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東京のイドゥリ20皿+α【東京マサラ部活動レポート】

全てのイドゥリに物語がある。

熱くてふわふわのスポンジのようなイドゥリ。程よい酸味が食欲を湧き立てる。蒸しパン好きにはたまらない食べ物だ。

イドゥリとは

南インド広域で朝食や軽食として広く食べられているイドゥリ(Idli/idly)はウラドダルと米のペーストから作られる発酵蒸しパンだ。歴史を遡ればそのルーツはインドネシアにある可能性が高い。1000年近く南インドの人々に食べられているという。

その魅力はなんと言っても美味しすぎないこと。というと誤解を招くが、毎日食べられるものは旨味控えめくらいの方がちょうどいいのではないか。
そのままでは味は淡白なのでチャトニーやサンバルと合わせて食べるのが定番だ。

個人的な初めてのイドゥリとの出会いは、インドのプネーで働いていた時に同僚がお弁当で持ってきていたものを分けてもらったときだった。発酵が進んでいてすでに酸味がきつくなっており、友達のお母さんの握ったおにぎりのような感覚で、少し食べるのに抵抗があった。あまり美味しいものではないなと思った。

それからしばらくは食べているだけでイドゥリの魅力は分かっていなかったが、自分でつくるようになってからイドゥリを育てていくことの楽しさが分かった。いつの間にか赤子を育てる保護者のような眼でイドゥリのことを眺めることができるようになった。

そういえば3月30日はワールドイドゥリデー・イドゥリの祝日です。覚えておこうね。


カレーシェアハウスを中心拠点としてインド料理で遊び続けるカレーヤー集団、東京マサラ部ではティファン研究と称してイドゥリやドーサなどのティファン研究を行なっています。

今回は、食べ歩き編として東京周辺(一部そのほか地域も含む)で出会ったイドゥリ19皿を紹介し、おうちイドゥリも少し紹介します。

イドゥリに甲乙はつけたくないので、特にこれはおすすめ順とかいうわけではありません。


イドゥリ食べ歩き編


ケララの風モーニング【大森】

まずはなんと言ってもこのお店。モーニングセットの一部にイドゥリがついてきます。
こちらの動画でも作り方を解説されている。



ナンディニ【虎ノ門】

名物、四角いお皿だ!

ナンディニ虎ノ門ではイドゥリセットとイドゥリワダセットが常備されている。
スリマンガラムにも通ずるような滑らかな飲み物タイプのイドゥリで、程よい発酵感もある。スルスル飲めるように食べられてしまうレベルの高いイドゥリだった。
これがいつでも食べられるってすごいぜ。



ニルワナム【銀座】

シワの入ったイドゥリ

ビュッフェがなくなったニルワナムではミールスもドーサもないのにイドゥリサンバーセットだけはあった。 酸味弱めで若干粉の荒さはあるがふかふかでとてもおいしい。トロリとしたサンバーもにんにくの効いたトマトチャトニも心が盛り上がるおいしさ。

お月様が並ぶよ
少し不恰好なくらいがいい、人間もイドゥリも


ヴェヌス【赤坂】

表面に少し肌荒れ
  • 3pcs 900円。

  • 重量系のイドゥリ。イドゥリは作るのに時間かかると言われたが10分程度ですぐやってきた。

  • ミールスを食べてからイドゥリも食べるとかなりお腹いっぱいになるので注意。

  • チーズのような酸味と発酵感がしっかりある。

  • 水分量多めでふっくらというよりべっとりしていて手に貼り付くタイプ。


ヴェヌス【御徒町】

肌色って定義できなくない?
  • 3pcs900円

  • 提供まで約30分。

  • 色は黄色がかった白〜肌色。酸味が強いので発酵が進んでいる感。

  • 固さ・弾力はまあまあ。ちょっとポロポロしている。

  • ちょいと水分が多くベチャッとしていた。

  • ヴェヌゴパールの遺伝子の仕業か。赤坂店と味は似通っている。

  • サンバルの具材が細かく食べやすい。イドゥリ向けの味だ。レベル高い。


ベジキッチン【御徒町】

イドゥリしか食べない客のこと、どう思う?
絶妙な伽藍配置
  • 2pcs 700円

  • 提供タイムを計測したら6分16秒

  • ポロポロしていて手にはつかない。

  • 表面に細かい気泡がある。

  • 酸味弱い、甘みあり、蒸しパンっぽい。

  • 端っこがクリスピーになっているのでちょっと蒸しすぎかも。

  • トマトチャトニがはっきりしていておいしい。 ココナッツチャトニのマスタードシードは多め。

  • シェフはインド北部出身とのこと。



ヴェジハーブサーガ【御徒町】

ずっしりくる!
サンバルの具材が大きい。
  • 2pcs 880円

  • タイム計測したところ13分で到着。

  • 重量級で、サンバルが辛くてスパイシー。攻撃力高い。ベジタリアン店らしく、満足感のあるイドゥリサンバーだ。

  • ポロポロとした蒸し加減で、ひとつひとつがずっしりとしている。

  • ちょっとべたつく。ココナッツチャトニは少し荒い挽き具合

  • ここはラージャスターン出身の人のお店だが南インド料理も出している。お隣のグジャラートにあるドークラはイドゥリの親戚らしいが、引っ張られたりしているのだろうか。


スリマンガラム【経堂】

表紙を飾るレベルのイドゥリサンバー
はんぺんみたい
大量のチャトニとサンバル
白いところを残さないのだ
  • 朝ティファンのイドゥリは2pcsで600円だが絶対他にも色々食べてしまう。

  • 7時にまとめて作っているので早めに行くとアツアツが食べられるよ。

  • しっかりと発酵しているのだが全く嫌な酸味ではない。

  • はんぺんのように滑らかな表面は官能的に粘膜に吸いつく。

  • Sambarはティファン用に甘く調整されている。

  • マハさんがサービスでサーブの時にすぐ手でぐちゃぐちゃにしてくれる。

  • ぐちゃぐちゃに砕いてからよく混ぜると美味しい。


ケララキッチン【新丸子】

  • 3pcs 950円

  • ケーララの伝統的な素焼きの器で統一されている。

  • しっかりめの蒸し加減で裏側は滑らかにしあがっている。

  • 少し小さい。全体的にあまり発酵している感じがない。

  • サンバルの具材デカイ。酸味なくて豆が多く辛い。優しい味だ。

  • ココナッツチャトニにはミントが入っていて少し荒い仕上がり

  • 別で頼んだラッサムはにんにくが効いてスッキリタイプ


シリバラジ【水道橋】

禍々しいラッサム、絶対むせる
  • 3pcs 1000円

  • オイリーでコクがある、むせるようなラッサムはタミルらしい辛さ。

  • イドゥリは提供まで10分くらいだった。

  • サンバルはドロドロでめちゃくちゃうまい。

  • スリマンガラムとはまた違った方向性の、ザクザク感のあるタミルイドゥリの雄。

何度食べてもいいイドゥリ。
ちょうどいいホロホロ感。 しっかり発酵しているのに酸味はそこまでではない。 チャトニのクオリティ高い。


南インドダイニング【中野】

イドゥリ4つとワダ1つで1100円というイティリ・ワダセットというものがあり、頼むと2種類のチャトニとサンバルが出てくる。
若干しっとりしていて重めの仕上がりだった。
記録が漏れておりあまり細かいことを記述しきれない。


ケララバワン【練馬】

肌色

すぐ、ケララバワンのイドゥリに帰ってきてしまう。この発酵感とふかふかさが忘れられず。
生地は主にソナマスリを使い、常温で弱めに発酵させた後冷蔵庫でキープさせるらしい。

隊列している
新たなフォーメーション

定点観測していると毎回少しずつ違っていて新たな発見がある。

サッシーさんに事細かにウェットグラインダーの使い方を教えてもらった。最初にウラド豆を回すときには水を入れすぎてはいけないらしい。水はあくまで少量ずつ入れて回すのが大事とのこと。

UFOのようだ

サッシーさんのケーララの実家は飲食店を営んでいたらしく、ウェットグラインダーなんてないもんだから学校から帰ってきたら石臼で挽くのが当たり前だったらしい。そっちの方が美味しいのかなあ。


レジナ【西八王子】

崩れるようなイドゥリ

もろもろタイプのふわっとイドゥリ。 新宿にあったムットゥの2号店
お孫さんたちがとても可愛かった。


アロマズオブインディア2.0【神楽坂】

神楽坂の救世主
お上品にバターナイフを使うよ
  • 3pcs 850円

  • イドゥリは安定したきめ細やかな仕上がり。

  • サンバーとチャトニがしっかり美味しい。

  • ラッサムはオプションで他のだが、邪気を飛ばす味の強さで良い。


マハラニ【大島】

スパイス入り
  • 3pcs 600円

  • 大きすぎて型からハミ出している。

  • マスタードシード、チャナ、クミンシードをテンパリングしたオイルを生地に混ぜているとのころ。

  • スパイスと油が発酵臭と混ざって、ほのかなパルメザンチーズ感を出している。不思議。

  • シェズワン(四川風)ドーサなども美味しい。


ミナミキッチン【大島】

かわイドゥリ
断面は荒れ気味
  • 3pcs 660円

  • 店内に草が生えたミナミキッチンのイドゥリはかわイドゥリ。

  • 酸っぱい匂いがしておにぎり感のあるもちもち具合

  • サンバルは塩コショウ感が強く、ネギはちょっと邪魔。


スパイスマジックカルカッタ南口【西葛西】

ココチャトも仲間に入れてあげて
綺麗な断面ではあるが。
  • ランチタイムのイドゥリセット 650円

  • ランチタイムのイドゥリは朝にまとめて蒸してしまうという。

  • イドゥリはモロモロイドゥリで、持ち上げると崩れてしまう感じ。

  • 発酵臭はあるが酸味はそこまで強くない。

  • サンバルが無難においしい仕上がり

  • 四角いプレートに盛られているのがいいですね

  • 昔見えていなかったことが見えるようになってしまった。


シッダールタパレス【雪が谷大塚】

サンバル激うま
断面図
  • ここは穴場かもしれない

  • ネパール人オーナーの南インド料理店

  • イドゥリは密度が高くサイズが大きい

  • サンバルはケーララ風。にんにく効いてる。とろみも強い。おいしい。

  • 酸っぱい発酵臭はあるが酸味はそこまでではない。後味に酸味がある。

  • パクチー感のつよいココチャト


ミライ南インド料理【町田】

少し歪んだ形
バナリーに擬態したお皿
  •  しっとりぎっしり、酸味塩味少なめ。

  • 米はインディアゲートを使用してるそう。


スパイスラボトーキョー超高級イドゥリ

誇りたかきイドゥリ

銀座のスパイスラボトーキョーのコースにもイドゥリが組み込まれているそう。一度食べてみたいものだ。


タルカ【京都烏丸】

東京ではないが京都のタルカ2にて食べたBUTTON PODI IDLIがめちゃくちゃ美味しかった。
小さく蒸したイドゥリにギーとポディ(スパイスや豆の粉)をまぶし焼きしたもの。
残り物のイドゥリをカレーの具にすることもあるらしいが、これは蒸し立てのものを即味付けしたもの。
おつまみにもなるし、こんなものを考えたのはとんでもねえデブだ。



おうちイドゥリ編

カトリなどでもいいのだが、やはりイドゥリ型が欲しい。アジアハンターで購入可能。

昨年の夏のボーナスで最新型のイドゥリ蒸し器を導入してみた。表面がテフロン加工になっているので油を塗らなくてもイドゥリが剥がれやすい。

家庭用では一度に16個まで蒸せる。

too much indiaのとみーさんに教えてもらったのだが、濡らしたサラシ布を絞り、蒸し器との間に挟んでその上に生地を置いて蒸すようにすると余計な水分が吸収されていい仕上がりになる。


インスタントイドゥリキット

発酵いらず

重曹が入っているインスタントイドゥリキットもある。発酵いらずなので思い立った時にすぐ作れるのだが、そんなに美味しいものでもない。

なんかコレジャナイ



ジップロックコンテナオシャレイドゥリ

近未来のイドゥリバー

イドゥリバッターにナッツとレーズンをトッピングしてレンチンしたら、今風のもちもちオシャレ蒸しパンになった。


ウェットグラインダーの使い方

イドゥリバッターはミキサーでも作れるが、より滑らかふわふわを追求するならばいよいよウェットグラインダーが必要かもしれない。


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