夢想冒険譚

 急な出会いを、世界を揺るがす出会いを求めていた。この歳でまだ未来から猫型ロボットが来ると、フクロウが入学許可証を持ってくると、本気でそれを願うのが後藤 良太郎だった。小学生になれば、中学生に、高校生になれば世界は自由になると思っていた。退屈で不自由で驚きのない世界から逃がれられると。大学に入り最新の科学を学ぼうとそこに魔法は無かった。自由と謳われていた大学も退屈だった。この先の可能性もそう残されてはないと知ってしまった。

 そういう訳で俺の求める世界は外界には無かったのだと思うことにした。それは頭の中にしか無いと。ここで生きる理由は情報を摂取し脳内を豊かにするためだけ。しかしそう割り切った所で退屈は癒えなかった。

 大学のベンチに寝転び過去何度もしたこの思考に至った時だった。

 漸く出会いがやってきた。

 俺はまっすぐそれを目指して歩いた。ここでチャンスを逃して後悔し続ける人生は嫌だった。

【続く】

あなたのお金で生きています