医薬品の供給不安定問題の現状とみなさんができること(2022/6/29)
こんばんはやくそうです。
昨今、薬局に行って同じ薬が出ているのに毎回メーカーが違うことありませんか。
これが「医薬品の供給不安定問題」です。
一昨年の夏、あるメーカーが医薬品の製造手順に関し明らかに別の手順で製造し、別の薬の成分が入った薬を飲んだ患者さんが事故を起こす事件がありました。そこから、いろいろなメーカーで厚労省に出した手順とが違う方法で作っていたことが発覚し生産体制の見直しをすることになり、薬の供給が不安定になっています。
こちらの話題、ジェネリック医薬品だけが供給不安定になっているわけではありません。
先発医薬品も供給不安定になっている場合があります。(ジェネリックメーカーの出荷調整に連鎖して供給が不安定になっている場合、先発品でも試験に適合せず見直しを行う場合、薬の品質基準が変わったため製造方法の見直しを行う場合などいろいろです)
供給が不安定になっている要因
出荷調整とは
「すでに服用している患者さんへの安定供給」を優先するため、納入実績のある薬局に薬を配分することを指します。
医薬品卸では、誰に処方されたかの情報を持っていません。薬局や医療機関がどれだけ注文したかという情報のみで配分量を決めます。製薬会社から入ってくる薬の量が決まったら、過去の実績をもとに各取引先に割り当てる量を決めます。
メーカーも基準にあった薬がどれだけ製造できるのか、正確な量が決まるまで各医薬品卸に伝えることができません。
厚生労働省に提出し認められた手順書のとおりに作り、成分の含量や不純物の量、製剤の強度など基準に合致したものがどれだけできるかは、実際に作ってみないと確定できません。その上、コロナ禍など世界情勢によって薬の原材料や製造する機械の部品などの入手が不透明になっており、また円安で輸入品の価格が高くなっています。
薬の流通は
製薬会社→医薬品卸→薬局・医療機関→患者さん
という流れになっていて、
製薬会社は納入実績をもとにそれぞれの医薬品卸に
医薬品卸は納入実績をもとにそれぞれの薬局・医療機関に
薬を納入します。
出荷調整の場合は、少しずつですが入ってきます。
患者さんにできること
1.薬局を変えない
薬局を変えると、かえって薬が手に入りにくくなる可能性が高いです。
先程書きましたとおり、過去に注文した実績をもとに医薬品卸から薬が入るので、その薬局で新しく使用する分については対応することができない状況です。
引っ越しなど、やむを得ない状況を除いては利用する薬局を変えないことをおすすめします。
2.早めに受診する
薬の手持ちがなくならないうちに受診しましょう。
もしかしたら、普段よりも処方日数が短くなるかもしれませんが、ご了承ください。これも、出荷調整で納入実績(1か月単位のことが多いです)に合わせてその月の医療現場への納入数を決めます。そこに、90日処方となると、医薬品卸への納入実績がある月とない月にばらけます。(3ヶ月に1回多量に発注するためです。その患者さん一人にしか出ない場合は、患者さんが来る予定の月に納入するよう調整しています。また、1年に1回の薬価改定で一般的には薬の価格は安くなっていきます。それにより、納入価格も変わります。次回使用するのが薬価改定後の場合は、薬価改定後に薬を納入するよう調整します)
よって、処方日数が通常より短くなっている可能性がありますが、これはすべての飲んでいる患者さん全員に薬を行き渡らせるためです。
品目によっては、出荷調整が解除になる薬もあり、その状況は一刻一刻と変わっていっている状況です。事態の変化にすぐに対応できるように処方日数を短めにしている場合があります。
長い処方日数にしていると、薬の出荷調整/停止/出荷再開に対し臨機応変な対応ができず、「今回は入荷できたが、次はタイミングが悪く入荷できない」というリスクもあります。
3.メーカーが違っても受け入れる
医薬品卸や薬局での実績をもとに薬を分配されていましたが、いよいよ入らなくなってきました。その場合、他のメーカーから発売されている同じ成分の薬に切り替わることになります。
メーカーが違っても、同等の成分で会えることは試験できていますので、安心して服用ください。(普段から厳しくチェックをしていますが、さらに厳しく品質を管理しているのでより安全な対策が取れていると考えられます。)
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