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#2 【閲覧注意】人類は、こんなものまで食べるのか。『辺境メシ-ヤバそうだから食べてみた-』

毎週月曜更新、勝手にカレー哲学。
カレーは道であり、カレーはBGMです。


ゲテモノはあなたの心の中にしかない。

あなたは食べたことがあるだろうか?ヤギの胃の内容物のスープ、世界で一番臭い魚、赤アリ卵とワインのマリアージュ、ヒキガエルのジュース……。

いや、僕も別に食べたくない。でも、世界には驚くような食べ物がたくさんある。しかも現地の人は日常的に食べているものだ。それをヤバイ、ゲテモノだと決めつけるのは簡単だが、ゲテモノとそれ以外の区別は、あなたの心の中にしかない。


それなのに頭から拒否して、そんな世界を知りもしないで死んでいくというのはちょっと悔しくはないだろうか?

今回はいわゆるカレー本というわけではなく、ノンフィクション作家として世界の辺境の隅々を旅してきた高野秀行氏の本が面白かったので紹介。ちょっと食の世界が広がったようなそうでもないような…。

人間ほど食べることに貪欲な生き物は他になく、日本人は特に食に貪欲だと言われているが、どうなんでしょうか。



ゲテモノ・珍食の中から美味しそうなメニューを3つ紹介!

氏は大学時代探検部に所属していたとき、コンゴ共和国のジャングルでやむを得ない事情から原住民と共にゴリラやチンパンジー、蛇などの野生動物の肉を食べた。

それからというもの、世界のあちこちを旅する中で、虫から発酵(腐った?)食品、一般的にはゲテモノと言われるような動物の肉まであらゆるものを食べてきたという。

中には幻覚剤や口噛み酒など食べ物と言えるのか微妙なものも含まれるが、「食べたことないものを食べてみたい」、「体験したことのないことを体験してみたい」というそのとどまるところを知らない好奇心にはリスペクトしかない。

これは、高野氏のその豊富(?)な食体験をつづった本である。

正直ゲテモノやキワモノが多いが、その中でも印象的で、比較的美味しそうな食べものを3つ紹介する。


①絶品!納豆バーニャカウダ(ミャンマー)


氏は『謎のアジア納豆』という本も出しており、アジア大陸諸国の納豆文化を調べまわったこともあるらしい。それによると納豆文化は南アジア一帯に広がっており、日本はむしろ納豆後進国である。

納豆料理が高度に発展している納豆先進国ミャンマーのシャン族は納豆は生のままではなく、文明的に焼いたり煮たりして食べる。日常的に食べられているのは納豆を潰して天日干ししたせいべい納豆である。パパドみたいな見た目。


アミノ酸の固まりである納豆を粉状に砕いて、ある種のうま味調味料として使うのだという。


さて、納豆バーニャカウダの作り方であるが、下記のようである。

まずせんべい納豆を揚げ、それを川海苔、ピーナッツ、ニンニク、生姜、ネギ、パクチー、湯むきしたトマト、茄子、炒めた唐辛子と一緒に石臼に入れ、丁寧に潰す。最後に納豆を揚げた油を少し垂らし、水を加えるとディップ(タレ)が完成。そこに茹でた野菜や生野菜をつけて食べる。(同書 p.124)


むむ、これは食べてみたい。そういえば東京、高田のバーバパパにはミャンマータウンがある。どこかで食べられるのだろうか?ノングインレイには納豆チャーハンがメニューにあったが、このせんべい納豆は食べられるのだろうか。



②猛毒フグの卵巣の糠漬け(日本)

珍食という意味で日本も全く例外ではない。日本人は結構気持ち悪いものを食べたりする。フグはポピュラーではあるが、それも先祖の多大なる犠牲があってのこと。。フグを食べられるようになるまでいったい何人死んだのだろう…。


卵巣はフグの中でももっとも猛毒を持つと言われるが、石川では卵巣を数ヶ月塩漬けにしたあと、三年ぬか床に漬け込むことで毒を消して食べるらしい。どうしてそこまでして食べようと思ったんだ。


そして氏によると、これはイランのアシュバルという卵巣の塩漬けに近いらしい。そんなこと言われてもわからんがな。。

フグの卵巣は猛毒なので、石川県でのみ加工販売が許されているらしい。なんて優しい世界・・・。一度食べてみたい。



③アンデスのオーガニック。巨大ネズミクイの串焼き(ペルー)

クイとは一言で言えばモルモットだ。ペルーではかなりポピュラーで、ブリーダーたちが品評会で優劣を競ったりするらしい。各家庭で育てていて、お祝いの時に潰したりする。鶏感覚だろうか。画像を見ると、ネズミの姿が残っていて結構グロテスク。


しかし肝心の味はというと、チキンのようであっさり美味しいらしい! 脂肪分が少なくゼラチンがうまいとか。これはちょっと試してみたいかも。


まとめ

世界には、ほんとに変な食べものがたくさんある。一体なぜこんなものを食べるんだ、というような日本人の感覚では到底理解できない食べ物がある。しかもそういうものに限って現地では特別な日のごちそうだったりする。


でも日本食だって彼らにしてみたらよっぽど奇妙に違いない。魚を生で食べるなんて!何にでも大豆の発酵した黒い汁ばっかり入れるなんて!


本書をきっかけに、カレーばかりではなく、その根底にある、「食べるとは、生命維持以外にどういう意味を持つのか?」とか、「なんでも食べてしまう人間の業の深さとは?」とかそういうことを考え始めた。


世の中まだまだ知らないことばっかりだ。

ちなみに本書で複数回とりあげられている中華の店が新宿歌舞伎町にあり、牛のペニスと筋のカレー煮込みとかセミの幼虫とか色々食べられるので、辺境メシを近場で体験できる。

本書の中ではムカデとセミとバッタとサソリの食べ比べをして、ムカデが一番美味しいという結論に達していた。ここは料理自体が普通に美味しい。


来週はカレーのこと書きます。


あまり更新してないけど、ブログもやっています。⬇︎



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