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【検証】さてヤクルトの国際部門は何を見据えているのか

どうもお久しぶりです、フェグリーと申します。
あまりにもnoteを書かなさすぎてそういやコイツ昔なんか記事出してたよなって思われてそうな気はしますが、そんな筆不精の私が興味をそそられる動きが出てきております。それがこちら↓

こちらは後日正式決定しまして、外国人投手の獲得にしっかり動いていたことが判明しました。サイスニード、オスナ、サンタナを始め近年外国人がしっかりと戦力になるケースが多いヤクルトですが、正直言うと今季の編成を考えると今更スターターを補強することにあまりメリットはなくどちらかと言えば登板が嵩んでいるリリーフの補強の方が優先事項では?と考えた方も多いのではないでしょうか
今回はそんな一風変わった動きをしているヤクルトの国際部門の意図を昨今のヤクルトおよび他球団も含めた外国人編成も絡めながら自分なりに解釈していきたいと思います(ロドリゲス投手がどんな投手かは主題ではないので今回は割愛させていただきます)

1.最近の編成の不思議な動きとは
2.昨今の外国人選手とNPB
3.昨今のヤクルトの編成事情
4.ヤクルト球団の財政事情
5.今回の動きって結局どうなの?

1.最近の編成の不思議な動きとは

今回の報道に限らず、ヤクルトは近年いままでにあまり見られなかった動きを継続しております。そこまでサンプル数は多くないですが例を見ていきます

まずはこの(幻の)選手、ケリン・ホセの獲得です。獲得当時どこのマイナー組織にも属しておらず、編成も育成目的と断言した素材で今季中の一軍起用は端から考えていないような獲得でした。将来を見据えた外国人の獲得というのが直近ではなかっただけにどのように推移するか楽しみでしたが、そのわずか3か月後にプロに非ずと言わんばかりの酷評の嵐を一身に受けて日本を去っていったのでした
しばらくそのような動きが無かった中で、今年の5月くらいにこんなニュースが飛び込んできました

ヤクルトが台湾の有望株、林盛恩に高額オファーを出したという記事です。こちらは既に某MLB球団が水面下で契約を纏めていたため縁は無かったですが、前の例に引き続き今までになかった即戦力ではない外国人選手へのアタックとなり従来とは別路線の外国人選手の獲得を検討している証拠になりました。そして今回のロドリゲス獲得調査報道ですが、いくつかの媒体の情報を見るにこの時期にわざわざ高額オファーを出していることが伺えます。以上の流れを踏まえると

・今季の事だけを考えるとリリーフの補強の方がすぐにチームに合流できる可能性がある中でわざわざスタータータイプを検討
・シーズン半ばに25歳という若さのMLB経験はあれど荒削りの投手に目を付けている
・この時期にわざわざ高額オファーを出して引っ張ってきている

ということで、記事は緊急補強という見出しですが今季だけを考えたわけではなく来季以降に戦力になってもらうことを主眼とした動きだったのではないかと考えられます。尤も育成という枠組で見ようとすると既にMLBデビューしている時点でその言い方は失礼な気もしますし前述の選手たちよりは今季中のデビューが見込める存在ではあると思います(この記事を書いている途中にデイリー報道で将来込みの獲得であることが明言されました)

https://news.yahoo.co.jp/articles/4c8168d2dcb3ffbe6876139e58d25788bc212c53?source=sns&dv=sp&mid=art07t1&date=20230710&ctg=spo&bt=tw_up


ただ将来性を見込んだ獲得そのものは他球団を見渡してもさして珍しい事ではありません。ここまで珍しがっているのはヤクルトが今までやらなかったからです。では何故ヤクルトがその路線にも手を出すことになったかを次からの章で追いたいと思います

2.昨今の外国人選手とNPB

”0”、これは何の数字かご存知でしょうか。当然原樹理の登板数なんかではございません
これは昨年の規定投球回に到達した外国人選手の数でございます。今年も現在グリフィンのみと今まででは考えられないくらい外国人選手がイニングを消費できなくなっております。
5年前には規定到達選手は5人もいた事を考えるとあっという間に外国人選手が簡単には活躍できる環境では無くなってきたのが伺えます
この傾向は約2年前に書かせていただいたこちらのnoteからも分かりますようにMLBでもイニングを稼げる投手が少なくなっていること、リリーフ主体の投手が海を渡るようになってきていることに加えてNPBのレベルも向上したか一昔前のように困ったらえいやでストレート放れば抑えられるほど甘くなくなってきたのが要因だと考えられます
このように簡単にローテを任せられる外国人選手は獲得できない市場になりつつあるのが分かるかと思います

ここぞとばかりに宣伝

ではヤクルト単体ではどうでしょう。ここ最近はピーターズという純正スターターの獲得に成功している一方で、AJやスアレスといった本来見込んでいたポジションでは残念ながら通用しなかった選手もいてと国際部門が機能しているチームでも必ず上手くいくなんてことはなく、上記の流れは他人ごとではありません
更に外国人選手には退団は付き物でみんな来季もいるとは限らず、その代替選手の獲得が上手くいく保証もどこにもありません。現にリリーフの話ですが昨年そのリスクをあまり考えていなかったのでバタバタしてしまった側面も否めませんし(こればかりは本当にどうしようもないのですが、、、)来季いきなり通用するか分からない選手をぶっつけ本番で起用するより途中入団でもある程度NPBの勝手を知った選手を起用できた方が計算できると思います
もう1点、序盤は1巡持てば御の字だったサイスニードを辛抱強くNPBに通用するようにフォークやゾーンの使い方を覚えさせていった結果、立派なスターターとして開花させたという他球団ではあまり見られない成功事例もありますしそのへんのノウハウと辛抱強く起用してくれる環境はあると思ってます
そしてヤクルト経験者がMLB出戻り後に活躍した数も多く、今季だけでもマクガフ筆頭に3人も頑張っております
今回の動きはそう簡単にすぐに通用する外国人選手を獲得できないという事情とサイスニードをローテ級に育てられた経験とが絡んで若い育成型の選手をシーズン途中に獲得するというムーブを後押ししたのかなと考えました

3.昨今のヤクルトの編成事情

それであっても先発型の外国人3人編成ってのはあまり見ない現象です。じゃあなんでこんなことになったのかを考えると、日本人の不甲斐なさは確実に噛んでいると思います。

自分のツイートで大変申し訳ないのですが、過去10年ヤクルトは明確に先発投手を弱点と認識し20人中で14人も上位指名を割いて数々の先発候補を獲得していきました。技巧派、本格派、荒削り、、、こうしてローテで生き残ったのは10年以上前に指名したカツオとライアンだけだったのでした、、、(野手はさぞかし当たったんやろなぁ)
いやぁ本当に育たない、高橋奎二が例外として頑張っているものの自前の日本人が全くと言っていいほど育たない。国際部門はいい素材を獲ってこれているのでひとえにスカウティングの問題だとは思ってませんし真因は分かりませんが、さっさと河川敷なんて焼き払えばいいんじゃ、とにかくスターターがいません。
一方でリリーフとして力を発揮する選手は本当に多くなってきました。ヤクルトが勝ち星を拾うパターンは大抵リリーフの踏ん張りによるものです。上記に記載している選手も何名かは素晴らしいリリーフになりました。
このようにリリーフは自前で育てられるものの、スターターはからっきし。国際部門にスターターを頼ってリリーフは日本人で賄うといった流れはこのようなヤクルトの育成事情からそうせざるを得なくなったかもしれません

4.ヤクルト球団の財政事情

ここまで珍しやー珍しやーみたいに書いてきましたが、実は昔に一度このような動きをしております。もちろん〇ミレスジュニアとかいうど素人ではなく、しっかりプロ経験者を育成すること前提での契約がありました。

もう何年も前の話ですが、鳩胸と呼ばれたデラクルスは最速164キロ(という触れ込み)のフォーシームを武器に荒れ荒れでも豪快な投げっぷりでシーズン9試合投げました。翌年も契約延長するという噂でしたが残念ながらこの年限りで退団しております。その理由が某サイドハンド右腕の引き留めに多額の費用がかかったから。当時のヤクルトは自称スモールマーケットで親会社の経営状況関係なしに球団があまりお金を使わない体質だったので上述の退団から推測するに外国人選手の予算にも限りがあったと考えられます。
しかし今はどうでしょう。活躍した選手にはそれ相応の年俸を支払っておりますし惜しげもなくつぎ込んでおります。勝つためには投資を惜しまなくなった今だからこそ、かつてやりたかった外国人選手の育成に再び舵をきれたのかもしれませんね

5.今回の動きって結局どうなの?

私は今回のような動きを今後もぜひ継続していってほしいと思いました。

・外国人選手であっても育成する時代になりつつあってそのノウハウは一応あること
・現在のメンバーが来季欠けても焦らないようにリスクヘッジすること
・そもそも日本人スターターを育てられない土壌で外国人選手に頼らざるを得ないということ
・球団も費用面でバックアップしてくれて外国人育成にも手を出せる余裕ができたこと

今までの反省を活かしたよい動きだと思いますし、ハイスペックな投手を無事に育てられるかはかなり注目が集まると思います。ロドリゲス投手が球団の思惑通りに活躍することを願っております
別に外国人選手ばっかローテに入ること自体はチーム戦略としてはありで、外国人スターターを当てることができているヤクルトの強みを生かしたチーム作りだと思います。
しかし契約年数等の関係で計算しにくいのも事実なので願わくば日本人選手からローテ入りする選手も出てきてほしいですね、、、
今後もこのような興味深い動きがあれば触れていきたいと思います。
それではまた、バイバイ!

見出し写真引用元:https://www.chunichi.co.jp/article/321618

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