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【PFFアワード2024】セレクション・メンバーおすすめ3作品《♯03原 武史》

約160作品を地道にじっくり観させて頂きました。
審査させて頂く上で見落とさない様に心がけているのは、観る者を「おっ!」と思わせる何かがあるかどうか。
眠い目をこすりつつ、レンタル店の棚にそのまま陳列してしまおうかと思う程の力作を発見した瞬間は至極の喜びでした。
その中でも監督の今、伝えたい事が映像に溢れ出ていた3作品は忘れられない映画体験となりました。

『I AM NOT INVISIBLE』

始めにご紹介するのは川島佑喜監督『I AM NOT INVISIBLE』。フィリピン人の祖母にお願いし訪れたフィリピンのスラムを記録した後、映像をまとめながら、被写体に思いを馳せ、今度は自分にカメラを向けビデオチャットで祖母とスラムについて語り出すドキュメンタリー作品。
環境を言い訳にせず努力しなきゃと語る前向きな祖母と、恵まれているのに何もできない、強く在れないと自分の気持ちをさらけ出す「私」との対話は誠実で力強かったです。

『END of DINOSAURS』

次にご紹介するのはKako Annika Esashi監督『END of DINOSAURS』
アメリカ・ボストンで生まれ世界各地で過ごしてきたエイコが祖母の故郷の福井で再開発に携わり外から見た日本人のこと、そして外から見たまちづくりのおかしなところに切れ味よく軽快にツッコミをいれながら自身の悩みや思いをぶつけていく、主人公である監督がとにかく魅力的な作品です。劇中の「スシ~テンプラ~」ソングが耳から離れない事必至です!

『さようならイカロス』

最後にご紹介するのは田辺洸成監督『さようならイカロス』。毎日退屈そうに過ごす主人公ケンが、乱暴だけど不思議な魅力をもつコウセイと出会い、様々な出来事や問題に直面していく青春群像劇。
子供から大人になろうとする10代の衝動を「今しか描くことができない!」と自覚しながら撮ったであろう自由にやりたい事を詰め込んだ画がエネルギーに満ち溢れていて、どこか懐かしい独特の色気が漂う作品です。

そのほかの入選作品も語り合いたくなるであろう力作ばかりですので映画祭で是非、目撃してください!

セレクション・メンバー:原 武史(レンタルビデオ店スタッフ)

「第46回ぴあフィルムフェスティバル2024」
日程:9月7日(土)~21日(土)
会場:国立映画アーカイブ ※月曜休館

「ぴあフィルムフェスティバル in 京都2024」
日程:11月9日(土)~17日(日)
会場:京都文化博物館 ※月曜休館


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