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ホラー小説「ドールハウス コレクション」第14話 友情 前編

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注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


33.愛美 2023年6月25日

今日は春香さんと写真を撮る約束をしていた。
しかし、本当は一日マリーちゃんと遊びたかった。

大きな柱がある場所で春香さんと待ち合わせしていた。
「愛美ちゃ~ん お待たせ!」
しばらく待つと、デジタルカメラを持った春香さんが現れた。
「しかし、この船大きいね!」
春香さんはイベントで来ていた船の写真を撮って、わたしに見せてきた。
その写真は船の後ろの青空が天気の良さを演出していて、港らしい写真だった。
「そうだ!この船をバックに愛美ちゃんを撮っていいかな?」
「愛美ちゃんの可愛い笑顔を撮らせてもらうよ~」
急に春香さんはこんな提案をした。

しかし、わたしは春香さんに自分の姿を撮られても大丈夫だろうか。
自分は二人殺害して、その死体をお人形さんに見立てて遊んでいる。
もし、自分が殺人で捕まったとしたら春香さんが撮ったその写真が出回ったりしないだろうか。

いや、私はかくれんぼしていたお人形さんを捕まえただけ。
お人形さんの魂を抜いただけ。
人殺しなんてしてない。
ただ、人形遊びをしているだけ。
大丈夫、悪い事なんてしてない。

少し考えたが、わたしはこの提案に乗って撮影することにした。
「ん~右!そこ!」
「なんか、可愛いポーズを取って。」
わたしは春香さんの指示に従って、写真を撮ってもらった。
撮ってもらった写真は楽しそうに写っていた。

「あっ!アイス屋さんが来てる!食べた~い。」
春香さんはアイス屋さんを見つけたようだ。
「愛美お嬢様~アイスおごってくださいな。」
どうやら、春香さんはアイスを食べたいみたい。
「おごってあげるね、春香さん。」
おごると宣言すると、春香さんは嬉しそうに喜んでいた。
「ありがとう!愛美ちゃん!」
「でも、本当にいいの? いつもおごってもらってるし。」
春香さんにアイスを買ってあげると、感謝しつつも、おごってもらって申し訳ないと感じていたようだ。
「大丈夫だよ!お小遣いは5万円くらいもらってるし、財布には7万円入ってるから。」
わたしはちょっとした自慢も混ぜつつ、大丈夫だと春香さんに伝えた。
「やっぱり、愛美ちゃんみたいなお嬢様は格が違うね。」
こんなことを言われて、わたしは嬉しかった。
家がお金持ちで良かった点はこういう自慢をして、春香さんのような人から注目を浴びれることだった。
ベンチに移動して、春香さんはアイスを食べた。
わたしは横でアイスを食べる春香さんを撮影した。
「愛美ちゃん、アイス食べてるところまで撮っちゃうなんて、照れちゃうよ。」
春香さんは笑いながら、こう言った。
「だって、春香さんは可愛いから。」
わたしがこう返すと、春香さんは
「えぇ!?さらに照れちゃう!」
「どうしよう!?愛美ちゃんに惚れちゃいそう!」
と嬉しそうにはしゃいでた。

春香さんとこうやって、じゃれ合うのも楽しいが、本当はマリーちゃんと遊びたかった。
でも、一日くらいは我慢しよう。

「そうだ!あそこの木陰ロケーションすごく良さそう。行ってみない?」
アイスを食べ終わった春香さんは早速写真撮影の場所を探して見つけた。
「愛美ちゃん、ポーズの指示頼むね。」
すぐに春香さんは移動して、撮影に取り掛かった。
「座ってみて。」
春香さんにポーズの指示をして、撮影した。
「どんな感じに写ってるかな?」
春香さんは撮影が終わると、カメラの液晶画面を見に来た。
「写りがすごくいいね。」
わたしが撮った写真を気に入ってくれたみたいだ。
「次は橋と海が写る場所とかどうかな?」
わたしは次の撮影場所を春香さんに指示した。
「いいね!撮ろう!」
春香さんは提案を聞いてた。
一緒にその場所に向かって、写真撮影を始めた。
春香さんは被っていた麦わら帽子を押さえてポーズを取った。
背景の橋と海に合っていた。
シャッターを押すと、素敵な写真が撮れた。
「うわぁ。すごい!」
春香さんに見せると、今日一番いい反応をしていた。

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