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マスタリング全手順を説明してみる(マスタリング虎の巻1)

こんにちは!トラックメイカー/エンジニアのPIANO FLAVAです。

今回から、マスタリング虎の巻と題して、楽曲のマスタリング工程の解説を連続でお届けしたいと思います。

マスタリングとは?
オーディオ制作における最終工程。iPhone付属のイヤフォンからクラブの大きなスピーカーまで、どのシステムでもいい感じに音が鳴るようにするのが第一の目標。

第一回目の今日は、実際にひとつの楽曲をイチからマスタリングして曲を完成させていきますよ。それではぞうぞ!

使用曲:Jay Menon『Through My Eyes』

マスタリング前(2mix)

マスタリング後

いい感じですね。ではさっそく解説です。

1. Ozoneでベース作り

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iZotope - Ozoneのプリセットから、いい感じのものを選びます。今回はSignature PresetsのHigh Detailをチョイス(セクションは左から順に、EQ、マルチバンドコンプ、マキシマイザーです)。

マスタリングエンジニアであるGreg Calbiさん監修のプリセットですね。

音圧は後で調整したいので、マキシマイザーのスレッショルドを少し下げておきます。

このとき、Ozoneのインプットを下げておくと、マルチバンドコンプが強くかかりすぎないので便利です(黄色で囲った部分)。

耳で聞いたときに、少し中域に音が寄っているように感じたので、マルチバンドコンプの各バンドのゲイン操作と、エキサイターの追加を行います。

Ozoneのセッティングはこんな感じになりました。

EQ(プリセットそのまま)

1.5kHz以下がカット、ハイ方向がブースト

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マルチバンドコンプ

Wet=100%ではなく、原音4:コンプを通った音1の割合で混ざる設定。また画像のように、例えばローミッドの帯域はゲイン-0.8dBになっている。

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マキシマイザー

今回はプリセット通りIRC 1を選択。このIRCによって音が結構変わってくる。

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エキサイター

倍音を操作するエフェクト。ほんの少しかける。

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これでOzoneでの処理は終了です。

2. 音の輪郭をハッキリさせる

続いて音の輪郭に関わる処理。そのままだと少しのんびりした音なので、エフェクトでジャリジャリ感を出してみます。

まずはOzoneの後段にAcustica Audio - Crimsonを使います。実機はVertigo Soundのコレですね。定価80万以上するやつです。

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パラメータはこんな感じ。セクション左からコンプ(青)、プリアンプ(紫)、サチュレーター(赤)です。

インプットを大きくとるといい具合に音圧が上がります。

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いい感じに質感が出てきましたね。

続いてCubase付属プラグインのDistroyerをCrimsonの前段に使います。100%サチュるのではなく、サチュ成分をWet5%でMixするのがポイントです。

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押し出し感が出てきましたね。

これで「音の輪郭をハッキリさせる」処理は終了です。

3. プロっぽく仕上げる

すでにいい感じですがここからひと勝負!Leapwing Audio - DynOneでこなれた質感に仕上げていきます。

一見よくあるマルチバンドコンプですが、謎技術が採用されていてプロっぽいサウンドに仕上げることが可能です。

レシオは固定、またローからハイになるにつれてスレッショルドが深くなる設定で使うことが多いです(画像はデモ版)。

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かなり良いですが、若干ハイ寄りになった印象です。

4. EQやコンプで最終調整

Ozoneに戻って、EQおよびダイナミックEQでローとハイのバランスをとります。

普通のEQでローエンドおよび300Hz周辺を持ち上げつつ

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ダイナミックEQを追加して音のメリハリを出します。

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最後に、Acustica Audio - Ultramarineで簡単にM/S処理。

若干ステレオに広がりすぎているように感じたので、M/S処理が出来るコンプを追加し、センターにぎゅっと寄せてみます。

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最後、ピークが-0.3dBを超えないように、DAW側でマスターのアウトプットを下げて完成です!

マスタリング後(再掲)

インサート順に、上から
・Ozone 8
・Distroyer
・DynOne3
・Ultramarine4
・Crimson
となりました。

まとめ

いかがだったでしょうか。

個人的には「2.音の輪郭をハッキリさせる」がポイントだと感じています。

よかったらみんなのオススメプラグインも教えてくださいね!

それではまた。PIANO FLAVAでした。

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