予防接種後健康被害救済制度について

 先日、COVID-19ワクチン接種後の健康被害が起こってしまった患者さんに対する初めての救済(治療費および見舞金の支給)が行われました。

こちらは、厚生労働省の予防接種後健康被害救済制度による給付です。既存の制度です。昭和23年(1948年)に制定された予防接種法が根拠となっています。

 COVID-19ワクチンに関しては、詳細に副反応疑い報告が行われ、広く国民に公開されています。医師による副反応疑い報告を逐一公開していて非常に情報量が多いです。一般の人が見てわかりにくいのもうなずけます。

この報告の中から、地道に他の疾患である可能性を取り除いていって、「因果関係がない」と認定されたものについて、治療費と見舞金がもともと定められている基準で支払われます。
 今回救済制度で支払われたのは「症状が他の病気や怪我のものであるという確固たる証明が存在しないが、現時点で症状が起こっているので治療費を給付した」ものです。ワクチンが原因であるかどうかはまだわかっていません。それを検証するには非常に時間がかかるが、現時点で他の原因であるという可能性は否定されているものです。もしかしたら、今後他の病気によるものだったと判明するかもしれませんし、ワクチンとの因果関係が示されるかもしれません。

 医薬品の副作用救済制度に比較して、「適正使用かどうか」の判定は容易です。なぜなら、医師がすぐ駆けつけられる場所で接種しているからです。しかも、周りにスタッフが居る環境です。

 ただ、突然死の判定は難しいようです。健康な人がなんの前触れもなく心臓が止まって亡くなることは珍しくないのですが、死後の検証に非常に手間がかかるのと、若い人の場合は事前のデータがないことが多いので検証しようがないこともあります。


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