警部、お願いします!(9)〜毎週ショートショートnote〜
警部、お願いします!【scene9】
(本文410文字)
「警部、お願いします!」
「分かってることを教えてくれ」
「はい、ガイシャは佐藤太朗、二十二歳の大学生。ホシの田中次郎は、吹奏楽部の一つ後輩。二人は同じ高校出身で、高校時代も吹奏楽部で先輩後輩の間柄でした」
「なるほど、何者かによる暗殺……厄介な事件だな」
「動機は、アルハラです。ガイシャは下戸の田中に日常的に飲酒を強要し、断ると暴力を振るっていたとの証言を得ています」
「動機不明の暗殺か」
「昨夜は、ガイシャの部屋で鍋をしており、執拗な飲酒の強要にブチ切れて、鍋を頭に振り下ろしたそうです」
「つまり、手口も不明……プロの仕事だな。ガイシャは、何か裏の組織に関わっていた可能性もあるな」
「田中は取調べに素直に応じています。ガイシャに対して鬱憤が蓄積されていて、ついカッとなってしまったと。衝動的だったので、鍋掴みも使わなかったことを深く反省しています。両手とも火傷した上、返り湯も浴びています」
「全て解明済みか。親切な暗殺だな」
(了)
またまた神……いや警部頼みです😅
警部、暗殺やないで!
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