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なぜ、やさしい心が演奏に必要か

ストレスの対義語は?

ストレスの対義語は、何でしょう?
ストレスのない状態、リラックス、弛緩状態?

ストレスの反対は、「優しさ」「kindness」である。
-デヴィッド・ハミルトン

これを読み、納得。
コンサート前とか、ストレスが溜まると
他人に優しくする、余裕がなくなります。

「私って、もしコンサートがなかったら、優しい人間なのよ」
と家族に言ってみても、
「いつも、コンサートあるだろ。」
と、白けた目で見られます。

本番前に、ある程度のストレスを感じるのは、
スーパーマンでないかぎり当然。
そんな緊張状態のときに「優しくなれる」
というのは、高度なスキルを要します。

だいたい、技術的にも音楽的にもすぐれたピアニストは
世界中、履いて捨てるほどいます。

その中で、
偉大な演奏家と、普通の演奏家の違いは
《 プレッシャーのかかった状態で、力を出し切れるか》
ということ。

それには、「感情をコントロールできる」というのは、
演奏家にとって、最も重要な条件となります。

ストレス状態のとき、その反対の「優しさ」を
選択できるか、ということです。

著名ピアニストは、モルモットを撫でる

ボリス・ベレゾフスキーの知人から
聞いた話です。

ベレゾフスキーが、ピアノ・トリオを演奏するコンサートの直前の
舞台裏をのぞいてみると、
ロシア人トリオのみんなで、
「緊張を抑えるために」
可愛いいモルモットを撫でていた、とか。

かわいそうなモルモット…

ベレゾフスキーのような、超人並のピアニストが
緊張するとか、まず想像できませんが。

でも、よく考えたら、
これって、科学的根拠に基づいていますよね。

前述のデヴィッド・ハミルトン氏も言っていることですが、
人は、ストレス状態のとき、ストレスホルモンが脳内に分泌されます。
その反対の働きをするのが、オキシトシン。
オキシトシンは、〈癒しホルモン〉〈愛情ホルモン〉とも呼ばれますが、
ハグをしたり、肌の触れ合い、人との交流などにより分泌されます。

まさに、「ストレスの反対は、優しさ、癒し」です。

自分にもやさしくなろう。

他人に優しくするのと、同じぐらいに大切なのが、
自分に優しくなること。

たくさんの、演奏家にとって、
「練習しすぎない」
というのは、大きな課題です。
「良い演奏をしたい。失敗したくない。」
という気持ちが大きくなりすぎて、
時には、体をこわしたり、怪我するまで
練習をしすぎてしまうことも。

しかし、以前のブログでも書いたように、
演奏中には、
「極度の、興奮やエクスタシーの絶頂から、
リラックス、チル状態まで、自由に移行できる能力」
が必要です。 

生活の中で、その絶妙なバランスの秘密を
ゲットすることができなかったら、
どうやって、演奏中に可能になるでしょうか。

演奏中の、過緊張を克服したかったら、
自分に優しくなりましょう。
時には、自分を甘やかしましょう。

普段の生活での態度、人生の楽しみ方などが、
演奏に大きく反映されます。

コンサートの準備で、ストレスを感じているときも
あえて、優しくなる事を選択できるとき、
演奏家として、次のステップに進めることでしょう。

#ピアノ #演奏法 #クラシック音楽 #音楽  

 

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