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夜空と潮風と星野源

あの日からちょうど1週間。
サマーソニック2023 Day1 2023年8月19日
私にとって初めての野外ライブかつ
初めてのフェス。
なんだか記憶がおぼろげで私本当にあの場にいたのか?
夢だったのではとすら思えてきたけど、家には入場券と引き換えに巻いてもらったリストバンドがある。

体力にも暑さにも全く自信のない私はともかく元気に行って元気に帰ってくることを第一目標に幕張へ向かった。
そのために取った作戦は「とにかく動かない!」
体力勝負だと聞いているフェスで笑っちゃうぐらい消極的な作戦だが結果これが良かったと思う。
現地に着いたのも夕方近くだったのでこの頃には浜辺を通る風も心地よく、想像していたよりもゆったりと大本命の星野さんのステージを待つことが出来た。

そして日もどっぷり暮れ、いよいよ次が源さんのステージ。
それまでとは格段に観客の数も増え、ドキドキしてきた。
これまでは源さんの単独ライブしか行ったことがなくホームで安心して観られたが、今回は言わばアウエーのような環境だったので自分の立ち居振る舞いをどうしたらいいのか、なんて余計なことを考えたりもしていた。
そしてバンドメンバーだけでの「DownTown」の後に源さん登場!

「地獄でなぜ悪い」のイントロで会場全体が揺れるように沸いた。
私も両手に荷物を持っていたが思わず砂浜にぶん投げて身体全体で興奮を表した。大勢の人がステージに向かい手を上に上げ、それが照明に照らされている様がどこかで見た夏フェスの宣材写真みたいで、「うわっ!めっちゃ夏フェスっぽい!!めっちゃサマソニって感じする!!!」と興奮した。

その後何の曲の時か忘れたけど、源さんが「皆で同じ手の動きとかしなくていい、好きに踊っている姿が見たい」と観客に向けて言った直後から周りの人たちが一斉に体を揺らし始めたのは感動した。
動きは人それぞれで大きく複数人で踊る人もいたし、それまで棒立ちで聞いていた人が小さくステップ踏んでたのはとても素敵だった。

源さんのパフォーマンスは本当に圧巻で、声ものびやかで夜空に響き渡っていた。日中からステージのキュレーターとしてずっと舞台袖にいたようでさぞお疲れだと思うけどそれを感じさせないものだった。
(後日談としてご自身のステージの途中で過呼吸になったとのこと。本当に倒れなくてよかったです。)

どの曲も本当に素敵だったのだけど、「くだらないの中に」は震えた。
あまりにも素晴らしすぎた。
もうどこを見たらいいかわからなくて思わず夜空を見上げた。
走馬灯はまだ見たことがないけれどきっとこういう映像なんだろうと思った。
源さんはもちろん観客に向けて歌っているのだけれど、まるで地球に向かって歌っているみたいな歌い方だったし、今ここにいない何かに向けて歌っているようにも聞こえた。

くだらないの中にぐらいから私はアメーバになった。
源さんがよく例えで使う自分と周りとの境目がなくなる例のアレである。
源さんから発せられる音を浴び、ステージの源さんを見ているはずなんだけど自分の意識はどこか遠くへ行ってしまったような、夜空に私の自意識が吸い込まれてしまったような感覚だった。
自然の中でただひたすらに音に心と身体を預ける。人生で初めての経験だった。

アメーバ化に慣れていない私は、もう一度人に戻るのに相当の時間が掛かった。
未だ余韻の真っ只中である。
仕方ない。
それだけのものを受け取ったから。

素晴らしい体験をするきっかけをくれた星野源さんに心からの感謝を伝えたい。
彼と彼の音楽を追っていけばまた新しい世界を見られるかも知れない。いや、きっと見られるのだろう。

私にとっては源さんがドーパミンなのかも知れない(NetflixのLIGHTHOUSE #3より)

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