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音楽著作権/許諾申請の話

まず初めにⓅ&Ⓒ表記の意味を知ってるだろうか。多分、多くの人がⒸは著作権マークということしか知らないと思う。じゃあⓅは?これも著作権で、自分の楽曲権利を守る上でいちばん大事なもの。だから楽曲の著作権で単純に権力的な意味でどっちが強いかってとⓅがとにかく最強かつ自身の作品で最も大事な権利なのである。簡単に言うとⓅはマスター音源の権利で、Ⓒは発売された該当する作品そのものだけの権利。Ⓟ&Ⓒ表記は、その両方を所持してるという意味。

わかりやすく例えると、、、

・売ってるマヨネーズの中身をパッケージを変更したりセット売りしたり、メイン商品の中身のマスター権利を持っているという表記がⓅというもの。マスター音源を好きに他の作品に収録したり、リマスターを行って再販も出来る。基本的にアーティストはシングルを何枚か出してそれらをアルバムに収録する流れをよく見かけると思うけど、これはマスター音源の権利であるⓅを所持しているから出来ること。

・売ってるマヨネーズの中身が同じでその銘柄とパッケージがまんま同じものだけの権利を持ってるのがⒸの表記。つまりⒸだけだと新作を作ったり別のパッケージに入れ替える権利を持たない。Ⓟを所持してないとマスター音源をいじったり、パッケージを変更することが出来ないので現物ままの権利のみ。同じものなら量産可能だけど音源自体のマスターの権利がない。


何故にマヨネーズに例えたのかはわからないが、大体わかっただろうか。自分の例で言えば狐火さんの"38才のリアル"というアルバムで"居酒屋が良い"という楽曲のトラック提供をしてるんだけど、ギャラを貰う際に契約としてⓅ&Ⓒを狐火さんに譲渡してるから、宣伝は出来ても自分が作った曲だとしても自分のアルバムに収録する際には狐火さんに許諾を貰わないと無理という話。トラックだけのインストでも自分が無許可で公開するのはアウト。それがギャラの対価として著作権を譲渡する行為なのです。デモ音源の一部のみっていう厳密にはちょっと違うみたいなギリギリの動画上げたりはしてるけどフルは完全にダメって話。ついでに良かったら聴いてね。かっけー曲です。

ちなみにYouTubeは規約でライセンス表示をつけて著作権所持者に収益が回るようになってはいるけど規約で無断OKなんてどこにも書いてなくて、許諾あることが前提で非営利しか認められてない。つまり、自分がいちばんむかつく案件で正直に言うとPelliculeの管理なんだけど、誰も許可してないのに無断カバーが無限増殖してくし、AIが反応しないからライセンス表記をおれが手動で申請しないといけないのよ。これでも年単位で時間かけて簡略化したほうで、、、

仕組みとしては
①おれがテンプレートに作品コードとURLを記入
②ウルトラヴァイブ担当者が委託先のNexToneに指示
③NexToneが耳で聴いて調査、ライセンス付与申請
④それが通って初めてライセンス表記がつく

こんな風になってて、まあ普通はコレ②のくだりが必要なくてNexToneにおれが指示するのが本来の形なんだけど直接やり取りすると難ありだからウルトラヴァイブ担当者さんがこういう流れにしてくれた感じ。

てか話がだいぶ逸れたな。著作権についてYouTubeの規約の話に戻すけど、規約でOKになってるとか本当によく言われるんだけどYouTubeの規約のどこにOKだと書いてるの?って話で、おれは規約を当たり前に読んで注意してるのにドヤドヤドヤ!みたいに友達だかSNSだか知らないけど適当な知識で著作権所持者の代理を煽ってくる人間は音楽云々の前に恥を知って欲しい。こっそりやるとか謙虚ならまだしも、煽ってくるとかどういう神経で他人様の作品を使ってんのかと本当に思う。自分が音楽で輝きたいなら、使いたい他人の作品に敬意を持つなんて当たり前すぎる話なんすよね。

※YouTubeの著作物に関する規約のスクリーンショット

HIPHOPにはサンプリング文化があるし、無断使用がそもそも根源にあるから認知の甘さは仕方ない部分もあるし、さっきも書いたようになるべく愛を感じるようなものは頑張ってスルーしてる。おれ自身も好きすぎて非公式にRemix作る時はあるけど、本当に好きだからやるわけで全力しか出してない。結局は何が言いたいかってと他人の作品を使うなら最低限の敬意は絶対に持ってやるべきって話。ご飯は行儀よく食べましょうみたいなレベルの最低限のマナーだと思う。

で、で、結局のところ自分が著作権というものにどっぷり片足浸かるようなお手伝いを沢山しているとわかるんだけど、著作権所持者も人であるということ。作品は機械じゃなく人が作りし物だから、そこには感情がある。だから著作権の許諾とかって結構感情で左右することが多いんだよね。音楽作品は生き物だと思う。そんなわけで…


[ここからは許諾についての話]

さっき"人が作る作品"かつ"著作権所持者も人である"というのを強調したけど、それを理解してなければ許諾の性質とか、音楽作品は生き物という表現の理解が出来ないから、まずは人と人の対話であることが大前提のものだと常に理解している。という心持ちというか、気持ちの持ち方が最重要なんよ。例えば仕事してて取引先と打ち合わせがあるとする。入ってきた取引先の相手がすんごい丁寧で礼儀正しくて自社製品も沢山知ってて、商品の素晴らしさとかを熱弁してくれる人のAパターンと、ポケットに手突っ込んでウィース!みたいに入ってきて、自社製品も全く知らんどころか興味もなさそうな奴がこの商談についてだけは粘りに粘ってどうにか成立させようとしてくるBパターンがあるとする。あなたならどっちが気分良くて、どっちが気分悪い?

完全にAパターンだよね?これは著作権の許諾が欲しくて相談する時に全く同じ感情が当てはまるんよ。許諾が欲しい時は、許諾を判断する側がどうすれば気分良く話せるかをまず考える。更に自分ならどういう対応されたら気分が良いか、逆の立場でも考える。おれは自身もアーティストだから自分の楽曲の許諾を求められた時の場合を妄想する。まずどんなに礼儀正しくても、求め方や礼儀ひとつで全て変わるんよ。

例えば求められてる楽曲がYouTubeにアップされてるもので再生が爆発的に伸びてるもので、それ以外知らないっぽい人だとする。それだとたまたま話題になった新作の許諾を求めてきてるだけって感じる。こんなん完全に自分の得しか考えてない魂胆で頼まれてる以外ないよね。普通に断るよね。弾くよね。再生回数で酔いたいだけの人にしか見えない。そう考えたら、許諾をもらいたい相手の他のあらゆる楽曲を事前に復習して話題に出したほうが相手の気分が良くなると思わない?(ちなみに本心で好きな気持ちがないまま復習だけしてあの曲も好きなんですよー!とか言っても具体性が全くないから見透かされる。それも逆の立場から考えて内容ペラい感想言われたらって思うと透けて見えるよね?って話。)

つまり礼儀は大前提の話であって本題ではないんよ。本題は本当に大好きなアーティストであるかどうか。まず興味もないアーティストの許諾の上手い交渉術なんて最初から書く気ないし、まずそんなパターンで貰いたい許諾なんておれには無い。許諾って話題でバズるから貰うんじゃなくて好きだから貰うもんで、話題に乗って手抜きしてバズることしか頭にないエセインフルエンサーみたいなこと考えてると不思議と感情って相手に伝わるからただ流行りに乗りたいだけの人なんていくら口が上手くても許諾もらえることなんてないよ。

で、話を戻すけど、結局は人だからって書いたことを良く考えてみたらわかる。同じ人なら本当に好きな思いをそのままぶつければ良い。楽曲が大好きとかファンだとか言われて嬉しくない人はいないからね。ただ許諾にはもうひとつ壁がある。実力。その許諾をどういう形で使うかはいろんなパターンがあるけど、少なくともカバーやRemixの為だとしたら、どんなに自分のファンで礼儀正しくても、つい最近始めたばかりの人がめちゃくちゃ上手い歌を歌ったり、良い作品アレンジに仕上げれるわけがない。つまり、ここまで書いて元も子もない話をすると、他人の許諾ってのは自分がある程度の期間しっかりと活動して自分が地に足をつけていて、自分の楽曲が聴けるリンクがあったりと、相手側が納得するくらいの実力が前提になければ無理。まずそれをクリアしてからが次のステップとして今回の話だということね。要は死ぬ気でやれば生は輝くってこと!

おれの渾身のリリース楽曲も良かったら聴いてね!

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