コロナ後遺症(たぶん)で休職した話 3

6ヶ月と少し前から、コロナ後遺症とおぼしき症状(微熱・めまい・頭痛・倦怠感)で仕事ができなくなり、休職している。最近ではマスク着用が緩和され、5月には5類移行措置が予定されていることなどから、今後はますますコロナ前に近い生活が可能になると思われ喜ばしい限りである。が、私自身後遺症とおぼしき症状でここまで苦しむことになったのもまた事実であり、この感染症の恐ろしさを風化させてはならないとも思う。
そのような動機から休職に至る経緯と、通院・治療について書き記しておく。

前回の

〜半年の治療方針

めまい症状でお世話になっている大学病院の耳鼻科では、「平衡機能検査」をしたその日に結果を教えてもらった。なんでも、片耳の内耳の機能が下がっており左右で不均衡状態が生じているとのこと。片方の低下した内耳機能を補おうとして結果的にめまいが生じているのではないか?と言われた。内耳の機能低下の原因については、確固たるものは分からないがウイルス感染に起因するということも十分考えられるとのことだった。もしかしたら、コロナに感染したことがきっかけでこうなったのかもしれない、と改めて思った。治療方針としては、眼球を動かしたり首を捻ったりする運動療法と、内耳や脳の血流を良くする投薬の2本柱でいくとのことだった。

並行して、大学病院総合診療科では漢方と抗うつ薬を処方され、様子を見ることに。ここでは、諸症状の原因が何にあるかを色々と模索してもらい、可能性のあるものをつぶしていくことで原因を探りながら治療法を確立させていくという方針であった。なお、当初は、「コロナ後遺症とは考えにくい」と言われていた。

心療内科では主に睡眠安定剤を処方され、あとは規則正しい生活をするようにと言われた。起きる時間を固定して、3食きちんと摂るように、と。


その時々で少し薬の内容等も変わり、朝だけでも飲まなければならない薬が常に3〜5種類あった。大学生以降、朝食はほとんど食べたことがなかったが、薬を飲むために何かしらを食べるようになった。朝食がまともに喉を通らない日が人生の大半を占めていたので、朝起きて朝食を摂らなければならないのはかなりの苦痛だった。食べなければ、と自分で自分に食べることを強制していた。苦痛だった。5種類の薬をテーブルの上に並べて眺めて、まるで病人のようだ、と悲しくなった。こんなはずじゃなかったのに。本当はこんなに沢山の薬を飲みたくなかった。身体が、なんだか毒されてしまいそうで嫌だった。

〜半年の経過

心療内科に通い始めてしばらく経った2023年の年明け頃から、そこの先生に「普通ならストレス要因から離れると熱などは下がるはず。精神的なものに由来するとは考えにくい」と言われるようになった。私自身も、薄々、精神的なものではないと思いつつあった。その後も心療内科に行くたびに「おかしいですね。精神的なものではないよね」と首をかしげられるようになり、そろそろ引き際かと思うようになった。
大学病院と心療内科にかかるようになったのが2022年の10月頭ごろ。そこから5ヶ月少し経った2月中旬、身体の症状は全くと言っていいほど変化がなかった。服薬や運動療法は根気強く続けていたが、熱は下がらず、めまい・頭痛・だるさも治らない。とても仕事ができる状態には戻らなかった。

転機2

症状が出始めた2022年9月当初は、症状の原因として心当たりがあるとすれば、コロナに感染したことであった。ただ、その後、「感染から半年以上も経って後遺症が出てくるとは考えにくい」と折に触れて色々な医者から言われてきたので私自身も「これは後遺症ではないのだ」、と思っていた。その後精神的なものが原因となっているかとも考えた時期もあったが、どうもそうではないらしい。
じゃあ、原因は何だろう?と考えていた頃、テレビやネットで盛んにコロナ後遺症の実態が報道されるようになってきた。感染経験者が爆発的に増え、それに伴って後遺症と思われる症状に苦しむ人々も多く明るみに出るようになってきたのである。そういった患者の絶対数が増えれば臨床研究が進む。某県の国立大学医学部の研究では、感染から半年以上経って後遺症と思しき症状に苦しむ人が一定数いるということが明らかになっていた。そして2月頃になって再び巡り巡って、「私の現在のこの症状はコロナの後遺症なのではないか」と思うようになったのである。

家族とも実家の両親とも話し合い、現状から脱却するためには今までの治療ではどうにもならないかもしれないという考えに至った。症状が出始めて約半年、色々と試しているものの全く回復の兆しが見えないからである。必要ならば県外の「コロナ後遺症外来」とやらに行く覚悟さえ決めた。
そんな矢先、大学病院へ行く機会があった。そこで泣きそうになりながら総合診療科の先生に「なんとかして治して仕事に復帰したい」旨を訴えると、院内の「和漢診療科」へコンサルトしてもらうことになった。
仮に私の症状がコロナ後遺症であったとしても、コロナ後遺症発症のメカニズムも完全に明らかになったわけではない。原因についてはこれ以上追及しようのないところまで来ていた。原因を深く探ろうと躍起になるのではなく、今ある症状について改善を試みるのが良いのかもしれない。

和漢診療科へ

2023年3月中旬、今通っている心療内科、耳鼻科、総合診療科と並行して和漢診療科へ通うことになった。西洋医学では限界のある疾患等に対して、東洋医学的アプローチを試みるという診療科で、漢方などが処方されるとのこと。
行ってみるとかなり丁寧な問診をされ、体組成を測定されたり脈診・舌診・腹診などをされた結果、「血の巡りが悪い」ということを言われた。

というわけで、漢方薬(薬草などがいろいろ入っていて毎日40分煎じる煎じ薬)を処方された。ツムラの個包装漢方などとは異なって、完全オーダーメイドの処方なので対応できる薬局も限られている。病院の近くの薬局は対応しているとのことでそこで薬を作ってもらった。内容物的には「加味逍遙散」という漢方に当たる。色はどぎつい黄土色で、遠くから嗅ぐと雑巾のような悪臭だったが、3週間飲んだ現在は大分慣れた。最初飲んだ時は衝撃的だったが、味に多層性があり、甘みもあり、今ではかなり美味しく飲んでいる。

今のところ、目に見えた効果はなし。熱も下がらず、すっと同じ体調が続いている。今後に期待かな


新たな診断名

昨年9月の時点で心療内科にて「身体表現性障害」と診断されていたが、最近はずっと「精神由来とは考えにくい」と先生から言われていた。私も心に悪影響を及ぼすような原因には心当たりがないので、3月中旬に大学病院に行った際に「慢性疲労症候群」というこれまでとは別の診断名で診断書を書いてもらった。
症状が出始めた頃は何度か慢性疲労症候群について調べてみたが、今になってもう一度調べてみるとまさにドンピシャ。発症の原因は様々に考えられるが、明らかになってはいない。ただ、最近ではウイルス感染などにより脳の炎症や免疫異常が起きているために発症するという見解もある。

全国には、コロナ感染後に慢性疲労症候群のような症状に苦しむ人が多くいるようである。恐らく、私もその1人になってしまった。
気持ちに身体がついてこず、全部嫌になってたまに泣き喚くこともあるが、まあ急がずぼちぼちやっていこうと思う。

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