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ラージャスターン料理を作りながらダルマストーブでダルを煮る日々だった:カレー哲学の視点(22/03/05〜22/03/11)

カレーというのは世界の見方を定める一つのレンズであって、ある同じものをカレーと見ることもできるし見ないこともできる。取り外しができない程度に既にターメリックが染みついちゃっているかもしれないけど、日に当てれば褪色するから大丈夫だ。

エネルギーと時間不足を言い訳に週次ニュースレターを更新できていなかったがじゃんじゃん書いていきますのでお付き合いください。

ラージャスターンの粉食文化は砂漠の食だ

3月はラージャスターン料理がテーマだった。

ラージャスターン州はインド北西部に位置し、インドで最も面積が大きい州だ。実はジャングルや湿地帯も存在するのだが、代表的な料理は砂漠の食が多い。厳しい環境のため新鮮な材料があまり手に入らず、乾燥した野菜や保存の効く粉ものでできた料理が中心になるのだ。水も貴重なためバターミルクやギーを水の代わりに使ったりする。

最も有名なのがDal Bati Churma(ダールバーティーチュルマ)。チャパティの原材料でもある全粒粉、アーターを捏ねて丸め、牛糞を焼いた灰の中にうずめて焼く。焼けたあとはギーの海の中にドボンして表面にたっぷり染み込ませる。口がボソボソに乾くが、ぐちゃぐちゃに崩してカレーライス状態にして食べるといい感じになる。

牛糞を焼いた灰というのがなんともはやだが、ちゃんと燃焼しきっているなら衛生的には問題ないはずだ。牛糞の灰やターメリックというのは土の香りが呼び起こされてインド人的にはとても嬉しいものらしい。よくわかんないけど。

牛糞を燃やした炎は神聖なものであり、安定したごく弱火を生み出すとして重宝されているらしい。牛糞燃料自体はインドを旅しているとかなり身近にあるもので、よく壁にドーナツ状に貼り付けて乾燥させているところを目にする。
一度くらい牛糞を農家からもらってくるところからやってみたいが、別にそれで料理がおいしくなるわけでもないしな…。

米があまり育たないので小麦食が中心なのだが、いろいろな粉で具材を作ってカレーの材料にする料理というのがラージャスターン料理でよく見られる。

一番有名なのがGatte ki Sabzi /Gatta Curryなどと言われるひよこ豆の粉で、団子を作ってカレーの具材にするものだ。味と食感はちくわぶのよう。

他にもお菓子で有名なグラブジャムンやラスマライを具材にした(甘くない)グラブジャムン・キ・サブジラスグッレ・キ・サブジ、ターリーによく添えられるパパドを茹でて具材にしたパパド・キ・サブジなどもある。

基本的ににんにく玉ねぎ不使用のピュアベジ仕様。今まで自分がある食材に関して先入観を持って固定化した見方をしていたことに気付かされる。
インド料理に関しては本当に決めつけてはいけない。


マサラダイナー春のモダンインディアンコース:能書きは何よりもおいしい。

マサラ部室メンバーの誕生日でエリックサウスマサラダイナーのコース料理を堪能してきた。体験に関しては別途書くかも。

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