Nikon F2 と標準レンズ
フィルムの撮影を再開してから Nikon F2 を入手した。ミラーレス一眼にあれこれと昔のレンズを付けて遊んでいたら、マニュアルフォーカスの Nikkor レンズがそれなりに増えてきたので、カメラボディをそれに合わせたようなものである。
F2は大柄なカメラで、少し新しい Ai-Nikkor を付けるとボディに比べてレンズが細くて何となくバランスが悪い。そこで1973年頃に製造された Nikkor-S.C 50mm F1.4 を入手した。鏡胴が太く、ピントリングは金属のままでゴムを貼っていない。F2に付けるとやはりよく似合う。少し黴と曇りがあって格安価格であった。後玉は固着して外せなかったので前玉だけ分解清掃して撮影には耐えるコンディションまで整備し、絞り環を少し削ってAi化改造を施した。
35mm判の標準レンズの焦点距離は50mmと決められている。35mmというのは元は映画用ロールフィルムで、これを流用した最初の静止画カメラが LEICA(ライカ) だったが、その標準レンズが50mmで、以後定着したようである。標準レンズは画角や遠近感が人間の肉眼で何かを見たときに近いとされている。その基準はフィルム(あるいはセンサー)の対角線長ぐらいの焦点距離だが、35mm判(24x36mm)の対角線長は43mmなので50mmだと少し長い。36x36mmの正方形なら対角線長は51mmなのでこれに合わせたようである。
フィルム時代から標準レンズは Carl Zeiss の Plannar 50mm F1.4を愛用していて、Nikkorの50mmは持っていなかった。F2に付けて飾る為に買ったようなものだが、使わなければ勿体ない。
デジタルで撮ってみた。絞り開放でも中心像は極めて鮮鋭で葉脈が浮き出て見える。ボケ味もなかなか柔らかい。
クラシックレンズ界隈で好まれるシャボン玉ボケが出るようだ。
50mmだと空は広く写らない。オレンジフィルターをかけて青空の部分を黒く落としてみた。
普通、鳥の撮影には超望遠を使うが、逃げない鳥なら標準レンズで写せないことはない。
マルチコーティングではあるが逆光では少し滲みが出る。しかしそこが良いと思うのだ。
森の中は暗いので、感度を自由に上げられないフィルム撮影の時は開放F値1.4の明るさがありがたい。
少し絞ると辛口の描写になってくる。
こういうのが標準レンズらしい撮り方なのかと思ったりする。
フィルムは Fomapan100 をISO感度200に増感して使用。30.5m長尺の中で一番安く買える。チェコ製。100だと暗い所は撮りにくいが400だと明るい所では絞りを開けない。中間を取って200を常用することにした。増感現像でコントラストを強めに、少し粒子を出すことでフィルムらしさを表す意図もある。現像液はミクロファインに炭酸ナトリウムを追加してpHを上げ強化している。