ボカロ夜話第一話「牢獄P」

こんばんは。pheebinと申します。今回から「ボカロ夜話」と称してネットの海を漂うボカロ曲の名曲の数々をピックアップしていきたいと思います。最初の紹介は「牢獄P」です。

「2008年」

古参のボカロリスナーにとって、「2008年」という年は特別な意味を持っています。VOCALOIDブームの火付け役となった音源『初音ミク』のリリースが2007年8月31日。もちろんリリース年の2007年から名曲は生まれていますが、VOCALOIDブームが本当の意味で花開いた年は「2008年」です。

「2008年」はDTM界隈やその他音楽界隈で「燻っていた(悪い意味ではない)」数々の「鬼才」ボカロに集ってきた非常に面白かった時期です。
ぜひ新しいボカロファンは、2008年のボカロシーンをdigってみてください・・・といいたいところですが、ボカロ曲はたくさんあるので、正直どこから手をつけていいかわからないでしょう。当時ですら名曲の数々が多くのひとに聴かれることもなく、ボカロの海に埋もれていました。

そこで生まれたのが、「VOCALOID・アンダーグラウンド・カタログ」
詳細についてはニコニコ大百科をご覧ください。

通称「アングラカタログ」「アンカタ」ですが、その史上最高傑作ともいわれるのが、「VOCALOID・アンダーグラウンド・カタログ PART5」です。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm3292952

この動画では「マッペ」などアングラ界隈に重要なボカロPが紹介されているのですが、何より「牢獄P」、「苅田狼藉」という二大巨頭を発掘してきた功績があります。苅田狼藉については今後のどこかで取り上げるつもりですが、今回は「牢獄P」です。

では、ボカロPとしての牢獄Pのデビュー作『監禁少女の歌』を聴いてみましょう。

この曲、ニコニコ動画の原曲は運営者削除されています。正直、僕にはどこが悪いのかわからない(表現の自由的な意味で)のですが、要するに非常にセンシティブな内容を扱っている作品です。

ここで「牢獄P」のニコニコ大百科を見てみましょう。

注意書きで「多くの動画で死など際どいテーマを扱っている。牢獄Pの動画を見ることが許されるのは、心の強い大人だけである」という警告がされています。牢獄Pの表現は、悪い言葉でいえば「メンヘラを寄せ付ける音楽」です。実際、牢獄Pに感化されたゆえに非業の運命を辿ることになったリスナーもおり、そのアンサーソング『謝るクズと赦すバカ』という曲も発表されています(その経緯は「覚悟」のあるひとだけが探ってください)。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm23664167

でも、本当に「牢獄Pの動画を見ることが許されるのは、心の強い大人だけ」なんですか?むしろ心に不安を抱えている青少年こそが「音楽や文学、芸術作品に救いを求めてる」のではないでしょうか。

牢獄Pの代表曲『自傷少女の歌』

https://www.nicovideo.jp/watch/sm8506294

https://www.nicovideo.jp/watch/sm11359236

YouTubeにも動画があったのですが、例によって「運営削除」されていました。ここに貼ったのは転載です。動画は殺せても魂は殺せないので何度でも甦るんですよ!古い原曲も今は亡きmuzieで聴けたのですが、サービス終了とともに聴けなくなりました。牢獄さんはこれを読んでいたらどこかにアーカイブしてください。

『とこしえのソドム 』

https://www.nicovideo.jp/watch/sm8309706

音楽性の話をすると牢獄Pは「デスポップ」を自称しています。サイトのタイトルも「DEATHPOP EXTRA STAGE 2.0」ですしね。メランコリーだけどポップなので、聴きやすいと思います。バックの打ち込みギターはOzzy Osbourne(バンド)などの80年代HRHMぽいところもありますし、あるいはNUMBER GIRLやSyrup16gあたりが好きなひとに向いてるかもしれませんね。『とこしえのソドムのソロは、Randy Rhoadsを意識したとも牢獄Pは言ってました。とはいえ、歌詞も曲調も公共の場で流すにはふさわしくないので、暗い部屋で独りで聴いてください。僕も牢獄Pを聴きながら涙した夜もあります。

『翼の折られた園ジぇる』

https://www.nicovideo.jp/watch/sm9537672

個人的な話をすれば僕も精神が不安定だった多感な時期に「牢獄Pの音楽」に魂を救われたひとりです。生まれつきの特性や境遇、あるいは生きづらい環境に窮した人間を救うのは、なんか楽しそうなリア充ぽい綺麗ごとの世界じゃないんですよ。どす黒い人間の情念を汚く描いた芸術作品なんです。
哲学的な話をすれば「いまここの存在」と「彼方の存在」なんです。

牢獄PのHP

ニコニコ動画

YouTube


読んでいただきありがとうございます!

次回へ続く


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