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フィリピン物語

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2021年2月の記事一覧

ヤマモトの場合④

それでもレアに毎日電話をかけた。呼び出しもしなかったが、また電波が届かないのかもしれない。でも自分でもわかっていた。もうレアとはおしまいなのかもしれないと。

私と同じようにフィリピンパブで出会い、結婚した日本人男性は私の周りにも何人かはいた。みんなあまりうまくいっているようには見えなかった。子供を日本で産むのは不安だからと言って、フィリピンに帰ってそのまま戻ってこなかったなんて話も聞いた。フィリ

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ヤマモトの場合③

夫婦になれば一緒に暮らせる。そんなことは当たり前のことだ。子供が生まれる前にはレアに日本に来れるのだと思っていた。しかしそうはならなかった。レアの在留資格が取れなかったのだ。詳しいことはよくわからない。なぜ正式に夫婦になっているのに、日本で一緒に暮らせないのかさっぱり理解できなかった。一度、申請し却下されると半年は再申請ができないとエージェントに言われた。そして何が理由で許可されないのかはわからな

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ヤマモトの場合②

こんな気持ちになったのはたぶん生まれて初めてだった。レアのことが頭から離れなくなった。朝、起きても、仕事をしていても。いてもたってもいられず、店に会いに行った。一人でああいう店に行くようになるとは自分でも信じられなかった。レアはいつも歓迎してくれた。時々、別の客の相手をしていることがあったが、そんなときは胸の奥がギリギリと痛んだ。

ある時、レアが浮かぬ顔をしていたので理由を聞くと、父親が病気だと

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ヤマモトの場合①

ある日、手紙を受け取った。ちゃんと自分宛てに届く郵便物を受け取ったのは本当に久しぶりだった。「親展」と書かれた白い封筒には知らない団体の名前が書いてあった。

手紙を読み驚いた。妻のレアと娘のマイコが日本で生活していると書いてあった。できれば連絡がほしいと、前田真理子という人の名前と連絡先が書いてあった。

レアと初めて会ったのは、彼女が働いているナイトクラブだった。いわゆるフィリピンパブと呼ばれ

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