11.依存症の経済学

依存症の場合も限界効用は確かに逓減している。刺激が、効果が、弱くなるためである。

しかし、問題もある。限界効用こそ逓減するものの、消費の頻度や1回当たりの消費量は通常の消費に比べ急増する。これは通常想定される消費行動とは異なるのではないだろうか。

依存症の場合はもはや効用というよりも、消費によって得られる効果が切れることへの不安の方が遥かに大きいために、次の消費が前倒しされてくるということなのではないだろうか。

つまり、ここでも主張したいことは、
経済主体はそれが着目する系の安定化を図る。
ということである。ここでの着目する系とはその経済主体の精神そのものである。

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