良いマネジャーとは?スールシャール監督解任から考える

 今週、マンチェスター・ユナイテッドは11月20日に行われたワトフォードとの試合で1-4で敗北したことを受けリーグ試合後にスールシャール監督を解任しました。

 そのニュースを聞いた時に、私自身「良いマネジャーとは」について考えることがあったので、書いていきたいと思います。

 まず最初に、私はスールシャール監督が決して悪い監督だとは思っていないです。確かに、ユナイテッドでタイトルは1つも獲得していませんので、良い監督かと言われるとクエスチョンマークがつくのも事実です。

 しかし、評価すべき点もあると思います。選手と大きく揉めるという話がほとんどなかったという点とチームの補強がうまくいった点です。スールシャール氏が監督している期間にブルーノフェルナンデスやヴァラン、マグワイア、サンチョ、クリスティアーノ・ロナウドなど優秀な選手を獲得することができているという点はすばらしいことだと思います。

 マンチェスターユナイテッドというクラブの優れたブランド力が移籍市場で有利に働いているのも要因の一つで間違いないでしょうが、それだけではマンチェスターユナイテッドに加入したいとは思わないでしょう。私はクラブのブランド力だけではなく、スールシャール監督は、すごく人望のある方だと思います。それは、今回のスールシャール監督解任時の選手のコメントであったり、後味の悪くない、潔い退任の仕方を見ていると、すごく感じます。

 確かに、マンチェスターユナイテッドというクラブの大きさや、ファンの求める成績を考えると、目に見える成果を残せなかったかもしれません。しかし、ファン・ハール監督やモウリーニョ監督の時よりもマンチェスターユナイテッドらしさは感じました。若手が躍動している試合もありましたし、ドラマチックで見ていてドキドキする試合も多かったと思います。タイトルを1つでも獲得していれば、ファンにも愛され、長期政権になったかもしれません。

 実は、私がサッカーに興味を持つきっかけが、現在ローマの監督をしているモウリーニョ監督で、モウリーニョ監督のような情熱的かつ野心的で、短期間で強いチームを作る監督が好きです。これまでモウリーニョ監督の哲学や人柄からかなり影響は受けてきましたので、スールシャール氏が特別好きというわけではありませんが、人を惹きつける魅力を持っている方だと思いますし、無能だとは全く思っていません。

 モウリーニョ好きの中では珍しいかもしれませんが、私は元アーセナル監督のヴェンゲル氏のような長期的に上位をキープし、安定した成績を残す監督も好きで、評価されるべきだと思います。もし自分が選手だとしたら、ヴェンゲルのような落ち着きのある監督のもとでプレーしたいと思うかもしれません。

 私の考えでは、スールシャール監督はマンチェスターユナイテッドのような優勝以外は失敗というクラブよりも、もう少しプレッシャーの弱いクラブで長期政権を築いていく方が合っているのではないかと思います。政治力は非常に優れる監督だと思いますし、優秀なコーチや選手も集まってきやすい人柄をお持ちだと思いますので、スールシャール監督がどこかのクラブで優勝しているところは見てみたいと思います。

 私がこのような文章を書こうと思う理由がありまして、サッカーの監督に関するニュースやネットなどを見ると、明確な戦術を持っている戦術家タイプの監督を持ち上げる人が非常に多いと感じています。確かに戦術を考えるということは楽しいことだし、チームが成果を出すために必ず必要な要素であると思いますけど、それが全てではありません。あくまでもサッカーは人間がやることなので、「人のマネジメント」に優れる監督もすごく魅力的だと思います。例えば、戦術家のグアルディオラ監督が評価されるのは別にいいとは思うんですけど、同じくらい元レアルのジダン監督ようなモチベーター型の監督も評価されるべきだと思います。

 最近「○○監督は戦術がないから無能だ」という言い方をする人が多いように思うんですけど、戦術至上主義の風潮はいかがなものかと思います。チームの中ではクラブの経営陣、監督、コーチ、選手、ファンなどいろんな複雑な要素が絡み合っているので、監督だけに責任を押し付けるのはあまりよくないと思います。

 最後にスールシャール氏の話に戻すと、私はすごく魅力のある人だと思っています。また違うクラブで監督やGMとして活躍する姿を見せてほしいと思います。

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