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愛の夢バレンタイン企画:第1週
皆さま、楽譜はお手元にありますか?
(まだの方は上のリンクからどうぞ↑)
そして、演奏するパートは決まりましたか?
ということで、ピアノチャレンジ企画!
企画の概要は https://note.com/pianoduoruban/n/ndc64c8955e2d
第1週は「連弾譜読みの手引き」と題して連弾で譜読みをしていくときのコツや注意点を見ていきます。
1) 初見
まず、どんなアンサンブルでも自分以外のパートを弾いてみる、歌ってみる、というのは練習していくなかでとても大事なことで、これを読んでくださっている方のなかには、そんなこともう知ってるよ!という方もいるかもしれません。
ただ、連弾は「そのもう一つのパートを弾いてみる」という作業が切っても切り離せないほど重要です。というのも、連弾は一台のピアノを4手で共有してるわけですから、お互いの手がとても近付いたり、時には交差するときなんかもあります。何回も個人練習をする前に、どの辺りで交差するのか、すぐに手を退けるべきところはどこか、頭の隅に置けるよう予習をしておくと、合わせのときにすんなり馴染めることが多いです。
さて、本題の初見をしていきましょう。
これはソロの愛の夢と同じ問題なのですが、あの美しいメロディーをどの手で弾いているか問題です。連弾verでは主にプリモが弾いているのかセコンドが弾いているのか、そして二人で一緒に弾いているのか確認してみてください。
今回の連弾アレンジではメロディーが1手のみだったり、2手もしくは1手だけどオクターブなど、それぞれが場面ごとに対応しています。要はメロディーの担当の仕方が変われば曲の展開も変わってきているということです。
iPadで楽譜を見る方は、ピアスコアビューアーアプリ等でメロディーラインを書き込み機能でマーカー付けたりするとメロディーの受け渡しが目でも見えるようになりますね。
❁︎譜例1
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70221954/picture_pc_76cf2497f586eb98c4c75147a9dcb93b.png?width=800)
やはり高音域を担当するプリモにメロディーの割り当てが多くなっています。まずは片手だけでいいので、自分がメロディーを弾く箇所を実際に演奏してみましょう!(セコンドの方はベースラインも一緒に弾いてみると理想的↓)
❁︎譜例2
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70221995/picture_pc_5e30631648e9ec3b2ac05f1d09d18187.png?width=800)
読んでいくなかで気付かれた方もいると思いますが、やはりピアニスト2人のPiano Duo Ruban、簡単にするために調性を変えることはポリシーに反しますので(笑)、原曲ままの調で編曲しています。真ん中あたりで調号が増えて譜読みが辛くなった方もいるのではないでしょうか、、?
リストが巧みに使う転調についてはこの次に見ていきます。
2) 転調
愛の夢は変イ長調(As-dur)で穏やかに始まりますがヴィルトーゾを謳ったリスト、超絶的なパッセージの後、突然シャープ(♯)が5つもつくロ長調(H-dur)に転調させます。ロ長調といえば一年先輩のショパンが明るいノクターンや自身のソナタ3番・3楽章で象徴的に使った調でもあります。同じ時代をパリで過ごした二人ですから、何か特別な思い入れがあってもおかしくありませんよね。
一人が朗々と語り始めた「愛の夢」が相手にも共鳴し、盛り上がっていく様を見ているようです。
一見、フラット(♭)4つの変イ長調からシャープ系のロ長調への転調は脈絡がないように思えますが、
❁︎譜例3
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70222018/picture_pc_dcccf70973099e2d21741a7c6c827c6a.png?width=800)
この難易度の高いパッセージは基本的に変イ長調のドミナント(ミ♭ソシ♭レ♭)をメインに構成されています。そしてレ♭の半音上の音レ(ナチュラル)を足掛かりに次の調のメロディーのレ♯に流れてゆきます。
実はこのレの♯の音は異名同音でミの♭でもありますよね。このミの♭は前の調・変イ長調では属音にあたり、当然頻出していた音。なのでこの転調は聴いているものにとっては自然なものとして受け入れられるものであり、逆に奏者にとっては少し混乱する場所でもあります。
とういうわけで、ここ(p.3 - 3段目)から譜読みのスピードが落ちてしまうのは当たり前、ゆっくりと臨時記号(特にダブルシャープ)に気をつけながら難しい音を倒していきましょう!
かなり上級のレベルの方でない限り、初合わせからインテンポで合わせることは少ないかと思いますので、その辺りも安心して、特に難しい調ではなんとなくのハーモニーをなぞるのではなく、テンポは遅くとも確実に音を読んでおくことで、合わせをする際に焦ってしまったりどこを弾いているかわからなくなるという事態を避けられます。
その後、リスト得意の異名同音での転調を2度展開します。
❁︎譜例4
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70222054/picture_pc_88762e49c6cd046eb5c48e832c2527a8.png?width=800)
このようにハ長調(C-dur)を経て、
❁︎譜例5
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70222066/picture_pc_b9f70713b9da45d6cfe6fac6fedb046e.png?width=800)
最初の変イ長調に戻ってきます。異名同音での転調が続くともともと楽譜上にあった調号が何だったか忘れがちになるので、♯と♭が入り混じった部分もより注意深く練習してみましょう。
ということで、今週の練習はここまで!
初見〜譜読みをしていく段階が実は一番大変で大切なところですよね。ここで心が折れてしまったり、投げ出してしまわないように、無理は禁物です!
特に今回の愛の夢では2箇所ほど訪れるリスト特有の"無茶ぶりパッセージ"は今の段階では触りません。後ほどパッセージの練習方法、コツなどを解説していきますので安心してお待ちください♪
第2週の公開は1/24(月)予定!
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