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短編 | 本の一部が西瓜ならいいのに...

「しかし、こんだけ暑いとやってられないな!」

エアコンの冷風を浴びながら、その前で胡座をかくのが、日課になりつつある。

「受験生なんだから、勉強しなきゃなぁ」という思いはあるが、ボーッとする時間が多い。

「亜希子!オマタ開いてボサッとしてないで、勉強しなさい!」

「は~い」

仕方ない。ぼちぼち勉強するか。
教科書をもって来て、もとの場所に座る。

「アボガドロ定数とは…理想気体の状態方程式は…」

ダメだ。全然集中できない。
なんでこんな暑いときに、教科書を読まなくちゃならないんだろう?

そうだよ。教科書が紙で出来てるから悪いんだ。
いっそのこと、教科書がスイカ🍉だったらいいのに。。。

そのときのことである。
教科書の手触りが、スイカの皮の手触りに変わった。そして、みるみるうちに、スイカの汁で手が真っ赤になった。

ウソでしょ?

いつの間にか、眠ってしまっていたようだ。なんだ、夢か。。。


(405字)
おしまい



#毎週ショートショートnote
#ほんの一部スイカ
#短編小説



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