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西ドイツZeiss製のTessar

 西ドイツ Zeiss Oberkochen 製 Tessar 50mm F2.8 。製造年は1970年代後半と推測。東ドイツ Jena 製 Tessar に比べると中古市場であまり見かけない。一眼レフ Icarex 35 用の標準レンズ(ただし下位版)として製造されたものだという。Icarex にはバイヨネットマウントとM42マウントの2種類があり、M42の物はボディ前面ペンタプリズムの右に「TM」マークがある。このレンズはM42マウントである。鏡胴先端外側にネジが切ってあり、専用フードがあればここに装着できる。前面のフィルター装着部はバイヨネットで専用品しか付かない。このままでは不便なので、現在は49-55ステップアップリングを接着して使っている。


Sony α7, Tessar 50mm F2.8 2024年8月

 開放では意外と柔らかい写り方をする。最短撮影距離は45cmで向日葵ならクローズアップレンズ無しで撮れる。


Sony α7, Tessar 50mm F2.8 (F5.6) 2024年8月

 絞ると硬質な写りになる。木肌のように表面に凹凸のある物体の描写が強調される。


Sony α7, Tessar 50mm F2.8 (F5.6) 2024年8月

 3群4枚の簡潔なレンズ構成でコントラストと彩度が高い。


Sony α7, Tessar 50mm F2.8 2024年8月

 こちらも絞り開放。ロードレーサーのフレームを交換したとき記録のために撮ったもの。たまたまこのレンズを付けていた。周辺減光がわかる。Tessarは周辺部の非点収差が大きく隅の画像は流れる。


Sony α7, Tessar 50mm F2.8 (F5.6) 2024年8月

 モノクロにて。明暗差が大きい構図でも持ち堪えてくれる。


Sony α7, Tessar 50mm F2.8 (F5.6) 2024年8月

 まだT*ではない時代だが戦後のコーティング有レンズなので逆光にもそこそこ強い。

 パウル・ルドルフが最初の Tessar 12cm F6.3 を設計したのは1902年である。1926年頃に特許が切れて爾後長く世界中でこのタイプが多く製造されたが、デジタル高精細センサーの時代になって解像度不足などの理由で製造されなくなったと聞く。

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