見出し画像

#34 タイのムスリム料理店の謎カラーヒー

一人旅は暇だ。でも暇だと思えることはいいことだ。ここのところ日本では常に時間に追われて、睡眠時間もろくに取れていなかった気がする。金で買い取ったつかの間の休息だが、暇なのでほぼ毎日1000文字を目安にnote更新します。

帰省のノリで、ここのところ年末はインド周辺に飯を食いに行くことが多い。今回、かなり安いLCCを使ったので変な時間に出発してトランジットでめちゃくちゃ待たされた。東京からムンバイまで時差抜きで約24時間かかり、バンコクでかなりの空き時間ができてしまった。せっかくなのでムスリムのタイ料理店、Usmanに来た。

画像1

画像2

店員さんは皆ムスリムの格好をしていて、ちょっとマレーシアっぽい雰囲気。旅のテンションで、ついつい、こういうパッションフルーツレモンソーダみたいなのを頼んでしまったりする。

そして件のカラーヒー。カラーヒーは「鍋」の意味で、大量の油で玉ねぎ、ニンニク生姜、トマト、スパイスを揚げるように炒めて肉を加えて、具材の水分だけで煮るような中東のムスリム由来の料理。以前パキスタンに行った時は毎日のように食べていたが、油ギッシュなのでなかなかキツかった。でも、日本でたまに食べるとご馳走パキスタン料理として美味しい。

スペシャルメニューにそんなチキンカラーヒーの文字を見つけて小躍り。こんなところで出会えるなんて!しかし散々待たされ、やっとやってきたのはこちら。

画像3

これ、カラーヒー感がまったくない。チキンとジャガイモ、玉ねぎが具として入っていて、フライドオニオンが浮いている。

味はタイやマレーシアでよくある感じのチキンココナッツカレーっぽい。ううむ。国から国を超える伝言ゲームの間にカラーヒーも謎の進化を遂げたのだろうか。メニューを見るとほかにパキスタン料理っぽいものもないし。

メニューを見ると105番のカレーは三種類あるのに、写真が一種類しかない。謎すぎる。他のカレーと特に区別していないということなのだろうか。

画像4

帰りにもバンコク寄るので、別のお店も覗いてみようと思う。

バンコクは雑多で観光客もめちゃくちゃ多く、タイの文化と海外の文化が混ざりに混ざってカオスな状況が作り出されている。その辺を歩くとセブンもローソンもファミマもあるし、全然日本と変わらない。現に日本語もその辺でたくさん聞こえる。国内旅行の延長のような感覚で来れて食べ物もうまいし暖かいし、娯楽は充実してるしでインドとは正反対だな、タイは。

それでも自分が強く惹かれてしまうのはインドの食文化であり、歴史であり、言葉であり、人々だ。

東南アジアのことは全然知らないので、近いうち時間をとってもっと辺境のほうを旅してみたい。ほんと、いつ死ぬかなんて誰にもわからないから。

この旅に、目的なんて別にない。ローカルの人々と入り乱れるごとに自分はインド人ではないということを強く自覚する。せめてもっとヒンディーできればなあ。


いただいたサポートは全てカレーの材料費と東京マサラ部の運営資金となります。スキやSNSでのシェアもお願いします。 インド料理やカレーの本を出したいです。企画案がたくさんあるので、出版関係の方、ぜひご連絡ください。