ひと夏の人間離れ
「あたし、この夏は女を辞めてみようと思うの」
「なんだい?急に」
「あたしね、あなたの女であることに、なんか疲れちゃったのよね」
「ごめんね。なんか。それで、何になるつもり?」
「あたしは、あなたの…いや、やっぱり言えないわ」
「そこまで言ったら、言ってよ」
「やっぱり、言えないよ。言ったら、あたしのこと、嫌いになるから」
「そこまで言ったら言ってよ。余計気になるじゃない。嫌いになんかならないから、言ってごらんよ」
「じゃあ、言うね。あたしはあなたの徳永英明になる!」
「徳永英明って?」
「徳永英明よ」
「それは知ってるけど。僕はあまり徳永英明を聴いたことはないけど」
「そうね」
「だったら?」
次第に、彼女の言葉を焦れったく思い始めた。何なんだよ。オレの女を辞めて、徳永英明になるって?
「なんか、徳永英明の歌を歌ってくれるってことかな?」
「🎵本当の幸せ教えてよ
壊れかけのradio」
「いい歌だよね?」
「そうかな?やっぱり米津玄師になる!」
(410字)
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