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ホラー小説「ドールハウス コレクション」第16話 折り鶴

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注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


佐々木愛美が小柳百合を殺して4か月経った。

37.春香 2023年 9月24日

朝食を食べながら、テレビのニュースを見ていた。

「横川市でまた行方不明者が出ました。」
「18日から行方不明になった高校生の江崎杏奈さん17歳の捜査が続いています。」
「江崎さんが住む横川市乱馬町周辺では5月に小柳百合さん19歳が行方不明になったのを皮切りに相次いで行方不明者が出ています。」

テレビは私が住む横川市の行方不明事件のニュースをやっていた。
しかも、全国ニュースで報じられていた。
数か月から行方不明者が出ていて、警察は誘拐事件とみて捜査していた。
なんか、物騒なニュースが数か月続いていた。
私はテレビの前で「早く犯人が捕まりますように」と願うくらいしかできない。

たしか、乱馬町は愛美ちゃんが住んでいる所の近くだったはず。
愛美ちゃんのことが心配だった。

38.愛美

今日の休みの日もマリーちゃんたちの屋敷に遊びに行った。

今日はマリーちゃん、さくらちゃんと一緒に折り紙で遊ぶの。
屋敷に着いたら、マリーちゃんをさくらちゃんが居る和室に連れて行った。
カバンから折り紙と折り紙の本を取り出して、一緒に折り紙を折った。

「これをこうやって、こうすると。」
さくらちゃんはマリーちゃんに折り鶴の折り方を教えた。
さくらちゃんは折り紙が得意で、いつもすごい物を作ってる。
わたしが折り鶴を折ってみせると、ふたりは目を輝かせながら見ていた。

「そうだ、みんなの分も折ってあげる。」
わたしは色とりどりの折り紙を取って、みんなに渡す折り鶴を折った。

折り終わったら、みんなを食堂に連れて行って、お茶会を開くことにした。
わたしの可愛いお人形さんたちが集まった。
「みんな、集まってくれてありがとう。」
「実は、みんなに渡したいものがあるの。」
わたしはお友達の印として、折り鶴をみんなにあげた。

いつも笑顔なマリーちゃんには水色の折り鶴
着物が素敵なさくらちゃんには赤色の折り鶴
ピンク色のバラが大好きなシェリルちゃんには桃色の折り鶴
いつも眠そうにしているコルベットちゃんには黄色の折り鶴
身長が小さくて、なんかわたしに似てるミカエラちゃんには白の折り鶴
いつもわたしを守ってくれるボディーガードの美鈴ちゃんには緑色の折り鶴

それぞれ、みんなに合う色の折り鶴を渡した。
「愛美ちゃん、ありがとう。大切にするね。」
マリーちゃんは喜んで受け取ってくれた。
ほかのみんなも喜んでいた。

わたしは紅茶を飲みながら、可愛いお人形さんたちを眺めていた。
あぁ、みんなかわいい。

わたしの周りの人達よりも、純粋でわたしに優しくしてくれる。
あぁ、みんな大好き。
愛してる。

「ねぇ、マリーちゃん。新しいお洋服気にいってる?」
マリーちゃんのために買ってきたお洋服について、聞いてみた。
「マリー、気に入ってるよ!ありがとう愛美ちゃん!」
マリーちゃんは気に入ってるみたい。

この前、お店で買ってきたマリーちゃんが好きな水色のお洋服。
お店の店員さんはわたしが着ると思って、「大きすぎるのでは」と聞いてきたが、わたしより身長が高い妹の服と言った。
170センチあると言ったら店員さん、驚いていたなぁ。

「似合ってるね、マリーちゃん。」
ミカエラちゃんはマリーちゃんの服を見て褒めていた。

となりのコルベットちゃんは眠そうにしていた。
「ねぇ、一緒にお昼寝しようよぉ。幸せな夢を見よう。」
眠そうにこんなことを言っていた。
お昼寝が大好きなコルベットちゃんらしいね。

「コルベットさん、占いの結果だと今日は幸せな夢が見れるみたいね。」
いつも、武術でわたしを守ってくれる美鈴ちゃんは実は占いも得意。
美鈴ちゃんが居れば、いつも安心。
わたしを殴ってきたりする人やいじめてくる人を痛めつけてくれる。

しかし、時計を見ると、もう帰らないといけない時間。
みんな居るだけで、わたしは楽しかった。

わたしは楽しい気持ちで、洋館を去った。

家に帰ると、リビングの机に置いてあった新聞が目に入った。
「横川市連続失踪事件 いまだに行方不明の六人の女性見つからず。」
新聞には行方不明事件を報じた記事が書かれてあった。
どうせ、見つからないよ。
彼女らはもう、居ないんだから。

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