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繊細娘ちゃん、年長さんの日々

「小児科医A先生と繊細娘ちゃんの日々」久々の更新です。

繊細娘ちゃんも保育園年長となり半年が経とうとしています。コロナの影響を受けながらも確実に流れていく時間のなか、繊細娘ちゃんの「今」をお聞きしました。

繊細娘ちゃんの世界をご一緒できたらと思います。

小学校の見学へ

小学校生活が近づくなか、7月に小学校の見学に行ったそうです。以下、A先生のお話です。

原級は1クラス25~26人で保育園と同じ規模でしたが、教室を廊下からチラ見しただけで固まってしまいました。整然としたピリッとした雰囲気がダメだったのか、先生の大きな声にもいちいちビクビクして「うるさい」「こわい」と、感覚過敏も前面に現れてもいて、教室には一歩も近づけず、「(原級の)教室は絶対イヤ」と。
続いて支援学級の見学へ。教室の中に入るまでに5分程度かかりましたが、そちらには入ることができました。あとで、娘に小学校入学したらどちらの教室がいい?と聞くと、「少ないほう!いっぱいいる方は絶対やだ!」と即答。また、廊下の向こうで、先生が子どもに「何やってるんだ!」と注意するのを耳にすると、びくっとしてすぐに私のところに駆け寄ってきて「こわい先生がいた!!!」と震えていました。たぶんこれは小学校の日常。小学校の先生の声の大きさ、口調の強さに慣れる日が来るのだろうかと心配が募りました。

その見学後1カ月、お家のなかで小学校の「しょ」の字も出せないほどだったそう。
繊細娘ちゃんには「イマジナリーフレンド」「イマジナリーきょうだい」という想像上の友達やきょうだいがいて、ママであるA先生を相手に物語を繰り広げるのだそうです。そのきょうだいの中には小学生のお姉ちゃん‟ねーね”がいて、お話をつくったり娘ちゃんが‟ねーね”になりきって学校へ行く真似をしたりしていたのですが、学校見学でショックを受けた直後は“ねーね”が登場しなくなったそうです。1カ月ほど経ち‟ねーね”が再登場するようになった頃に「次の学校体験はいつ?」と娘ちゃんの方から質問があり、学校について再び話題にできるようになったということでした。
(ちなみにこの‟ねーね“は、早起きでご飯も早く食べられて、バイトもして…と、とにかく何でもできる設定なのだとか!娘ちゃんが人をリスペクトする側面、かわいい!!)

これから支援学級で行事がある機会に見学をしたり、知能検査を受けたりA先生の信頼するお医者さんに診断書を書いてもらったり、小学校入学へのステップが続いていくそう。
A先生は子どもの発達が専門で、お医者さんとして学校の先生たちからも相談を受ける立場だからこそ、娘ちゃんに必要な配慮について学校に求めていくことが圧にならないようにと慎重になるとも聞きました。もどかしい話です。。


繊細娘ちゃんの目に映る人間関係

続いてご紹介するのは、繊細娘ちゃんが経験するお友達関係のエピソードです。

小学校に入学したら近所に住む小学生のきょうだいと一緒に通学する予定です。近所ということもあり以前からよく遊んでいたのですが、1年生のAくんとちょっとしたもめごとがありました。内容は、娘の言葉をAくんが"バカと言われた”と勘違いしてしまい、その誤解を解くための説明を娘が返せなかったというもの。娘は‟Aくんはもう私と遊ばないと思ってる“、‟仲直りできない”と思い込んでいました。「私は誰と小学校に行くの?Aくんとはケンカしてるから一緒に行くのは無理だと思う」と言っていました。娘の誤解なので、それを解くためにAくんと話そうと伝えましたが頑なに拒否していました。
その後しばらく会うことがなかったのですが、Aくんのおばあちゃんと話をする機会がありリサーチするとAくんは別に全く怒っていないことが確認できました。娘の状況を話したところおばあちゃんがAくんに働きかけてくれ、Aくんから娘に声をかけてもらい、再び遊べるようになりました。一緒に遊べるようになったことはうれしいものの、それでも娘は、「なんで私は謝ってもいないのに、Aくんはなぜ許したのだろう」と釈然としない様子でした。

繊細娘ちゃんの頭の中には、外側からは計り知れない人間関係の相関図(しかもとっても複雑なもの)があるのかなと思いました。

それと同じように「イマジナリーフレンド」や「イマジナリーきょうだい」の世界も味わい深いものがありそう。A先生は、繊細娘ちゃんの「〇〇って言って」とのオーダーに沿って、ときにフレンドとなり、ときにきょうだいとなり演じるそうなのですが、そのやりとりから娘ちゃんの想いが見えると話されました。

現実世界、日常生活での体験を、娘ちゃん自身も物語を通して整理しているのかもしれませんね。


コロナによる新しい生活様式の中からの発見

コロナの影響で色々なことがオンライン化されたことは、人との距離感にも多様な"丁度よいかんじ”を示してくれているように感じます。

繊細娘ちゃんの習い事のエピソード、そしてA先生の診察室での風景をご紹介します。

オンラインの英会話教室は、とてもよかったみたいなんですよね。前はお店で外国の人を見るだけでも怖がっていたのに、オンラインだと、すっかりリラックスモードで話しています。先生は毎回違うのですが、予約するときに先生のサンプルボイスやプロフィールを聞けるので、「この先生いい声だね」など言いながら先生を決めています。もともと児童館みたいな"その場限り”の集団では積極的に入っていけるタイプだったので、毎回違う先生でも緊張しないみたい。
もう一つの習い事のピアノは、先生は慣れているけれど疲れるようです。なかなか上達しないけれど上手に弾けるようになりたいあこがれの気持ちはあり、辞めたいとは言わないのです。「ピアノは緊張するんだよ。ピアノもオンラインがあったらいいのに。」と言っていたりもしました。先生との関係も煮詰まってきていて、本人から「先生替えるのはどう?」と言われたこともあり、先生の交代をお願いしてみました。ピアノは習い始める前に、先生と合わなかったときに交代をお願いしやすいよう、個人のピアノ教室ではなく、大手の音楽教室を選んでおきました。今回の先生交代のお願いもすんなりと聞いてもらえました。

A先生の診察室では次のようなこともあったそうです。

勤務する病院でもコロナの感染対策としてアクリル板を挟んで診察しているのですが、もう10年以上の付き合いがある患者さんの保護者のかたが「このアクリル板が1枚あるだけで緊張が下がる」と話したんです。そのかたは接客業をしているのですが、お仕事でもお客さんとの間にビニールシートが1枚あるだけで違うと話されてました。
距離感とか、関係の薄さとかのちょうどいい感じって人それぞれ違うのですね。

オンラインで人と会うこと、アクリル板やビニールシートを挟んで人と対面すること。コロナによって広まったり生まれたりしたことだと思いますが、それでちょうどよい距離感を知ったり、今まで自分が負担に感じてきたことに新しく気づいたりしている方は多いのかもしれませんね。
選択肢が少しでも増え、自分が楽な方を選べるようになっているのだとしたら、うれしいことだなと思いました。


A先生のお話は今回はここまで。
保育園から小学校へ、大きな環境の変化にどう向き合って乗り越えていくのか応援しながら、繊細娘ちゃんの胸キュンエピソードをみなさんと共有していきたいと思っています。

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