【月刊pic-step11月号】れーかるる先生インタビュー
こんにちは、月刊pic-step編集部です!今回は、イラストレーターの
れーかるる先生のインタビューをお届けいたします。
れーかるる
デザイン専門学校卒業後、グラフィックデザイナー兼イラストレーター
としてブライダル関係の会社に勤務。
2019年にフリーイラストレーターとして活動を始めた。
人気Vtuberのイラストや、企業系Vtuberのキービジュアルイラストを
担当するほか、雑誌や画集ではオリジナルイラストを掲載し、
フリーイラストレーターとしての存在感を示した。
アパレルメーカーとのコラボレーションや、企業コラボグッズを
発表するなど、多彩に活動中。
れーかるる先生の描かれるイラストでは、どこか儚くかわいい女の子が人気を集めています。作品を彩る背景や小物の描写は精密で、れーかるる先生の確かな画力を感じさせます。今後はリアルイベントにも積極的に参加していきたいとおっしゃるれーかるる先生は、どのようにして作品を構想していらっしゃるのでしょうか?
ファンの皆様から寄せられた質問に絡めて、先生から伺ったお話をご紹介いたします。
愛情をこめて描くことが大事
―それでは、本日はよろしくお願いいたします。れーかるる先生のイラストは小物や背景の描写がとても精密で、すごいと思います。このように要素が多いイラストを描く時、こだわっているポイントを教えてください。
れーかるる先生:オリジナルキャラクターを描く時と、Vtuberさんの既存のキャラクターなどを描く時で考え方が違うんですけど、まず、オリジナルキャラクターの場合は主役の女の子を最初に描いてしまうんです。それから、ベースになる女の子に似合うものや、モチーフに沿ったアクセサリーをコーディネートしていく感覚です。
―オリジナルキャラクターの場合はご自分の好みでデザインなさるということですね。では、お仕事でVtuberのキャラクターを描く時はいかがでしょうか?
れーかるる先生: Vtuberさんの既存のキャラクターの場合、アレンジがメインになるんですね。事前にVtuberさんの好きなものや、普段の衣装モチーフや、キャラクター性を入念に調べて、その子にしか着こなせない特注衣装のようなイメージでデザインしています。
―キャラクターに合わせてイメージを膨らませるんですね。実は今、先生の作品集を拝見しているのですが、銃を持った女の子のイラストに目が引かれました。銃をデコレーションするところとか、こういったアイデアはどうやって発想されるんですか?
れーかるる先生:この作品では、銃を持った女の子というコンセプトが先にあったんです。そこからイメージを膨らませていきました。構想の段階で色々と下調べをするんですね。このイラストの時にはちょうど「デコ銃」が若者の間で流行っていたので、デザインに反映してみました。
―世の中のトレンドもすぐに取り入れていくという感じなんですね。すごいと思います。先生ご自身もこういったファッションがお好きなんですか?
れーかるる先生:イベントに参加する時は少し気合を入れたファッションを選ぶこともあります。でも、普段は「大人かわいい」みたいな服が好きです。色は黒やピンクを選びがちかなと思います。黒とか、ピンクが好きなんです。それはそれとして、フリルがたくさんついたワンピースやドレスにあこがれる気持ちも持っているんですね。なので、キャラクターに豪華な衣装を着せたり、アイテムを持たせてみたりして、あこがれを詰め込んで楽しんでいるところもあります。
―こうしたアイテムや衣装、背景も、先生のイラストはとても細かく描き込まれていて素敵です。実際に絵を描く時のコツや、こだわりなどありましたら教えてください。
れーかるる先生:描きたいものや表現したいシチュエーションがあるのであれば、よく資料を見て描くことが大事だと思っています。とにかく下調べをして、対象を観察するんです。私の場合は、かわいい女の子がモチーフとして特に好きなんですね。なので、普段からかわいい女の子にアンテナを張っておいて、街で見かけたかわいい人のことをメモしたり、観察したりして、ネタ帳を作っています。
あとは、料理をしている時とか、日常のふとした瞬間にアイデアが降ってくることがあるんですよ。具体的なタイトルを思いつくこともあれば、少し悲しいことがあった時の自分の心情をメモしておくこともあります。
作品に表現したいものが合致した時に、ネタ帳に記録したものを絵に落とし込んでいくんです。
―常日頃からアンテナを張っていらっしゃるんですね。すごいです。先生のイラストからはモチーフへの愛情が伝わってくるような気がします。
れーかるる先生:ありがとうございます。イラストは表現なので、描く時の気持ちが絵に影響すると思うんです。だから、愛情をこめて描いた絵のほうが、より良いものになると思っています。
―素敵なこだわりですね。先生の作品では下から見上げる構図や、上から見下ろす構図など、イラストの構図にもいろいろと工夫されていますよね。ポーズも多彩だなと思いました。どのようにして決めていらっしゃるんですか?
れーかるる先生:私はどちらかというと感覚的にイラストを描いていくほうなんですけど、構図については補助線を意識しています。基準線の他に補助線というものがあって、補助線の交差する場所が画面の目立つ場所なんですね。なので、イラストのラフを描いている時に、補助線のレイヤーを乗せて、顔や、目立たせたいアイテムなどを目立つ場所に置くようにしています。
―教えていただきありがとうございます。
愛があるほうがより良い作品になるとおっしゃる、れーかるる先生ですが、ここからは作品のご紹介と併せて、より深くイラスト制作について伺っていきたいと思います。
イラスト1:「シンデレラにはなれなかった」
―最初にご紹介する作品は「シンデレラにはなれなかった」というイラストです。額縁に飾られた写真という構図や、手前の鎖など、なかなか思いつかないようなアイデアだと思います。こういう風に描こうと思ったきっかけなどあるのでしょうか?
れーかるる先生:実はこの作品で初めて儚い系のイラストを描いたんです。アイデアはネタ帳に蓄積した中から選びました。ちょうどイラストレーターとして独立したばかりの頃に描いた絵で、初めて自分の内面をさらけ出した作品です。女の子のモチーフはシンデレラなんですけど、シンデレラって選ばれる立場の女の子ですよね。当時は仕事に行き詰まっていて、選ばれる機会がないと感じていた私には、とても共感する部分があったんです。思いを乗せて描いた記憶があります。
―先生ご自身の感情を乗せた、大切な作品なんですね。
れーかるる先生:そうですね。この絵は私の作品として初めて大きな反響をいただいた作品でもあるんです。この絵をきっかけに私というイラストレーターを認知してくださった方も多くて、そういう意味でも思い入れが強い作品になりました。
全体的には暗い色調の絵ですけど、背景に描き込んだ青薔薇がありますよね。青薔薇には「夢叶う」という花言葉もあるんです。この女の子にも、自分にも、これからの未来に希望があるという願いを込めて描いたので、反響をいただいた時はすごく嬉しかったです。
―本当にすごいですね。ぱっと見ただけでインパクトがあって、直感的にすごい素敵だと思いました。前面に描かれている鎖は感情的な部分を表現しているんですか?
れーかるる先生:この作品の裏話になるんですけど、本当は2部作品で計画していたんですね。2作品目ではこの女の子がシンデレラの衣装で額縁から出てくるという構想でした。ただ、気持ちがリンクしているだけあって、当時はこの作品を完結できなかったんです。
いつか自分に自信がついた時、この子も本物のシンデレラにしてあげたいと思っています。
鎖は、これから突き破っていく「殻」をイメージして描きました。
―この女の子は先生のオリジナルキャラクターと伺っています。ほかにどんな特徴があるのでしょうか?
れーかるる先生:キャラクターのベースはシンデレラなんですけど、ハサミをいつも持ち歩いているという設定を付け加えています。女の子は失恋すると髪を切るという話がありますよね。そこから発想して、このイラストの中では、髪の毛にハサミをあてるポーズを選んだんです。
―すごくインパクトを感じます。よく見ると瞳の中のハートが割れていたり、細かい表現が描き込まれていてすごいなと思いました。作品集のほうにもこのイラストが掲載されていますが、作品集のほうではタイツが破れているなど足元の描写が目を引きます。あえてこのように描かれたんですか?
れーかるる先生:作品集のほうでは次のイラストと合わせた部分もあるんですけど、少し荒んでいる雰囲気を出したくて、タイツをボロボロに描写しました。あとは、私のフェティシズムもあります。
イラスト2:「一緒に遊びますか...?」
―次にご紹介する作品は「一緒に遊びますか...?」というイラストです。こちらの作品はかわいらしい感じの表情をしている女の子が描かれています。雰囲気も明るくて素敵です。この作品はどういう気持ちで描かれたのでしょうか?
れーかるる先生:この時の気分は晴れでしたね。初めてやりたい仕事のお話しが決まった時に描いた絵なんです。
―猫じゃらしを持って、猫をじゃらしているというシチュエーションですよね。よく見ると、後ろの猫が顔をちょこっと出して隙間に挟まっていたりして、かわいいですね。どういうコンセプトだったんですか?
れーかるる先生:動物のイラストを見るのが好きなんですね。このイラストはかわいい猫ちゃんを描きたいなと思ったところからスタートしました。メインになっている女の子は最初は学生服を着ていたんですよ。癒しの絵として描き進めていく内に、メイド服のほうがしっくりと馴染むなと思うようになって、メイド服にしたんです。
―先生は猫がお好きなんですね。実際に猫を飼っていたことがあるんですか?
れーかるる先生:猫は本当に好きなんですけど、猫アレルギーで実際には飼えなかったんです。でも、このイラストをSNSに投稿した時に、「猫がリアルだ」とか「髪の毛で遊んでいる猫のしぐさがリアルだ」などのコメントをいただいて、嬉しかったです。
実際には少し触るだけでもアレルギーの症状が出てしまうんですよ。でも、絵の中だったら猫と触れ合えるんだなとポジティブになりました。それで、女の子と猫のイラストをよく描くようになりましたね。
―背景や小物をここまで描き込むのは大変なのではないかなと思います。先生がイラストを描く時はどれくらい時間がかかるんですか?
れーかるる先生:作業時間は状況によって変わってきます。通常はフルタイムの時間に合わせて1日あたり8時間くらいを作業にあてているんですが、締め切りが迫ってきた時には深夜まで作業したり、徹夜になることもあります。
―締め切りまでの時間の範囲で、納得できるまで描き込んでいくという感じなんですね。先生の作品集には猫の他にウサギを抱っこしたメイドさんのイラストも収録されていますが、ウサギもお好きなんですか?
れーかるる先生:ウサギも好きです。ウサギは今のところアレルギーがないので、後々飼おうかなと思っているレベルで好きです。ウサギモチーフのイラストもよく描いているんですが、こういう「動物×女の子」の作品をきっかけにお声がけいただく機会も多くて、ありがたいと思っています。
イラスト3:「忘れないで、私がここに居たこと」
―最後にご紹介するのは「忘れないで、私がここに居たこと」という作品です。このイラストはどのようなイメージで描かれたんですか?
れーかるる先生:こちらはお仕事として描かせていただいたイラストなんです。春だったんですけど、ちょうどとても忙しかった時期に描いた作品で、イヤリングのモチーフに選んだ勿忘草と、背景の桜からタイトルを決めました。ありがたいことに、この頃はすごくたくさんお仕事のご依頼をいただいていて、SNSにイラストの投稿を全くできなかったんですね。SNSを通して私を見守ってくださっている方を想像しながら、「私を忘れないで」という、勿忘草と桜に共通する花言葉に思いを乗せて描き下ろしました。
―メイドさんがお好きだとのことでしたが、このイラストではちょっと大人っぽい雰囲気の衣装を描かれていますね。
れーかるる先生:メイド服は好きですけど、私が描くイラストではメイドじゃない子もよく登場します。衣装のバリエーションも大事だと思うので。
―イラストに描き込まれている蝶々のアクセサリーも素敵だと思います。蝶々もお好きなんですか?
れーかるる先生:蝶々も好きで、よく描いているモチーフです。蝶々のイラストでは、SNSに投稿した「胡蝶の夢」という絵があるんですけど、反響をたくさんいただけて、思い入れの深い作品になりました。
「胡蝶の夢」という故事成語から発想していて、蝶に合わせて「バタフライピー」という青い紅茶を描き込んでみたりして、かなりこだわって描いた覚えがあります。
―この女の子が使っているアクセサリーとか、こういったものが実際にあったら素敵ですね。
れーかるる先生:夢のようなお話しです。もし実現できるならやってみたいですね。
―素敵な夢だと思います。この絵には描かれていないのですが、先生の作品を拝見していると、タバコを咥えているメイドさんのイラストをよく描かれている印象があります。どのようにしてこのシチュエーションを着想されたのでしょうか?
れーかるる先生:私がタバコを好きなわけではなくて、「シンデレラちゃん」という私のオリジナルキャラクターから派生したイメージなんです。シンデレラの和名は「灰かぶり姫」って言うんです。実際のシンデレラの「灰」っはタバコではなくて、埃の「灰」を指してるんですよね。
シンデレラとメイドさんには、お掃除とか埃とか通じるところがあると思うんです。
そこから発想を飛ばして、埃の灰まみれではなく、失恋してやさぐれて”あの人の味”を忘れるためにタバコの灰まみれになっている……というシチュエーションを思いつきました。
―タバコがあることによって、より一層イラストの世界観が深まって際立つように感じました。とても素敵だと思います。先生の今後に期待する声も多いと思います。私ももちろん、先生の新作を楽しみにしています。
れーかるる先生:ありがとうございます。シンデレラちゃんの作品をきっかけに私の絵を好きになってくださったという声をよく聞くので、私もとても大切に思っているキャラクターなんです。シンデレラちゃんはこれからもどんどん描いていきたいと思っています。
新作が出来た時には、ぜひ見ていただけたら嬉しいです。
今回のインタビューで、れーかるる先生は、人と話すのが大好きなのだと笑顔を見せてくれました。今後はイベントにも積極に参加して、ファンの方ともどんどん交流していきたいのだとか。
2023年から同人活動を始め、現在は福岡と東京方面を中心としてイベントに参加していらっしゃいますが、いずれは関西やその他の地域にも機会を広げていきたいとのことです。
ライトノベルのキャラクターデザインや挿絵、挿画のお仕事を目指しているとおっしゃる、れーかるる先生のご活躍を、編集部一同、楽しみにしています!
れーかるる先生、この度は本当にありがとうございました。
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よろしくお願いします。
次回もお楽しみに!
インタビュー:林 真一
記事:葉月によ
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