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印刷会社紹介 サンエムカラー

Print House Sessionに参加していただける4つの印刷会社のうち、今回はサンエムカラーさんのご紹介です。

「印刷業は美術・文化に貢献する産業」

サンエムカラーは、京都に本社のある美術を中心に扱う印刷会社。写真集だけでなく、アートブック、図録、アート作品など美術に関する印刷全般を得意とします。国宝などの文化財のデジタルアーカイブやレプリカ制作も行い、千年以上前の作品から現在の作品まで扱っています。

サンエムカラーの写真関連の仕事

美術関連の印刷を幅広く手掛けていますが、今回は写真のイベント「Print House Session」への参加になりますので、写真が好きな方に伝わりやすい説明をさせてください。

サンエムカラーでは、これまでに木村伊兵衛写真賞の受賞作品を数多く印刷してきました。澤田知子、岡田敦、浅田政志、高木こずえ、下薗詠子、森栄喜、川島小鳥、片山真理、吉田志穂(敬称略)の写真集を担当。他にも、入江泰吉記念写真賞、林忠彦賞などを受賞した写真集を手掛けています。

また写真の賞だけでなく、今年は石川直樹さんの写真集が造本装幀コンクールで審査員奨励賞を受賞しました。過去に14作品が入賞していて、実験的な本作りに挑戦しています。

作品の印刷だけでなく印刷物の魅力を伝えるために、会社としてアートイベントへの参加や協賛も行なっています。今年はKyotographie(KG+)で特殊な印刷をした写真のグループ展を開催しました。昨年は、Tokyo Art Book Fair、Art Collaboration Kyotoに出展。前回(2019年)のPrint House Sessionにも参加し、今回のT3での開催が楽しみです。

高品質な印刷を実現するための社内体制

そういったハイクオリティの印刷を実現するために、サンエムカラーには画像処理を専門とするレタッチャー専門のチームがあります。クライアントの要望に応えて、日常的に美術作品に関わる仕事の経験を活かし、実に緻密な色調整を可能にしています。

社内の印刷機は、枚葉オフセット印刷機、枚葉インクジェットデジタルプレス、大型平面UVインクジェットプリンタなどがあり、印刷物の方向性によって使い分けています。印刷機ごとの特性を分析し、どの印刷機であってもサンエムカラーの特徴である高濃度で立体感のある仕上がりになるようにカラーマネジメントを施しています。

サンエムカラー独自の印刷技術

日々実践を行う中で、サンエムカラーならではの印刷技術も開発しています。

超高精細印刷「燦・エクセル・アート(印刷の8K)Ⓡ」
通常のオフセット印刷の33倍の高精細化を実現し、画像本来の彩度と精密さを再現するために大日本スクリーン・富士フィルムと共同開発したものです。網点が重ならず色鮮やかで彩度が高く、サンエムカラー最大の特徴である高濃度によるダイナミックレンジの広い階調再現と相まって、奥行きと精細さのある表現が可能です。AMスクリーン換算で1000LPI相当のため、「1000線」という愛称で呼ばれています。

インクを重ねて、質感をつくる「KASANE GRAFICA」
これまで平面だけだった印刷に、厚みのある質感や光沢を加える新しい複製画技法です。厚みのある質感は、インクを何層も「重ね」ることで表現されます。この印刷技術によって、油絵具や胡粉の盛り上がり、岩絵の具の粒状感、金箔や金泥の光り方や色味などの再現が可能になりました。一部分だけのレンチキュラーを製作することもできます。また、紙だけでなくこれまで印刷が難しかった画材や木材などのメディアの上にプリントができます。最近では現代美術のアーティストがこの印刷技法を用いて、今までと違った作風の作品を制作することが増えています。

「長く残る印刷物を刷る」

高品質な印刷を追求する。このような社風の背景には、現在85歳の創業者である会長・松井勝美による「長く残る印刷物を刷りたい」という思いがあります。松井会長に関しては、BSテレ東のドキュメンタリー番組『グロースの翼』にも取材されましたので、興味ある方はご覧ください。

当日はみなさんに楽しんでいただける冊子を制作して、お会いできることを楽しみにしています。サンエムカラーはSNSアカウントもあり、近況をお伝えしていますのでフォローいただけましたら。

(文・写真:サンエムカラー)


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