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台湾における小児エンテロウイルス感染の長期転帰: 集団ベースのコホート研究

ここ数十年、小児および青少年における疾病の主要な負担は、感染症から慢性的な健康状態へと移行しています。感染症の罹患率は減少していますが、感染症に起因する慢性疾患は増加傾向にあるようです。感染症は単に、健康から長期的な障害や疾患へと連続する最初の一歩に過ぎないのかもしれませ
ん。

エンテロウイルスは乳幼児や小児に最もよくみられる感染性病原体のひとつです。軽症から重症まで様々な臨床症状を伴います。

 臨床症状には、非特異的な発熱性疾患、粘膜・皮膚症状(ヘルパンギーナ、手足口病、結膜炎、様々な皮疹)、中枢神経系病変(無菌性髄膜炎、脳炎、急性灰白髄炎、ギラン・バレー症候群など)、心臓感染(心筋炎)、新生児感染、新たに認められた臨床症候群(エンテロウイルスD68に続発する喘息増悪や、Eczema Coxsackium)などがあります。


エンテロウイルス71(EV71)は、小児における手足口病の大規模な流行の原因となっており、まれにEV71神経疾患として知られる重篤な合併症を引き起こすことがあります。

台湾で最大かつ最も深刻なEV71のアウトブレイクは1998年に発生しました。エンテロウイルス感染症による死亡率は、2000年に国の段階別管理ガイドラインプログラムが導入されたことにより減少しました。しかし、長期的な後遺症、特に神経発達と認知機能は、この疾患の管理における大きな懸念事項のままです。

神経学的後遺症の他にも、エンテロウイルス感染症は、我々に長期的な影響を与えることが示されています。アレルギー疾患、自己免疫疾患、他の器官を含む疾患など、一般的な健康上の問題を引き起こすものです。このため、エンテロウイルス感染症は小児における公衆衛生上の大きな問題となっています。

この研究では、エンテロウイルス感染と小児における一般的な健康問題との関係を、集団ベースの観点から調査しました。

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