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4話

 私と風花が駅を出ると、唐突に射した陽光に、思わず目が眩む。時刻は17:30、日はまだ暫くは沈みきらなそうだ。 「てかさ、咲ん家行くの久しぶりじゃない?」  風花がふと浮かんだ疑問を口にする。   「いや、先週もうち来たよ……」 「そだっけ?」  因みにその時は、暑くなってきたからとか言ってゲリラホラー映画祭りが開催された。ホラー物を持ってくるのはいいものの、いざ見るといつも怖がって抱きついてくる。なんで怖いのに見たがるかな〜。 「今日の夜ご飯なんだろなー?オムライス

    • たんぽぽノート 3話

      フロアマップを見る風花。ショッピングモールは広くて、本屋が何処なのかを探しているところだ。 「えっと、今が3階だよね?本屋さんは…えっと…5階だ!あれ?でもあたし達今3階のどこに居るんだっけ?あれ?」  頭の上に幾つもの?を浮かべ、次第に頭から煙が吹き出しそうになっていた。 「風花、目の前に現在地って書いてあるよ」  私はマップ上の現在地と書かれた場所を指差す。 「あれー、本当だ」  けらけらと笑って誤魔化す風花。 「とりあえずエスカレーターに向かおう?」 「

      • アイコン完成

        • たんぽぽノート 2話

           裏門から人目を気にしながら入りこみ、こっそりと校舎に潜入する。 「まるで極秘任務中の女スパイだよねー、今のあたしらって」 「届けるのは極秘情報とかじゃなくていちごじゅーすなんだけどね……」 「美味しすぎるやばいじゅーすだよ!」 「やばいじゅーすはなんか入ってそうでやだなぁ……」 (というか、いつも思うけどこんなあっさり侵入できるのって、セキュリティ的に大丈夫なのかな……)  小声でそんなやり取りをしながら学校の防犯設備に疑問を抱いている内に保健室に辿り着いていた。 「

          たんぽぽノート 1話

           私の名前は鼓草つづみぐさ 咲さき。現在、遅刻しそうです!  夏の日差しに照らされた道は熱を帯び、走る私の体力を奪い続ける。汗だくになりながらも私達は駅へと走り続ける。 「風花!急がないと乗り遅れるよ!」 「うぇぇ……溶けるぅ………暑さがキャパい……」  ぎりぎり、発車寸前の電車に滑り込む。車内は冷房が効いていて、外よりずっと快適だった。しかし今は朝の通勤時、人が多く、折角の冷房も効果が薄く感じてしまう。 「冷房ちゃんとついてるのこれ〜?暑すぎぃ……」  そう言って

          たんぽぽノート 1話