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「海外ユーザーとどう付き合うべきか」について、アバター作者の生存戦略を考える

今更感はありますが、個人的なVket5の振り返りも交えて「我々は海外ユーザーとどのように向き合っていくべきなのか」について、フィオの考え方をまとめてみました。

繰り返しになりますが「発言は個人の意見であり、所属組織を代表するものではありません。」

結論「顧客としていくべきである」

いきなり結論ですが、これは長い目で見た時の結論です。
今はまだ難しい所が多いかもしれないけれど、確実にそういう未来が来るでしょう、ということです。

まずは、日本のマーケットと海外のマーケットを比較する所から始めてみましょう。

日本のアバターマーケットは、世界の中でも非常に特殊な立ち位置にあります。これが「世界に先んじて作られた市場」なのか「ガラパゴス的に進化した、国内にしか通用しない市場」なのかは、まだ分かりません。

まず、モデルのクオリティが平均的に高い
モデル1体あたりの売買単価も高いです。
(時折Twitterでアバターの値段が話題になりますが、世界的には高いです。)

日本と海外とは、アバター販売における市場構造そのものが大きく異なります。それをまずは理解することが大切です。

日本のアバター市場は、主に
・ユーザーは自分でアバターをアップロードする
3000円〜5000円のアバター販売(改変利用を前提としている)
10万円から15万円以上〜上は青天井(個人の場合は30万円程度が上限か)のワンオフアバターの受注生産
で成り立っています。
そして、プレイヤー数に占めるクリエイターの比率が極端に高い
(3%以上は何らかの形でクリエイトしていると言える)

一方で、海外の場合、主に
PedestalのFavorite機能を使って、Publicアバターを使用する(自分でアップロードすることは稀)
・VRCmods等の(時に違法な)サイトから無料で手に入れる
・アバターは無料で手に入ることが前提であり、30$〜50$のアバターは高価と感じる
・ワンオフアバター≒既存モデルの改変という意味に等しく、コミッションで50$〜150$程度で手に入る(日本の相場感覚のおよそ1/10)
プレイヤーの中に占めるクリエイターの比率はとても低い
(1%切ってると思われます)

つまり、アバターに対する考え方や使い方における文化的背景が全然違う、ということを前提に「海外向け対応」を考えていかなければならないということです。

日本人の(特にクリエイターの比率が高い)VR界隈では権利遵守の意識が高く、本来であればユーザーが気にする必要のない所まで神経を張り巡らせながらVRを遊んでいます。(例えば第三者の権利を侵害しているワールドで撮った写真はTLに上げないようにしよう、と自主規制をする等。VRCの規約上は、プレイヤーにその義務は無い。アップロード者に全ての責任がある。)

海外、特にアメリカを例に挙げると、フェアユースという概念があり、「著作者の売上を直接的に毀損しなければ、著作物を無償で再配布しても罪に問われない」(意訳。詳しくは自分で調べて下さい)という逃げ道が用意されています。また、海賊版のアバターが海外サーバーで配布されてしまった所で、海を超えて著作権違反の裁判に持ち込むことは非常に手間とお金がかかります。リターンを考えたら、現実的ではないでしょう。

これは、アバター市場だけに限らず、同人誌や同人ゲーム、音楽など、アマチュアクリエイターの多くが悩まされ続けている問題です。
私も、以前同人ゲームを作って販売していたことがありますが、あまりにも違法コピーが出回りまくるのに辟易して引退しました。

それでも海外に売るべき理由

ここまでは現状の分析でした。
海外ユーザーに対してアバターを販売していくのはどうにも難しいように感じますね。

海外ユーザーの利用マナーの悪さに被害を受けたり、推しのクリエイターさんが被害を受けている所を目の当たりにしたことがあるユーザーさんも多いと思います。

しかし、現状がどうあれ、これから先、バーチャル空間でアバター作者として活躍していきたいという気持ちがあるのであれば、海外ユーザーと向き合う必要が必ず出てきます
その理由をいくつか挙げていきたいと思います。

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また、フィオの頭の中を発信しているマガジン「バーチャルで生きていく」を不定期連載していますが、この記事はそれに含まれますので、月額980円の定期購読を頂いても、こちらの記事は読むことができます。

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