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野党の表現規制反対功績の記録

はじめに

お久しぶりです。今回は表現規制問題について、私が発掘した新事実について言及したく思い、記事を作成することにしました。皆様は、数か月前、日本共産党の吉良よし子氏がアベプラというネットTV番組の討論会に出ていたことはご存知のことと思います。その際「表現は法的には規制しないが、『こういうものは社会でダメだよね』という『社会的合意』を作る」として、事実上、表現規制を是認するような発言をして炎上した訳です。

この「社会的合意」とは「ビートルズを聞くと不良になる」等に見られる社会の同調圧力で排除を意味します。はだしのゲンの町会長が、戦争反対のゲン一家をいじめた手法の是認を意味するので、護憲政党の日本共産党の立場でこの発言はかなり問題です。しかし、私が今回述べたいのはここではありません。この件について調べる過程で分かった、過去の野党側表現規制反対の功績の一端が分かったのでそれの紹介です。

本題1・偶然分かった、日本共産党の表現規制反対の功績

上記の問題があり、その前の段階で日本共産党の表現規制反対派の紙屋高雪氏が上記などの日本共産党が規制派転向の疑惑を晴らす為に提示した資料がブキッキオ勧告時の「日本共産党の表現規制反対功績の記録」そのものだからです。それの紹介です。

本題2・日本共産党と山田太郎氏の表現規制反対の取り組み

ブキッキオ勧告が出た時期に、山田太郎氏が事実上、表現規制法に近い状態になっていた「児童ポルノ法」を本来の立法趣旨に沿った「児童性的虐待防止法」の内容に変えるための一環として「児童ポルノ」からの名称変更を山田太郎氏が提起した訳ですが、実は日本共産党からも全く同じ提案がなされていたのです。「2014年6月17日、参院法務委員会議事録」にその事実があるので紹介します。

本題3 2014年6月17日、参院法務委員会議事録

当該議事録自体は長くなるので議事録全体は下記の紙屋高雪氏のブログ並びに「国会議事録検索システム」をご覧いただきたい。私はその中から必要事項を適宜抜き出して引用する形にするのはご了承いただきたく思います。

本題4・児童ポルノ法の問題点

まずは、議事録の中の日本共産党の仁比聡平議員の発言をご覧ください。

○仁比聡平君 そうしますと、先ほど山田議員(筆者註・山田太郎氏)始めとした方々の議論にもありましたけれども、一般人が性欲を興奮させ又は刺激されないものであれば、たとえそれが性的虐待あるいは性的搾取という観点から見たときに許されないものであったとしても、この構成要件には該当しないということになるわけでしょうか。(引用終わり)

日本共産党の仁比議員は上記発言を見れば分かるように「明らかに児童に対する性的虐待と分かるものであっても、性的興奮しなければ処罰の対象にならない」事態を問題視して、この質問をしたわけです。

本題5・児童ポルノからの名称変更の意味

今回の仁比聡平議員並びに、山田太郎氏が追及した「児童ポルノ」という名称の問題は、下記のまとめが詳しいので参照ください。

〇イラストなどの架空の表現を児童ポルノと結びつける主張が如何に現実の児童を危険に晒すか 

 https://togetter.com/li/1808623.

簡単に要約すれば「児童ポルノ」という名称であれば「性的に興奮するか」が基準になるので「実在児童に対する性的虐待記録」であっても処罰されないという弊害が発生するわけです。これでは、何のための法律か分からない。一方で、実在被害者のいない漫画などへの規制は表現の自由への侵害は基より、実効性の意味でも無意味。だから、名称変更=定義変更の議論が出た訳です。

本題6・仁比議員の発言趣旨

○仁比聡平君 結局、性的虐待あるいは性的搾取による児童の自由や人格、あるいは身体、生命の安全が保護法益、それが保護されなければならない、ここに対する侵害を抑止しなければならない、そういう立法の意図が貫かれるのであれば、別の定め方が私は十分あり得ると思うんですね。
 御存じかどうか、インターネットアーカイブを参照しますと、インターポールが、この児童ポルノという今国際的に使われている名称はこれは不適切ではないのかと。実際に保護されるべき児童の虐待やあるいは性的搾取という、ここの実態を表していないのではないのかという批判がされています。(中略)
 本法をめぐっても、我が国でも児童性虐待描写物という表記を使ってはどうかという議論もあったように思うんですけれども、そうした考えを取らなかったというのはどうしてなんでしょうか。提案者。(引用終わり)

上記で確認してほしいのは、仁比議員は終始一貫して「実在児童への性的虐待防止の実効性」を論点にしています。漫画規制などは一貫して言及していません。その上で「児童性虐待描写物」という文言を提案しています。「描写物」という文言が表現規制と取れますが、少なくとも仁比議員は「漫画表現規制」の意味では使っていないのはお分かりと思います。

本題7・仁比聡平議員と山田太郎議員の意見の共通性

○仁比聡平君 そうしますと、先ほど山田議員始めとした方々の議論にもありましたけれども、一般人が性欲を興奮させ又は刺激されないものであれば、たとえそれが性的虐待あるいは性的搾取という観点から見たときに許されないものであったとしても、この構成要件には該当しないということになるわけでしょうか。

○衆議院議員(遠山清彦君) 仁比委員にお答えを申し上げます。
 先ほども山田太郎委員から類似の御質問がございました。おっしゃるとおり、ポルノという言葉だけ考えますと、成人の場合はそれは認められているわけでございまして、それが対象が成人ではなくて児童になった場合に児童ポルノということでございますから、委員が御指摘のとおり、ポルノという言葉イコール性的虐待という含意がないのではないかという御指摘についてはそのとおりでございますし、恐らく、インターポールが、そういった意味でチャイルドポルノグラフィーという英語の中にはアビューズという、虐待という意義が必ずしも入っていないのではないかと、そういう趣旨からの御提言と私どもも理解をしております。(後略)

(引用終わり)

仁比聡平議員の発言は、上記から山田太郎氏と同一内容の提案、主張であることはお分かりのことと思います。つまり、仁比議員と山田太郎議員は当時、「児童性虐待防止」という共通目的のために事実上の共同作業をしていた事はお分かりになられると思います。

本題8・日本共産党がなぜ、規制派になってしまったのか?

上記の仁比聡平議員の議事録の発言から見てもわかる通り、ブキッキオ勧告の時期の日本共産党は本来的意味での「児童性虐待防止に取り組み」その観点から「表現規制反対」を明確に主張していた訳です。では、何故、今の日本共産党は表現規制に転向してしまったのでしょうか?一つは日本共産党内部の「情報の断絶」です。議事録の仁比議員の発言は児童ポルノ問題をキチンと把握しており、それに沿って動いています。そして、表現規制はそれらの解決に寄与しない事も認識していたので表現規制反対です。残念ながら、仁比議員はじめこの時の日本共産党の表現規制反対派は現在は大部分が引退しています。わずかに、宮本岳志議員が復帰しているだけです。その為、若い世代に情報が伝達されていません。その為、上記の図式を若い世代が把握していない為に、現在の状況になったわけです。もう一つは、現在の日本共産党を池内さおり氏に象徴される急進派フェミニズムの系統がメインになったので彼らの方針が反映され、現在の状況です。

本題9・日本共産党に望むこと

日本共産党は今からでも遅くはありません。上記の事実関係を把握して当時の「本来的意味の児童の人権保護」と「表現規制反対」の原点に返ってください。それが、子どもや女性の人権保護、表現の自由、そして日本共産党自身の未来の為にもなります。よろしくお願いします。


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