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東京マサラ部室は丁寧な暮らしを送っているのだろうか?:カレー哲学の視点(22/2/12〜22/2/18)

「2月はインドへ旅に出る季節」という刷り込みが根強くされているからこの季節はそわそわしてしまう。2月はインドの旅がしやすい。
後半に休みをとってインドへでかけ、日本に戻って来た途端に花粉症が発動する、というのがお決まりのパターンだった。

二週遅れでニュースレターを更新します。

書籍紹介

本はいい。実にいい。電子書籍もいいのだが、やはり紙の本が好きだ。
紹介したいカレー関連の本がたくさんあるのだが、記事を書くのが全く追いついていない。

取り急ぎ最近書いた本の紹介記事を貼ってみる。


「丁寧な暮らし」

「丁寧な暮らし」という言葉がある。この言葉を訊くと少しむず痒くなってしまう。SNSで見かけるような「丁寧な暮らし」は、なんだか形式的で人に観られることを前提にした生活のように思えてしまうからだ。それは本質的ではない。

だが、自分が何に対して心地よいと感じ、どこに手を抜いてどこに手間をかけて暮らしたいかを把握するのは良いことだと思う。そしてそれが仕事の効率を求めるとかではなく、生活自体を楽しもうということを前提としていることには賛成だ。なんてったって、人生は獲得標高だからね。

言葉について軽く調べてみると、「丁寧な暮らし」とは「日々の何気ないことに手間と時間をかけて日常に向き合い、自分なりの心地よさを見つける暮らし」のことらしい。

パンを自分で焼いたり、鍋でご飯を炊いたり、習慣的にティータイムを取り入れたりすることで生活を楽しみ、自分を労る暮らしのこと。

それなら自分もやっているかもしれない。自分が日々実践している丁寧な暮らしについて書いてみる。

・パンを焼く

日々、全粒粉であるアタ粉を捏ねてチャパティを焼いている。カシミールのSheemalというパンや、ラージャスターン料理のコバロティというパンもやいてみた。手作りのパンはそれなりのクオリティではあるが、焼き立ての香り補正と自分が手をかけた補正で美味しく感じる。

・イドゥリを蒸す

米と豆を浸水させてウェットグラインダーでペーストにし、発酵させてイドゥリをつくる。これぞ丁寧な暮らしの手本。


・料理は素材から手作りする

スパイスを砕いて、イチから料理を作ったりする。

・鍋でご飯を炊く

たまに鍋でビリヤニを10kgくらい炊いたりする。丁寧な暮らしにビリヤニは欠かせない。


・花を飾る

居間にホムデンが飾られている。いつかきっと、きれいな花を咲かすでしょう。


・ティータイムを作る

毎日のようにチャイを淹れて飲んでいる。牛乳の煮詰め具合やスパイス、煮出し時間などチャイは変数がたくさんあり、飽きることなく楽しめる。


・器にこだわる

インド食器のステンレスのカトリは割れないし、調理道具にも使えるので重宝している。電子レンジにかけられないのが面倒なポイントではあるが。

こうしてみるとたしかに自分は丁寧な暮らしを楽しんでいるかもしれない。
別に誰かのせいではなくて、自分がやりたいことベースで考えていたらこうなってしまった。

もちろん自分ひとりの力ではできないことも多いし、それは効率が悪いと思うことも多い。
この暮らしがいつまで続くのかはわからないが、いつか全部変わってしまって、こうした毎日を懐かしく感じるときが来るのかもしれない。

そのときまで、せいぜいカレーを作って楽しもう。

和ミールス動画

先日マサラ部室で和ミールスを作っている様子を撮影したので動画を作ってみた。
自分ではあまり作らない料理でも、他の人が作っているのを見ると勉強になるし強制的なインプットになるので、環境を作るというのは何かを習得する上で効力があるなと思う。


購読者限定パート

スパイス実験の続きとして、waccaさんとテンパリング実験の続きを実施しました。
レポートを別途まとめますが、取り急ぎ要点だけクイックに書きたいと思います。徐々に書かなければいけないレポートの宿題が溜まっていっており、大学の期末を思い出しますね…。

今回の実験では以下の2つを検証しました。

①問い:油でホールスパイスをテンパリングする必要は本当にあるのか。(前回の追試)
②問い:マスタードシードの限界を知る。

①テンパリング実験

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