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プロダクトとしての「次世代型オンライン薬局」の未来

こんにちは、稲垣(@InagakiKay)です。次世代型オンライン薬局を運営するPharmaXで調剤薬局事業を担当しています。

次世代型オンライン薬局と聞いてもあまりぴんと来ない方が多いかもしれません。要するに処方せんのお薬を受け取ることができる「薬局」なのですが、テクノロジーを活用することで、患者さまにより便利に、より安心してご利用いただける体験を目指しています。
このnoteでは、その実態と今後の展望についてご紹介できればと思っています。

<プロフィール>
新卒でDeNAに入社し、『怪盗ロワイヤル』や協業開発プロジェクトなどでゲームプロデューサーとして従事。その後ヘルスケア領域に異動し、がんスクリーニング検査の研究開発プロジェクトや健診施設のDXプロジェクトで事業企画リーダーやプロダクトマネージャーを担う。2022年4月にPharmaX(旧YOJO Technologies)に参画。

薬剤師のポテンシャルをテクノロジーで解放したい

PharmaXではこれまで漢方を中心としたOTC医薬品(市販薬)を販売するかかりつけオンライン薬局サービス『YOJO』を提供してきました。この度、処方箋のお薬を受け取ることができる調剤薬局事業を加速させるために資金調達を実施しました。

ほとんどの方が一度は病院・クリニック受診後、処方箋を持って調剤薬局でお薬を受け取ったことがあると思います。同時に、調剤薬局での体験(UX)と言われてもあまり印象が無いかもしれません…。

「お医者さんが指定したものを薬局で受け取るだけでしょ?」
「薬剤師さんってただお薬を渡してくれるだけでしょ?」
「クリニックでも待たされるのに、薬局でも待たないといけない…」

医薬分業による医療体験の冗長性が故に、利用者視点では不便に感じることがあるのは事実です。また、それだけでなく、薬局・薬剤師が介在することによる価値提供も十分にしきれているわけではないこともその要因の一つだと思います。

「医薬分業」
薬を処方する医師・歯科医師と投薬する薬剤師という異なる専門家による二重チェックにより医療の質をより高めようとする制度。

私自身も薬局領域に関わるまでは「薬剤師さんって何をしているんだろう」というのが正直な感想でした。

しかし、実は、病院やクリニックを離れた日常の中での「薬」という治療をサポートするために、わずかな時間で患者さんの健康やライフスタイルなどを分析しつつ、薬剤の知見を総動員して応対をしています。

こういった薬剤師の思考プロセスはもちろん目に見えず、薬局でお薬を受け取る際には感じ取りづらいです。しかし、このような薬剤師の視点は、個人の健康に寄り添う存在として大きなポテンシャルを秘めているのではないかと感じています。


ところが、このポテンシャルを発揮しきれず、薬局・薬剤師がお薬を渡すだけの場になっているのも事実です。

なぜそうなってしまうのか。アナログさを起因とした以下の3つが要因だと考えています。

  1. 対物業務が多く、忙殺されてしまっている

  2. 患者さんの情報が分散管理され、活用しづらい状態になっている

  3. 物理店舗での接点のみで、それ以外の繋がりがない

薬剤師は薬を安全に管理し正確に調剤するという「物」の管理者という側面と、患者さんという「人」と向き合って正しく指導・投薬するという2つの側面を持ち合わせています。
その中でも「対物業務」とも言われる書類仕事や医薬品の管理、チェック、手続きなど、人ではなく物に向き合う仕事がとても多いのです。

もっと患者さんに向き合って、より健康の伴走をしたいと想いを持たれる薬剤師の方が多い一方で、こうした対物業務に忙殺され、どうしても「対人業務」、すなわち患者さんと向き合うことに時間的にもマインドシェア的にも割ききれないというのが実態です。

それだけでなく、アナログなプロセスが多くなってしまうがゆえに、個人の情報が分散的に管理されてしまいがちです。紙の問診表、紙の処方箋、レセコン、薬歴、フォローアップの電話で話した内容…など。

個人の情報が断片的に管理されることで、その方の健康状態を「線」で把握するのでなく、どうしても「点」で捉えることになり、一般論的なアドバイスになってしまいます。その結果、患者さんそれぞれに対する個別最適された支援がしづらいのです。


行政や業界としてもここには課題意識を持っており「かかりつけ薬局」の実現を目指して、2015年より継続的な議論や規制改革が積極的に行われてきました。

余白のあるDXを実現する

こうした行政・業界の流れもあり、薬局DXを支援するツールは多く提供されていて、とても素晴らしいプロダクトがたくさん登場しています。また、ロボット調剤などのハードウェアのアプローチも導入され始めており、少しずつ薬局業務が変化してきいます。

しかし、実際問題ツールを導入しただけでDXが実現するかというと、なかなかうまくはいかないようです。

薬局はあらゆる年代の方が、さまざまなシチュエーションで利用します。だからこそ、対応一つとってもさまざまなイレギュラーが発生します。
また、医薬品は日々進化しており、新しいものが登場するだけでなく、服用方法や注意点なども多様化しています。

そういった実情があるからこそ、外部提供のSaaSなどを導入するだけでは対応しきれない部分が発生してしまい、結果あまり使いこなせないのかもしれません。
そういった生の現場業務を許容しうる「余白」を設計に織り込んだDXが、真の薬局DX実現には必要なのかもしれません。

「スマートだけど、あたたかい」かかりつけオンライン薬局を目指して

私たちPharmaXでは、自社薬局において自ら業務の中心となるソフトウェアを開発しつつ、そこに最適化された業務オペレーションを構築しています。
また、自社で薬剤師を抱えているため、ソフトウェアを十分使いこなせるだけでなく、薬剤師自身の知見をフル活用することで、なめらかなソフトウェアとオペレーションの融合を実現しています。

こういった取り組みにより既存の薬局よりも効率的な薬局業務を実現すると同時に、薬局をご利用の患者さまのUX向上も実現しています。

YOJO薬局四谷店では、診察が終わったあとLINEから受付をすれば、好きな時にオンラインでお薬の説明(服薬指導)を受け、後はお家で受け取ることができます。また、LINEから気軽にどこからでも薬剤師へ相談することができます。

おかげさまで利用いただく方は順調に増えており、お薬の受け取りだけでなく薬剤師への相談を頻繁にご利用いただく方もいらっしゃいます。

処方されたお薬の相談だけでなく、普段の市販薬との飲み合わせやお薬の飲み方についての相談など、お薬を受け取るときの説明では聞き逃してしまったことや後で気になったことをLINEで気軽に相談いただいています。

Whole Productとしてのプロダクトの深みを追求していく

私たちが追求する体験は、従来型の薬局よりも便利でなめらかな体験日常から健康のことを気軽に相談できる相手がいる体験です。

これらを実現するために、ソフトウェア開発に限らず、従来の薬局の業務に捉われないソフトウェア中心のオペレーション構築や患者さまとフロントで向き合う薬剤師のオンラインコミュニケーションの質へのこだわりなど、さまざまな観点でのプロダクトづくりを行っています。

その根底には、ソフトウェア+ハードウェア+オペレーション+薬剤師+ロジスティクス…といった全ての要素の総和をプロダクトと捉えるという考え方があります。

そうした環境では、プロダクトマネージャーとしてとても難しい問いの連続です。しかし、同時にソフトウェアに完結しないがゆえの可能性を感じられる、とてもエキサイティングな経験でもあります。

中長期的には、ロボット調剤による対物業務の大幅な効率化をはじめ、服薬のトラッキングデバイスを活用したアドヒアランスの向上、服薬行動を軸としたデータ基盤の構築とAI活用…など、より多面的なテクノロジー活用による新たな体験構築を描いていきたいと思っています。

さいごに

と、ここまでかっこいいことを言いましたが、実際はかなり泥臭く、アナログに運用しています…。

まだまだプロダクトは未熟です。それだけでなく患者さまへの体験をより良くするためにあえてアナログに運用している面もあります。「オンライン薬局」というオンライン-オフライン跨ぐプロダクトだからこそ、この泥臭さは永遠に切り離せないのではとも思いますが、その現場感覚が個人的にはとても面白いです。

現場感覚を感じながら、壮大なプロダクトビジョンを描きつつ、患者さんに向き合い続けるというPharmaXでのキャリアに興味を持っていただけたら嬉しいです。


💁‍♀️PharmaXではエンジニアやプロダクトマネージャーなど積極採用中です




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