ホラー小説「ドールハウス コレクション」第12話 新しい友達
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第2章 コレクション
あらすじ
名家の娘である佐々木愛美は親に捨てられた大切な人形のマリーに似た女子大生の小柳百合を殺害し、百合の死体を人形のマリーに見立てて遊び始めた。
それから、愛美は放課後や学校が休みの日に名誉のある家族の歴史が刻まれた洋館に隠した百合の死体に会いに行くようになった。
ある日、愛美はマリーに見立てた百合の死体が寂しさを感じていると思い、新しい「お友達」を連れて来ようとした。
わたし
は怖がっていた。
わたしは大好きな友達とは一緒になってダメだから、いつか警察が来てわたしを捕まえに来るではないかと思っていた。
でも、許された。
マリーちゃんは一番うれしいプレゼントだった。
わたしは大好きなお友達と再会した。
彼女はモノなんかじゃない。
大事なお友達なの。
もう二度と失いたくない。
27.愛美 2023年6月18日
今日は休みなので、マリーちゃんに会いに行った。
「ねぇマリーちゃん、今度この子が来るの。」
「きっと、仲良くなれるよ。」
わたしはマリーちゃんとお友達になりたい子の写真を見せた。
マリーちゃんはわたしは居ないときは屋敷でひとりぼっち。
だから、お友達を連れてあげようと思った。
「会えるのが楽しみだなぁ。」
「お名前はなんて言うのだろう?」
マリーちゃんは喜んでいた。
「この子の名前はシェリルというの。」
マリーちゃんに名前を伝えた。
シェリルちゃんは目にバラが咲いている不思議な女の子で自然が大好き。
最近見つけた長い金髪のかわいい女の子の写真。
わたしの絵の世界に住んでいるシェリルちゃんは憧れていたこの世界に来られた。
撮った写真を見ると、憧れだった世界に来て嬉しそうだった。
作ってきたお弁当を食べた後はマリーちゃんと温かい日差しが照らす部屋でお昼寝をした。
幸せで気持ち良かった。
勉強で疲れていて眠かったうえに、天気も良かったから最高のお昼寝日和だった。
昼寝が終わったら、昨日の学校帰りに買った子猫のぬいぐるみを渡した。
「かわいいね。」
マリーちゃんが喜んでいて、嬉しかった。
そろそろ帰る時間になった。
「またね、マリーちゃん。」
わたしは別れのあいさつをした。
「ダメ!もっと遊んでよ!マリーさみしい。」
マリーは遊び足りないらしい。
「来週にはシェリルちゃんが来るから、よい子にして待ってね。」
マリーちゃんがシェリルちゃんに早く会いたいみたい。
来週お迎えするからね。
28.愛美 2023年 6月19日
今日は月曜日。
昼休みにシェリルちゃんとマリーちゃんの絵を描いていた。
マリーちゃんに合いそうな服を描いてみたが、結構似合っていた。
シェリルちゃんにはフリフリした感じの可愛いお洋服を着せようかな。
わたしもシェリルちゃんに会えるのが楽しみだよ。
家に帰ったら、デザインしたマリーちゃんとシェリルちゃんのお洋服を作ってあげるつもりだ。
「愛美ちゃ~ん今度の土曜日か日曜日って暇かな?」
春香さんが話しかけてきた。
見られる前にスケッチブックを隠した。
「う~ん 土曜日は厳しいかもしれないけど、日曜日なら暇だよ。」
わたしはこう答えた。
本当はマリーちゃんとゆっくり遊べる土日の時間をこんなことで潰したくなかった。
行きたくないけど、春香さんとの関係を保っていかないと。
それに、毎週のように古い洋館に立ち入っていると怪しまれるかもしれないから、ごまかすためにも付き合ってあげた方が良いかもしれない。
「今年のフォトコンテスト用の写真を撮りたいの。」
「みなとのかぜ公園でいろんな写真を撮ろうと思って。」
春香さんはみなとのかぜ公園で写真を撮りたいらしい。
あそこはロケーションも良くて、写真を撮るならうってつけの場所。
「みなとのかぜ公園ね、いいね。」
春香さんの会話の流れに任せて答えた。
「日曜日はみなとのかぜ公園の噴水の前で待ち合わせね。」
春香さんは嬉しそうにしていた。
29.春香
昼休み、今度の日曜日に愛美ちゃんとみなとのかぜ公園でフォトコンテスト用の写真を一緒に撮る約束をした。
あぁ、愛美ちゃんとの写真デートが楽しみになった。
風景とか帆船とか撮りたいし、かわいい愛美ちゃんの写真も撮りたい。
私はよく、愛美ちゃんを連れて写真を撮りに出かけることがある。
愛美ちゃんが有名な名家のお嬢様というのを知ったばかりの去年の夏に海に行ったときは緊張したけど、愛美ちゃんのお母さまから「愛美さんが楽しんでいた。」と聞いてから、愛美ちゃんと一緒に写真を撮りに行くようになった。
いつも愛美ちゃんは「春香ちゃんありがとう、今日は楽しかったよ。」と笑顔で言って、喜んでくれる。
私はそんな愛美ちゃんのことが大好き。
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