【ムエタイ王者監修】ハイキック完全解説┃威力の強いハイキックでKOを狙え!ハイキックの打ち方・蹴り方、練習方法、柔軟方法まで。
格闘技をやっている方ならば、ハイキックで相手をKOをしたいと思ったことがあるでしょう。しかし、ハイキックは、難易度の高い技であり、難しく、外してしまった場合にリスクがあることも事実。そこで、現役の王者にハイキックを打つための方法などを聞いてきましたので、解説いたします。
ハイキックについての、本記事監修の片島選手による解説動画準備中
ハイキックの威力は?ハイキックは実戦でも有効?
ハイキックは一撃でKOを狙える技です。人間は、脳が揺れると、脳震盪を起こし、神経機能がストップすることで倒れます。ハイキックは、脳のある頭部に対し、蹴りで直接的に攻撃することになりますので、しっかり入ると、一発でKOさせることができますし、実戦でも有効な技です。
キックボクシングやムエタイ、空手の試合のテレビや動画などでも、よくあるパターンのKOシーンですので、認識している方も多いでしょう。
ただし、外してしまった場合には、スキも生まれてしまうため、繰り出すタイミングなどには、注意が必要です。
ハイキックの強い有名選手
那須川 天心選手
話題の那須川天心選手。ハイキックをサンドバックに決めている動画も話題になりましたし、試合の映像でもキレイなハイキックを披露されています。
ミルコ・クロコップ選手
少し前の選手ですが、鮮烈に記憶されている方も多いのではないでしょうか。この階級の選手のハイキックは正に一撃必殺となります。
サウスポーの構えから、左ハイキックが得意なようです。体を大きく倒すことで、打点を高くし、相手から攻撃に備えているように見受けられます。
ピーター・アーツ選手
こちらの選手も、かつて一世を風靡した選手です。特長としては、途中までローキックやミドルキックの軌道であり、予測しづらいこと。ジャブ、ストレート、プッシュ等できっちりプレッシャーを与えて押し込んでから見えない角度でハイキックを繰り出していることなどが特長です。また、近すぎる場合には、やや後方に飛びながらハイキックを繰り出すなど、間合いの取り方がとても上手な選手です。
タイ人ムエタイ選手
ハイキックに限りませんが、タイ人ムエタイ選手のキックはお手本のような、とてもキレイなフォームをしています。
例えば、ムエタイにおいて「生きる伝説」と言われているセンチャイ選手は、身長163cmと小柄ながら、キレイに脚をあげ、ときにはジャンプして高さを調整しつつ、身長差のある相手にもハイキックを見事にヒットさせます。
タイ人選手のハイキック動画(動画の各々40秒、47秒、1分4秒前後)
ハイキックの打ち方と練習方法は?
基本のハイキックの打ち方は、基本的には、ミドルキックと同じです。
手順
➀通常の構えの姿勢から
②ディアム(蹴りの予備動作)を作りながら体を、前足の踏み込みで少し沈ませタメを作り
③体全体で、伸びあがるようにしながら
➃相手の首やこめかみ部分を狙うように打ち込みます
打ち終わりは必ず、元の構えの姿勢に戻るようにしましょう。
キックボクシングや空手では、こめかみ部分や、顎などを狙うことあるハイキックですが、ムエタイでは、首を刈るように蹴ることが多いです。そもそもタイ語でハイキックは、「テッカンコー」 といい日本語に直訳すると「首蹴り」となります。
相手をKOするには、いかに脳震盪を起こさせるか?にフォーカスする必要がありますので、頭部を支える首部分を狙うことは、とても合理的だと言えるでしょう。
ハイキックの打ち方詳細
それぞれの部位別にもう少し詳しく説明すると、次のようになります。
打ち方:ミドルキックなどと同じ要領で➀~➃の方法で打つ
軸足:ミドルキック同様、しっかり踵をあげて、伸びあがるように打つ
当てる部位:自分の足首~足の甲部分で当て、相手の首を刈り取るイメージで蹴る
狙う場所:首、こめかみ、顎
軌道:できれば、ミドルキックなどと同じ軌道であてる直前に首を狙うとあてやすい
シャドーでの練習方法
また、はじめは回し蹴りのイメージではなく、子どもの頃にやった靴飛ばしのイメージで体の正面から蹴り上げるイメージで練習をしつつ、それができるようになったら、回し蹴りの要領で、体を回転させるとキレイなハイキックを打てるようになります。
サンドバックを使った練習方法
上手に打てない場合は、ミドルキックの練習からはじめて徐々にあげていくといいでしょう。
ミットでの練習方法
事前に、相手に高さを調整する依頼を出しておいて、徐々に高さをあげていくとよいでしょう。また、ミットを自分が持つことで、どのくらいの衝撃があるのか?どう打つと強いキックがうてるのか?といったこともわかりますので、練習相手と交互に持つこともおススメです。
ハイキックの当てるためのポイントは?威力を高めるには?いいコンビネーションなどは?
ハイキックは、そもそも威力の高い攻撃方法です。一方、あたらなかった場合などに一定のリスクもあることから、威力を高めるという意識よりも、タイミングや、当てやすくする練習をすることが実戦的で、効果的だと言えるでしょう。
最も大切なのは、事前に相手の意識を散らすことです。例えば、強いローキックで攻撃をしておき、相手の意識を脚に集中させてから、ハイキックを繰り出すことなどが効果的です。
これは、格闘技におけるフェイント全てに共通することですが、狙っている技をあてようと思った場合、その前に強い力で当てやすい部位にダメージを与えておくことで、それが効果的な影響を及ぼし、当てたい技をあてることができます。
また、タイミングとしては、こちらからストレートや、プッシュなどで、相手を押し込みつつ打ち込むハイキックも効果的です。さきほどご紹介したピーターアーツ選手が、よくやるパターンがこれにあたります。
この打ち方は、サンドバックでも練習ができますので、プッシュで押し込んでからハイキックや右ストレートからの右ハイキックなど、様々練習してもいいでしょう。
おススメのコンビネーションをあげるならば、この方法がいいかもしれません。
ハイキックの威力を高める方法とは?筋力トレーニングは効果的?
筋力トレーニングは効果がないことはありませんが、ハイキックのための直接的な筋力トレーニングはありません。ムエタイやキックボクシングで威力を高めるのに最も重要なことは体重移動と重心です。脚部だけの筋力を使うより、体の体重を使って攻撃をした方が威力は圧倒的に高くなりますので、いかにスムーズに体重を移動させるか?にフォーカスをするといいでしょう。
なお、蹴りに慣れていない場合には、片足立ちなどのトレーニングはバランス感覚を養うという意味では効果があります。
ハイキックが打てない、高さがでない場合の対処法は?
ハイキックの打ち方は、ミドルキックの延長線上にありますので、そもそも打てない場合はサンドバックでミドルキックの打ち込みの練習をしながら、少しづつ高さを出す工夫をするといいでしょう。これが最も効果的で基本の練習方法です。
また、併せてストレッチ等の柔軟も実施するといいでしょう。その場合は、股関節の柔軟運動と、ハムストリング(もも裏)の二か所を重点的にストレッチをすると効果的です。
すぐにできる改善方法
高さが出ない場合のすぐにできる改善方法は3つあります。
➀踵をしっかりあげる
この点は、キックを打つ際の基本とも言えますが、踵をしっかりあげることです。これにより、10cm前後は打点を高くすることができ、回転の威力も増します。
②体を倒す
ムエタイでは、あまり推奨されていませんが、ミルコ選手のように、体を倒しながら打つ方法も有効です。体を倒しながら打つことで、打点を高くし、相手のパンチがあたりづらくなります。ただし、相手のミドルキックなどがあたってしまうので、タイミングなどには、注意が必要です。
③ジャンプしながら打つ
センチャイ選手のようにそもそもジャンプして打つことで、打点を高くする方法があります。ただし、着地を狙われる可能性もありますので、繰り出すタイミングなどは注意が必要です。
ハイキックは打てるが、膝が伸びない(足が伸びない)場合の対処法は?
膝が伸ばせない場合、この場合は、ハムストリングスの柔軟性が改善が鍵になりますので、もも裏のストレッチを十分にしましょう。
ハイキックは打てるが、すぐに転んでしまう場合の対処法は?
はじめは、重心の置き方などがわからず、転んでしまうことも少なくないでしょう。しかし、転んでしまうということは、逆に言えば、攻撃をする脚に、きちんと体重が乗せられているということです。サンドバックなどで繰り返し練習をすることで、最適な重心の置き方がわかってきますので、繰り返し練習をしてみてください。
この点は、人によって違うかもしれませんが、軸足3:蹴り脚7くらいの重心の置き方だと、転びづらいと思います。
ハイキックを打てるようになるための効果的なストレッチとは?
ここまで、色々な説明をしてきましたが、ハイキックを打てるようになるための柔軟性は必須要素です。ハイキックを打てるようになるための効果的なストレッチは、大きくわけて2つの部位をターゲットにします。
ひとつは、股関節。もうひとつは、ハムストリングス(もも裏)です。
股関節に関しては、縦方向と横方向の3種類のストレッチをするといいでしょう。
※YouTubeでは、上記の動画をはじめ様々な動画をUPしていますので、是非、YouTubeもチェックしてみてください!(チャンネル登録・高評価・コメントいただけると大変嬉しいです。)
【YOUTUBE】PHOENIX キックボクシング&ムエタイ&フィットネス
ハイキックを当てるための具体的なコンビネーションは?なにが重要?
ハイキックをしっかり当てるために最も重要なのは、先ほども解説したとおり、コンビネーションというよりも相手の意識を下に向けておくことです。
例えば、しっかりと強いローキックを連続であてておき、意識を下に向かせる。ボディを打ち、意識を下に向かせることで、頭部のブロックへの意識を薄くさせることが最も重要です。
とはいえ、ハイキックで相手を倒したいという方のために、いくつか練習できるようにコンビネーションを紹介しておきます。
ローキックを効かせた後の、ハイキック
これが最もスタンダードです。強いローキックが入れば、相手は嫌がりますので、意識はどうしても下に向きます。階級にもよりますが、ヒットポイントがよく、蹴りの威力がある程度あれば、3発程度キレイに入れてしまえば、相手の意識を下に向けることができます。
意識を下に向けられたら、あとは、ハイキックで相手の意識を刈るだけです。
ボディからのハイキック
ボディ打ちも、大きなプレッシャーを与えることができます。レバーに強烈なボディを食らったことがある方なら、あの苦しみを理解できるでしょう。
頭部のガードを固めている相手や、距離を詰めてくる相手に対しては、左ボディ、右のボディストレートが入りやすい傾向があります。
そこで、何度かボディへの攻撃をした後で、ハイキックまでコンビネーションを繋げると、かなりの確率でヒットさせることができます。
プッシュや右ストレートから、右のハイキック
さきほどご紹介したピーターアーツ選手がよくやっていたやり方です。相手をしっかり押し込んで、やや後ろに態勢をくずさせてから、見えない角度でハイキックを打ち込みます。
右ストレートや、右手でプッシュをすることで、自分の右の蹴り脚を見えなくさせることができます。後ろに態勢をくずさせ、更に蹴り足を隠すことで、ハイキックを当てる確率を高めることができるため、おススメのコンビネーションです。
ハイキックの避け方、ガード方法
ここまで、ハイキックを打つことにフォーカスして解説してきましたが、自分がガードをするにはどのようにしたらいいのでしょうか?大きく分けて対応方法は3つあるので、それぞれにご紹介していきます。
ステップバック
避けるという意味で、最もいいのは、この方法です。ステップバックをすることで、そもそもあたらない距離に移動しつつ、自分の次の攻撃の準備をすることができます。
スウェー
スウェーで避ける方法もいいでしょう。相手との距離が変わらないことから、反撃の選択肢が広がります。ただし、相手がうってきたのが、実はミドルキックだった場合などは攻撃があたってしまうので、使いどころはよく見極める必要があります。
腕でブロック
間に合わない場合は、腕でブロックをします。グローブをしっかりと頭部にくっつけて、顎を引き、肘で首を守るようにブロックをするといいでしょう。
ハイキック以外の相手の頭部を狙うキックには、どんな種類がある?
ブラジリアンキック
空手の蹴り方で、途中まで、前蹴りの軌道で、インパクトの瞬間に回転を加えることで、相手のガードをかいくぐって打つ蹴りです。グラウベ・フェイト―ザ選手が有名です。
この動画の2分20秒前後で、キレイなブラジリアンキックでKOをされています。
上段後ろ回し蹴り
体を一回転させる上段の後ろ回し蹴りと、体を捻りを使って打つ上段後ろ回し蹴りなどがあります。この動画の3分37秒のところでは、K‐1山崎選手が捻りを使った回し蹴りを決めています。
K-1山崎選手の後ろ回し蹴り動画
二段蹴り
片足で軽めのローキックを入れた上で、反対側の足でハイキックなどを打つ方法です。
K‐1安保選手がよく使う技として知られています。動画の22秒前後、40秒前後で見ることができます。
踵落とし
少し古い選手ですが、アンディ・フグ選手が有名です。足を縦方向に大きくあげ、踵で脳天に突き刺すように繰り出す蹴りです。動画の28秒前後で見ることができます。
顔面を狙う前蹴り
ブアカーオ選手と魔裟斗選手の一戦を思い出す方も多いのではないでしょうか。この動画の5分前後、5分50秒前後、6分4秒前後で上段の前蹴りを見られます。
センチャイキック
正式名称はわかりませんが、逆立ちのような態勢から繰り出す蹴り技です。那須川天心選手もたまに繰り出してますね。この動画の7分44秒前後で見ることができます。
その他、空手、中国武術やテコンドーなどにも、様々な蹴り方があるようです。
ハイキックの解説まとめ
いかがでしたでしょうか?完全解説と題して、ハイキックの打ち方から、ハイキックを打てるようになるための練習方法、改善方法、トレーニング方法、コンビネーションから、ガードや避ける方法までをご紹介させていただきました。この記事や、動画を参考に、色々、練習してみてください。
ジム紹介┃キックボクシング・ムエタイ・フィットネスジムPhoenix
なお、PHOENIX【フェニックス】では、この記事を監修している片島選手をはじめ、一流の選手が講師を務めるクラスレッスンや、パーソナルレッスンなどもご用意しておりますので、無料体験もございますので、是非、お気軽にお問合せください。
また、キックボクシングやムエタイのテクニックや、ダイエットなどの情報、フィットネス情報も定期的に配信していきます。無料のLINEで配信していきますので、よろしければ、ご登録お願いいたします!
監修者
監修片島聡志選手 現WPMF世界スーパーフライ級王者
大分県日田市出身 第3代、第6代WPMF日本スーパーフライ級王者
PHOENIX【フェニックス】でのクラスレッスンやパーソナルレッスン、出張でのキックボクシング、グループレッスン、TRXを使ったパーソナル、ボディーメイクなども行う。ポイントを抑えた教え方が、丁寧でわかりやすいと好評。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?