがあふれていて、PEP-3、CAT-KIT、コミック会話など自閉症支援の具体的な技術は、すべてA先生から学びました。
また、病院で新しい心理検査を買ってもらったときには練習相手になっていただき、平均をはるかに上回る驚異的な結果が出たときの驚きもよく覚えています。


娘ちゃんとの出会い

A先生と私の職場が別になってから数年後、A先生に娘ちゃんが誕生しました。
A先生と直接お話しすることは減ってしまったけれど、機会あるごとに娘ちゃんの話を聞かせていただいています(リアルの娘ちゃんに会ったのはたぶん1回くらい)。


娘ちゃんはとても繊細なタイプで保育園の先生に怒られないかをいつも気にしてしまうようなお子さんでした。
大人の目線や感覚では気づけない見通しにくさを娘ちゃんは感じていたのだと思います。
この生活は疲れるだろうなと心配に思いながらも、同時にキュンとする可愛さを感じてしまうのは、A先生が明るく話してくださるからだけれど(A先生の滑らかで弾むような声をしている)、そう明るく話してくれるのは、やはりA先生が小児の発達のプロフェッショナルだからだと思うのです。

聞き分けのよいタイプとして集団の中では見過ごされてしまいがちなタイプの娘ちゃんが飲み込んでいるだろう多くの気持ちや体験、背景をA先生はキャッチしていて、娘ちゃんの誠実さゆえに生じる葛藤をケアしています。
そこには本や研修で学ぶ自閉症支援のリアルがあり、娘ちゃんの特徴が、“困ること”ではなく、“カワイイこと”に読み替えられているのだと思います(もちろん全てがそうでなく、A先生も一人のママとして困ることイライラすることもあるのでしょうが)。


そしていよいよ

私は臨床心理士として子どもの発達に心配をもつ親御さんや、医療教育福祉の関係者と会ってきました。
A先生が語る娘ちゃんの話から見えてくる繊細な子どもの世界を、その人たちと共有したいと思っていました。


娘ちゃんのような繊細な子どもたち(大人たちも)。
彼女ら彼らの優しさ、誠実さ、がんばりに光が届き、日々の安心が少しでも確保されるようにと願い、
A先生と娘ちゃんのエピソードを、このマガジンでレポートしてみたいと思います。

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