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顔料インクとシリンジフィルター

Montblancパーマネントブルー にごく小さな沈殿物があるので、0.22μm(=220nm)の親水性シリンジフィルターでの濾過洗浄を試みました。

使用したフィルターメッシュ径は0.22μm。
ざっくりと図のようなサイズのものを排除できます。
Montblenc Permanent Blue顔料インクの粒子は、分散の具合や光の散乱具合から見て、0.1μm(=100nm)は切ってるだろうと思い、適当にこのくらいの口径を選びました。沈殿物はチリや凝集体なので、このくらいの穴で十分除けるだろうと。

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シリンジフィルターというのはこんな感じの製品です。その名の通り、シリンジの先端に刺して使います。ろ過に伴い接合部に結構な圧力がかかり、すっぽ抜けたりして危ないので、できればルアーロックタイプの方が良いのですが、今回はそんなに強く押さないので、これでいいかなと。
シリンジそのものは見た目がアレでアレなのでモザイクかけときますね。

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それでは通液試験。まずは原液にて。
5mL程度通しただけで閉塞しました。あーらら。

しかし、青い液が出てきているので、顔料粒子自体は通り抜けているのが分かります。


どういう閉塞の仕方なのかなと思い、原液を約20倍希釈した液にてろ過を実施。
すると面白いことがおきました。
最初は青い液が出ますが、後半になると、真っ透明な液が出て、最終的に閉塞しました。


これは、ろ過膜に対して垂直方向に通液する際に起きがちな「ケークろ過」が起きているのだと思われます。
ろ過が進むに従い、チリや顔料粒子の凝集体がろ過膜の穴を塞ぎ、その堆積物(ケーク)自体が細かいフィルターのように作用してしまい、正常に分散している小さな顔料粒子の通過をも遮ってしまっていると考えられます。

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顔料粒子がナノ〜サブミクロンオーダーのサイズで分散していることを示す結果とも言えます。

一方、染料系インクの場合、染料の成分は水溶性のため、水分子に包摂され溶解していることから、そのサイズは染料分子そのもの大きさとほぼ等しく、粒子として議論できるような大きさではありません。当然、本フィルターのようなサブミクロンオーダーの細孔に対しては、完全に素通りします。


そんな訳で、愛用の顔料インクがそれなりに粒子粒子していることが分かって安心したのでした。あまりに閉塞が早かったので、ゴミを除去する目的は早々に諦めました。ゴミが除きたいなら普通に100μmくらいの樹脂製メッシュスクリーンを使えば良いと思います。

せっかくなので洗浄したガラス瓶に、液を戻すところも。特別意味はありませんが液体が好きな人向け。

オマケにガラス洗浄の話をしますと、ガラス面の場合、大抵の汚れはアルカリで浮きます。工業的にはガラス洗浄はアルカリを使うことが多い。
古典インクのように、乾燥したインク成分が不溶性の鉄錯体を形成する場合には、酸性にした方が早いケースもありますが、まずはアルカリでお試しください。
アルカリ電解水などの水酸化ナトリウム系のものが良いと思います。

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以上です。
お読み頂き、ありがとうございました。


あっ(顔料

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