魔法使いの弟子
「魔女!ふへへ…わたしゃ探偵みたいなもんさ。霧の模様もコインの表裏も全部が繋がってる。1を見て推理するのさ、全部をね」
「何でも良いさ。占いの評判を聞いてわざわざNYから来たんだ」
「死に際が近いと語りたくなるもんさ。今日の事もわかってた。知らせる事はもうここに」
俺はツォ婆の差し出すメモを受け取ると拳銃に手をかけた。
「後そこにゃ書いてないけどね。アンタはあと5日で死ぬ。何をしてもね」
「言ってろババア」
BANG!
額に銃を撃ち込む。
BANG!BANG!
こいつはおまけ。
「…あっけね。よっぽどやべぇ依頼だと思ったのによォ。何が5日で死ぬだ。死んだのはお前で今日だ」
倫敦で老婆を一人殺すだけで10万$。普通なら怪しむ所だがコステロ・ファミリー仲介の依頼は断れなかった。
「さてメモには何書いてんだ。俺が知りたいのは旨い中華の情報だぜ」
汚えアパートを出て停めていた車によりかかり煙草に火をつけメモを開く。メモには大きな文字で一文だけ。
『恨みやしないよシド・ディアス!』
体が硬直する。何故俺の名を?依頼の話は誰にもしてねぇ。情報は漏れようがない。辺りを見渡す。何者かに…嵌められた?何故?俺は大した殺し屋じゃねぇ。依頼でこじれたこともねぇ。
prrr!
突然携帯電話が鳴り出し非通知の着信をつげる。
「…もしもし」
『最後の2発は余計だったねぇ』
「…生きてたのか?」
『録音だよ。アンタの為に残した。切るんじゃないよ!切ったら消える。ディアス!部屋に戻らず走りな!死体を検める暇はないよ!車もアパートもあと4秒で爆発する。ほら3…2…』
「何だって!」
KABOOM!
直ぐに駆け出すと爆風が背中を押してくる。車の破片が頬を掠め煉瓦が降ってくる。
『ちゃんと信じたね。その調子だ。アンタは死ぬが真相を知りたきゃ言うことお聞き』
何が起こっている。死ぬ?手掛かりは…最早一つしか…
「何すりゃいい?」
『コステロファミリーに乗り込むのさ』
【続く】
あなたのお金で生きています