テクニックを磨くためには、ピアノを弾くということをよく感じること

ピアノが上手くなるためには、テクニックを磨くことが欠かせませんが、テクニックを磨くためには、ピアノを弾くということをよく感じることが基本姿勢となります。

草花が季節を感じ、芽を出し、実を結ぶまでを完結させるかのように、鳥たちが風を読み、一日の進むべき方角を見定めるかのように、ピアノを弾くとは一体どんなことなのか、じっくり感じながら練習を進めることが大切です。

ピアノを弾くとは一体どんなことなのか、一番よく感じていたのは、ショパンであると私は思います。

技巧的な演奏技術がトレンドの時代の中にも関わらず、それまでのメカニカルな思想とは真逆の、真に人間自然本来の可能性を探求したショパンは、ピアノを弾くための理想的なテクニックを若くして見つけていました。

ショパンはきっと、ピアノを弾きながら自分自身の感性とたくさん対話をし、自らが感じるがままを大切にテクニックを磨いていったことでしょう。

ショパンの作品は、何度も繰り返して練習したからと弾けるようになるものではありません。

音楽性やテクニックという目には見えないことを見つけられた人にだけ、弾ける作品です。

ショパン自身、ピアノ奏法についてまとめようと筆を進めていましたが、彼の文章は一見合理的に見えても、深く考えると非合理的な世界に向かいます。

故に、ショパン本人も、自分の見つけたテクニックを文章で表し切ることは出来なかったのかもしれません。

紫外線の量や温度の閾値など、種子から芽が出てくる条件は科学的に分析できても、では、どうして種子は芽を出す力を宿しているのかを説明するのは神のみぞ知ることのように、ピアノを弾くことについて立体的に描くことは、私たちにはできないのかもしれません。

なので、自分の思想や感性や魂といった目に見えないもので、捉えていくしかないのでしょう。

良く感じること。

テクニックを磨くために何よりも大切です。

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