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繊細さんの親子関係

最近の娘ちゃんの楽しみは、遠方に住むおじいちゃん・おばあちゃんのとのテレビ電話だそう。おじいちゃん・おばあちゃんの「保育園どうたった?」という問いかけはスルーして、お気に入りYouTubeの再現を披露しているのだそうです。そんな様子を見て「一方的なやりとりを見ていると、一見普通っぽく見えても自閉の特性があるなと思います。一人の世界で楽しむこと、それを出せる相手は必要」とA先生。

この話題から、繊細な感覚をもつ子の思春期を射程に捉えた親子の関係性へと話は展開しました。
発達を専門にする小児科医として、たくさんの子どもさんが大人になる様子をみているA先生の視点を共有させていただきます。

繊細な感覚をもつ子、独特な感性を持っている子と過ごす中で、母親が“私しかこの子を理解できない”、“私が守ってあげなければ”という思いになりがちかもしれませんが、これをやりすぎると思春期以降が大変になってしまいます。少し危険なところがあります。
母親は子どもの繊細な感覚や世界観を理解し、子どもの機嫌を自然にとることができます。“この子の繊細さを理解できるのは私だけ!”という感覚は、ともすると、母親にとってはうっとりして気持ちがいいものだなと、自分が母親になって感じました。でもそこに溺れてはいけないんだと、いろんな親子を見てきて自戒しています。

話は続きます。

自我が芽生える思春期に、いつまでも、母だけが子どもの理解者、ママは私のことを何でもわかってくれる…という関係でいると、お互いに居心地の悪さが出てきます。子どもと母親は別人格なので、考えや価値観が違うことが出てきたり、子どもの機嫌を親がとりきれない場面がたくさん出てきます。そうした時に、「自分のことをわかってくれないママが悪い!」と攻撃したり、「自分の好きなものをママも好きと言ってくれないのは、自分のことがきらいだからだ!」などと過度に自分と母親を一体化・理想化して不機嫌になったりといった不具合が起きやすいです。
なので、親の方から段階的に、‟私とあなたは別人”、‟考え方は違う”、‟自分のことは自分で行動して、あなたが考えてくれることは口にしてくれないとお母さんにはわからないよ”ということを意識して伝え、親離れをしていかないといけないなと思います。
母が子どもに寄り添い、子どもの世界と、外の世界の仲介者になることが大切な時期がもちろんあります。それが第一段階としたら、次は母が意識して子どもと離れる第二段階が必要です。
それは例えば「あなたは〇〇が好きなんだね。ママは△△が好きだよ」のように、好きなものが人によって違うことを知ることの積み重ねでもあります。また、母親が本人の気持ちを代弁しすぎず、コミュニケーションが不器用な子どもが、他人に気持ちを伝えることをサポートして練習していくことも大切です。
察しあうだけで終わらせず、母と子の間で言語化すること。母が代弁者になりすぎない、繊細な感覚をもつ子が内面を共有できる第三者と関係を築いていくことが大切です。

いかがでしょうか。

子どもさんにとってお母さんや家族はとても安心できる大切な存在。その関係の中で育まれた安心感や自己表現を一回り大きくできる家族以外の他者、ナナメの関係の大人とも言えるでしょうか。

出会う場所、関係の深さや繋がり方など、異なる角度のナナメを種類豊富に持てることは、子どもにも大人にも支えになりますね、きっと。

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