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「プロの撮る物件写真は価値がない」を論破したい

自分が人生を捧げて撮って来た写真を「プロが撮る必要がない」と突きつけられた時、フォトグラファーのあなたはどう反論しますか?

皆さんこんにちは、
初めましての方初めまして、
建築フォトグラファーの藤川です。

Xでは建築写真キャット🐈というアカウントで活動しています。
建築写真撮影を生業としており、普段は住宅や店舗の竣工写真や不動産物件写真など関東を中心に建築を撮って生きております。

今回は特に物件写真にフォーカスを当ててお話ししていこうと思います。
特殊性ゆえ共感しにくいと思うのでぜひご自身のお仕事ジャンルに置き換えて読んでいただけると幸いです。

さて、前回の記事の最後にお話しした「物件写真はプロが撮る必要がない」というショッキングなアンケート結果…
今回はここから始まります。

そもそもなぜプロが撮る必要がないという考えが出てくるのでしょうか。


  1. 集客不要→写真以外(SNS等)で十分集客できている

  2. 誇大広告によるギャップ→綺麗すぎる写真で集客しても実物との落差で成約にはつながらない

  3. コストが高い→費用対効果が低い

ざっと考えるとこの辺りが理由だと思います。


まず
1.集客不要論について…

他の軸で十分集客ができているパターンですね。最近だとインスタやYouTube、TikTokなどのSNSで多くの反響を得ている不動産業者さんも少なくありません。
物件選びのノウハウやルームツアーなど、SNS発信により顧客の信頼を獲得し、良い物件の有無に関わらずまずは会社に問い合わせが来る。だから物件写真なんてなくても問題ない。
たしかにそうなってくると写真の重要性は低くなってくるかもしれません。

が、実際にお客様がお店に訪れた時に提案する物件の写真がなんだか冴えないものばかりだったらどうでしょう?
せっかく信頼できるお店に来れたのにいい物件がないからと、お客様は離れていってしまうかもしれません。
それに質の高い写真が提供するのは物件の魅力のみに留まりません。
質の高い写真が並んでいることによって、この会社はしっかりとやる気のある会社なんだとお客様は自然と感じ取ります。

街中で見かける不動産屋さんの店頭広告の写真の質が高いお店と低いお店、どっちがしっかり対応してくれそうでしょうか?
考えるまでもないと思います。印象は大切です。


2.誇大広告論について…

「とっても綺麗な写真につられてやってきたお客さんが期待を膨らませて内見に行ってみたら、なんか写真と違ってガッカリだった。」
これは私も物件担当者さんとお話しする中でたしかに聞いたことがあります。

これって物件写真に限らず全ての広告写真に言えることですよね。

  • 旅行雑誌の映え写真を見て観光地に行ってみたらなんかガッカリ…

  • 某ハンバーガー店のCMを観て実際に注文してみたらなんかぺちゃんこ…

  • コスメの電車内広告を見て、使ってみたけどモデルさんのようにはならなかった…

それらは広告業界では当たり前と言えば当たり前。
なぜなら広告写真の役割は興味を持たせること、エンゲージメントを高めること、そして購入に繋げる導線を作ることまでがゴールであることが多いからです。

消費者にとってみたらこれは迷惑な話かもしれません。
だからこそ、誇大広告を禁止する法律がしっかりと存在しているわけです。そのラインを超えてしまっているものはもちろんアウトですが、少なくとも物件写真がそのラインを超えることは通常ありません。

中には青空加工したり、CGで家具を消したりすることもありますがそのような場合、必ず注意書きが必要になります。

クライアントさんに実際に聞いたことがあります。
私「綺麗に撮りすぎるとギャップで成約しづらいんじゃないですか?」
担当さん「それはたしかにある話だけど、ご案内の前にしっかりとお客様に説明するのが我々の仕事なので大丈夫です。むしろ写真が良くないと問い合わせそのものが増えないのでいつも助かってます。」

そう、つまり物件写真は問い合わせを増やすことが役割なのです。
いまやポータルサイトでいろいろな物件を見尽くして目星をつけてから問い合わせるのが当たり前の世界。
そこで選ばれなかったら商談の場にもつけません。ご存知の通り、集客こそビジネスの要なのです。


3.コスト高すぎ論について…

これはプロと同じクオリティの写真をスタッフが撮ろうとした時にいくらかかるか計算するとその正体が見えてきます。
私は内製化のお手伝いができるように不動産物件写真の撮り方を徹底解説する動画をYoutubeでも発信しているのでわかるのですが、実は内製化には相当なコストがかかります。


実際に内製化を検討してもコストを見たときにやはり外注にしておこうという会社さんも多いと思います。つまりプロによる撮影料は法外に高いわけではなく、適正価格であるということなのです。


一例ですが内製化しようと思った時にかかってくる具体的な数字ざっとを挙げておきます。
(機材の選び方はYoutubeでも紹介しています)
※Amazonのアソシエイトとして、「藤川|フォトグラフィカ湘南」は適格販売により収入を得ています。


❶カメラ代1台16万円(2024年3月24日現在の価格)


❷レンズ代1台23万円(2024年3月24日現在の価格)


❸編集ソフト2.5万円/年(2024年3月24日現在の価格)


❹人件費20〜30万円/月(週5日勤務、交通費等含め。社会保険料などを考慮すればもっとかかりますね)


他にも採用コストや細かいものもまだありますが、ざっとこんな感じ。
機材、編集ソフト、人件費は人数が増えれば倍々に増えていきます。

さらに全く専門知識のない会社さんがこの内製化の立ち上げに完全独学で挑むのは無謀にも程があるため、アドバイザーやコンサルタントを入れる必要が出てきます。同時に対応できる件数は限られますが、私もそのようなご依頼も受付中のため気になる方はXのDMサイトのお問合せフォームよりご相談ください。
そのようなアドバイザー等を入れる場合は完全な立ち上がりまで月数十万円〜、それを2〜3ヶ月程は必要となってくるでしょう。

つまり上記の数字を見ていただければお分かりの通り、初期投資だけでも100万円近くかかり、ランニングコストも人件費でそれなりにかかってくる。
こう見ると必要な時だけプロカメラマンに数万円で依頼できるというのはそれほど高いとは言い難く、さらに広告制作費として考えた場合物件が売れた際の利益から考えれば妥当な範囲だと言えます。


長くなりましたが、ここまでのことでプロに依頼しない理由というものは全て論破できます。

ですが、

そんなポジショントークの論破では納得いかない方、きっといますよね?
かく言う私も完全に納得しているわけではありません。

「広告なんだから集めるまでで役目を果たしてる?」
「成約なんてする必要ない?」

それに対して思いますよね。
「そもそもいくら広告打っても売れなきゃ意味ないんだから成約できる写真をくれよ!」
と。
私もプロとして、物件を探しているお客様が物件に対して的確な判断をできるような写真を提供したい、そして不動産会社様にとっても無駄な内見や商談を省いてしっかりと成約につながることが嬉しいシーンがあるはず。
買い主であるお客様も不動産会社様もWinWinな写真を提供できたら、私も最も嬉しいわけです。


それを可能にする物件写真を、これまで何千件という物件を撮影してきた中で考えに考えました。
まだ検証段階ですがこれまでになかった新しい物件写真。


これまでの定番の広く明るく撮ればいいという客寄せ映え写真ではない
素朴でありながら物件本来の魅力を伝える”トドメの写真”


「え、それってどんな物件写真?そんな写真あり得るの?」
まだ検証段階ですのであまり大きなことは言えませんが物件写真以外の建築写真も数多く撮影する中で見えてきたこれまでの物件写真にはなかった視点。
それを活かした新しい形の物件写真です。

このテーマについてこのまま書いてしまいたいところですが今回は長くなりすぎたので、”トドメの写真”についてはまた次回の記事にて。


今回も最後まで読んでくださりありがとうございました!
次回の記事を書く活力になりますのでぜひ、いいねとフォロー、お願いしま
す!


物件写真のまだ見ぬ可能性を私は信じたい…

それではまた!


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